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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第45話


「受諾」



「依頼は簡単だヨ。士郎サンにはまほら武道会の盛り上げ役として参加して欲シイ。朝倉は司会役としてスカウトするヨ」
 超の依頼を詳細に説明すると、こうだ。
 自分はかつての、裏の世界の住人がその腕を振るっていた頃のまほら武道会を復活させる。
 だが、現状ではどうにも出場見込みの選手に実力が足りない。自分が魅せたいまほら武道会の為に、是非参加して欲しい。勿論謝礼は用意する。
 その説明を聞いて、士郎の表情は変わらない。少なくとも、表面上は。
「……随分と遠回りをするものだな」
 それだけ聞くと、意味不明のその言葉に、超は不敵な笑みを浮かべた。
「その価値はあると思っているネ」
 そもそもこの学園において、衛宮士郎の実力を測れる要素は、麻帆良現有戦力半分の無力化という伝説的な事実のみ。
 だがそれは、伝説のように現実感のない一夜の出来事であった為に、衛宮士郎の実力として認知されてはいない。
 むしろ、衛宮士郎の力とされているのは、いつの間にか麻帆良に根付き自由に振舞っているという事実。
 自由に振舞うことが許されているという事が、何よりも実力として評価すべきであるとされていた。
 戦闘力もさることながら、何よりもその政治力、先見の妙が。
 だが、だからこそその戦闘力は闇の中だ。数々の武具を扱い、同時に取り出すという事は分かっているが、その切り札は一つとして知られていない。
 故に、超は動いたという事だ。組み合わせ次第で、最低限どの程度の戦闘力があるのかは分かる。切り札を使わせるにはルールの問題があるが、しないよりはマシ。
 少なくとも、報酬を払うだけの価値は見込める。加えて、今後の布石と縁を作っておくだけでも、超には大きなメリットになる。
「よかろう。代わりに報酬だがな」
 とは言え、士郎とてここで素直に頷いていては今の立場のまま麻帆良で生活することなんて出来ない。
 条件として、契約はこの件に関してのみ。それ以外の案件についての協力はまた別途に。
 そして、報酬は。
「ミスリル、カ。魔法の金属として名高いものだネ。しかし、インゴットは手に入れるのが難しいヨ」
「それを含めて、だな。私はしばらく魔法世界に行けないし、アレは伝手がなければ手に入るような代物でもないからな。報酬を受け取ったら、契約は果たすと確約しよう」
「貴方の副業……いや本業カ。それを考えると報酬としては申し分ないのだろうネ……」
 超は、その条件を飲んだ。結果的には、かなり法外な取引になってしまっただろう。微量であっても、士郎の請求した金属はそれだけの値打ちを持つ。
 詐欺師の如き提案だったが、士郎が裏切る事はないと超は判断した。そんな事をしても士郎にメリットは何もない。麻帆良というコネクションを失えば、本当のアンダーグラウンドでしか生きていけなくなる。
 士郎本人は、それもまた一つの選択肢だと受け止めているから、その判断は危ういものではあったが、結果オーライではあった。
 とりあえず、現状。士郎は裏切るつもりなどないし、ミスリルにそれほどの価値も見出していない。
 そもそも。衛宮士郎は、金銭などで動かせる類の人間ではないのだから。
「では、話も纏まった事だし邪魔しないうちに帰るとするヨ。朝倉にはまだ話があるからついてきてもらうけどネ」
「え、私?」
 引っ張られていく和美に、士郎は待ったをかけなかった。元々士郎と和美の間に語るべき事はもうなかったし、それは自然な事ではある。
 けれど。
 もしも士郎がその記憶を失っていなかったのなら。きっと、和美を引き留める。
 それもまた、一つの事実ではあった。















 麻帆良での衛宮士郎の情報の扱いというのは、かなり閉鎖的だった。
 少なくとも、魔法生徒の立場では正確な情報は掴めない。魔法先生たちの間でも非公式なルートというものを知っている人間ならば調べようもあるが、優等生を地でいく高音にはそんなルートなんてない。
 同じく、愛衣にもそんな調査能力などなく、二人が士郎の現在を知るには唯一直結する窓口、アルトリアに行く以外に手はなかった。
 そう、その噂――衛宮士郎に寝返りの気配アリ、という噂の真偽を確かめる為には。
 しかしそもそも、そんな噂が流れている現状、確固として士郎サイドという立場を表明しているようなタカミチならばともかく、中立に位置する魔法関係者たちは中々近づけない場所となっていた。
 特に、魔法生徒にとっては厳しい。タカミチ以外の魔法先生は、基本近づく事をよしとしない。比較的好意的な葛葉でさえ、事態が好転するまで待てと言う程だ。
 よって、ここ最近は刹那も店には訪れていない。記憶喪失のショックもあったが、修学旅行関係の報告を電話で済ませた程度である。
 だからこそ、超にとっては交渉の場として最適だったのだが――高音たちとしては、些か困った状況ではあった。
「…………」
 二人、無言で店内に入った。カランカランというドアに括りつけられたベルの音が、やけに大きく感じられる。
 営業時間は過ぎているから、店内に客は見当たらなかった。
「おお、久し振りだな二人とも」
 士郎が二人に声をかけ、カウンターを勧める。高音も愛衣も軽く挨拶して従った。
「士郎さん。噂をご存知ですか?」
 高音は単刀直入に話を進めた。既にここに来ているだけでも、問題にならずとも魔法先生たちの心証を害するのだ。あまりだらだらと会話を楽しむ余裕は、高音にも愛衣にもなかった。
「私が謀反を企てているとかいうアレか?」
「知っているんですね」
「自分に関する事だからな。私は麻帆良での立場も綱渡りだし、自然耳も速くなる」
 そうは言うものの、現状士郎の情報網は修学旅行前と比べて確実に狭くなっている。
 記憶を失っただけでこの騒ぎだ。今までがどれだけ薄氷の上を歩いていたのか知れるというものだが、士郎に打てる手はあまりない。
 そもそも半年足らずで築いたコミュニティだ。信頼も、そこまで熟成したものではない。取り戻すには、また同じ程度の時間が必要だろう。
 余裕ぶっていはいるが、中々にピンチだった。まあ、初期状態に戻ったとも言える。
「それで、そのぅ……」
 愛衣が、言い難そうにもじもじと動く。何か企んでいるのではないか、という疑惑のある人間に対して直接それを質すなんて愚の骨頂だ。
 けれど、愛衣も高音も欲しいのは否定の言葉。自分たちが完全に信じるに足る何かだった。
 それさえ得られれば、周りが何と言おうと信じていられる。気にせず、今までのように教授を仰ぎ、尊敬していられる。
 既に、それが揺らいでいるのは積み重ねた時間の問題だった。教えを乞うようになって、まだ一月も経っていない。しかも、士郎は1週間も麻帆良を離れていたのだから。仕方のない事ではあった。
「わざわざ真偽を確かめに来たのか?」
「そんな感じです……」
「暇だな」
「あぅ」
 愛衣がうっすらと涙目になった。
「それで、実際の所、どうしてそんな噂が流れたのか、心当たりはないのですか?」
「あるな。あり過ぎる程に」
 色々波乱があったらしい修学旅行、その結末。士郎にとっては“らしい”という程度の感情しかないが、かなり厄介な問題を引き起こしていた。
「それは?」
「実は、近衛の……学園長のお孫さんの護衛で女子中等部の修学旅行について行ったんだが。その間の記憶を敵に消されてしまってな」
「なっ。大丈夫だったんですか?」
「何をもって大丈夫とするかで話は変わるが、現状大きな問題は見つかってない」
 ほっと胸をなでおろす。高音が息をついている横で、愛衣が尋ねた。
「でも、それがどうして裏切りなんて話になったんですか?」
「問題は、敵に記憶を消されたという点だ。当初問題になったのは、私が敵の傀儡になっているのではないかという疑惑だな」
「洗脳……」
「そうだな。この場合、表面的に問題がないからこそ疑念は深まる。私の記憶消去に使われた術式は珍しいものらしくてな。そういった疑惑も深まったわけだ」
「でも、表面上人格に問題がなかったのなら、洗脳はされてないって事じゃないんですか?」
 士郎が首を振る。事はそう安易ではなかった。
「時間指定などの特定の条件を満たした場合に、特定の行動を促すプログラムは魔法に依らない催眠術でも不可能ではない。魔法の方が必ずしも優れているというわけではないがな。無意識化にまで侵食する洗脳だとしたら、魔法以外に手はないからな」
 簡単な暗示ぐらいならば、一般的な催眠でも、或いは可能なのかもしれない。だが、強く行動を束縛する程の洗脳を、完全に意識を失った状態で植え付けるのならば魔法の力を借りるしかないはずだった。
 尤も、士郎は既にあらゆる魔法術式を破壊しているから、洗脳の心配はないが。
「でも、それが何故裏切りなんていう噂になったのですか?」
「洗脳されているかもしれない、何て言う報告はな。受け手によっては欺いているように見えるという事だ。洗脳されているフリをして、寝返りした時の混乱を狙っているのではないか、とな」
「それは穿ち過ぎでは」
「しかし事実として、そういう見方をする魔法先生もいる。これは、今まで私が取ってきた行動の自業自得というものだろうな」
 あの男ならば、或いはそれも有り得るかもしれない――。
 それは、人柄などという曖昧な部分から判断したのではなく、強大な戦力を保持している人間が静かに暮らしている事の違和感や、最初に現れた時のイメージの悪さなどが主な原因だ。
 好き勝手に行動する事ができるというのは強みだが、その分こういったイレギュラーな事態において追い詰められるのは仕方のない事だった。
「では、事実無根なのですね。良かった」
 嬉しそうに笑って、高音は出されていた紅茶に口を付ける。愛衣もそれに習った。
「いや、そうでもない」
「ぶっ」
「お、お姉さまっ!?」
 さっとハンカチを取り出す愛衣の反応速度は戦闘時よりよほど高かった。妹の鑑である。
 士郎もそそくさと処理に回り、10秒も経たずに掃除は終わった。
「も、申し訳ありません……いえ、それよりも! 一体どういう意味ですかっ」
「まぁ落ち着け」
「これが落ち着いていられますかっ」
「相変わらず高音は沸点が低いな……そんな事だから戦闘中も詰めが甘くなるんだ」
「それとこれとは今関係ないでしょう」
 まぁ、そうだな。頷いて、士郎は語る。
「裏切る、寝返る、というわけではないがな。麻帆良を離れるのは、選択肢の一つだと思っている」
 そもそも、衛宮士郎という人間が、いくら夢破れ、傷つき立ち上がる気力を砕かれていたとしても。
 こんな平穏な場所で、のんびりと生活し続けているなんていう事が、有り得ない事だったのだ。
「どこか、別の組織に就くというわけではないがな。またフリーに戻るのもいい」
「そ、それは近いうちに、という事なのでしょうか……」
「さてな。私も、麻帆良に居られるのならそれでいいと思っている。けれど、それは居心地がいい場所であるのなら、だ」
 本当に。士郎も、このままここでのんびり過ごすのもいいかもしれない。そんな風に、考えるようになっていた。
 一番大きな要因は、ここが士郎の生きた世界ではない事。生まれた世界ではない事。どこまでいっても、士郎は異物に過ぎない。
 そんな異物が、この世界と大きく関わってしまってもいいのだろうか。そんな思いが、いつからか胸に宿っていた。
 今更ではある。
 だが、記憶が消去されたのとは無関係に、戦わない日々を送るほど、いいや、戦いに身を投じても虚しさが増していった。
 この世界には、正義を志す魔法使いたちがいるのだ。
 地獄を体現したような非道を、許さない人たちがいるのだ。士郎が戦わなくても、戦う人たちはいる。
 その中に交る事ができれば、それが士郎にとっては最上だったのだろう。けれど、長年染みついたものは落ちない。士郎は、彼らと同じ方法を取るには、地獄を見過ぎてしまった。
 違和感は増大していく。でも、士郎には彼らのやり方を否定することはできない。それで救えない者たちが居る事がわかっていても。
 かと言って、自分のやり方を貫く事も、もうできなかった。士郎のやり方は、士郎自身が一度否定してしまっている。
 大切なものを、悉く犠牲にした上での平和に、一体どれだけの価値があるのか。信じられなくなってしまった理想を、今更追い求めることなんてできない。
 けれど、体は呪いにでも蝕まれているかのように動くのだ。いざ、その場に在れば自然と他人の為に体は動いてしまう。
 何度も自分に理由をつけて戦場に赴いたが、この世界には魔道でしか殺せぬ悪は見当たらない。
 それならば。それなら、この街で、小さな輪を守って生きていくのもいいかもしれない。
 そんな事を、士郎は考えていた。
 勿論、それが実現可能だとは思っていなかった。何より士郎は自分自身が許せない。今まで、自分の勝手で、自分が理想を目指したせいで生まれた数々の犠牲が。
 その理想に救われた者が、その犠牲の何倍もいたとしても。理想を見失った士郎には、その犠牲に食いつぶされるしか道はない。
 どうせ、士郎は幸せに耐えられなくなる。幸せを全うに感じられるなら、生まれた世界での事は一人胸に留めて暮らすのもいい。
 けれど、それが不可能なのならば。いずれは、もっと闇が深い所に移らなくてはならないだろう。
 またそこで輪を作れば好い。作れなくてもいい。ただ、体に刻まれた呪いのままに、士郎は贖罪に生きるだけだ。
「私がこんな話をするのは、お前たち二人に対して私は責任があるからだ。一応、大別すれば師弟の関係という事になるからな」
 高音と愛衣は、士郎に弟子入りしている。弟子というよりは、軽く稽古をつけてやるという程度のものだが、それでも弟子は弟子。
 突然居なくなるというのも不義理な話だ。ケジメを付けられるかは分からずとも、覚悟だけは持っていて貰いたいというのが士郎の心情だった。
「私たちに、何か出来る事はないのでしょうか……?」
「そうです。私、出来ることならばお手伝いしますよっ」
 ほぼ何の権限もないに等しい魔法生徒が力になれる事など、ほとんど何もない。
 せいぜいが、この店を他の魔法生徒たちにも広めて、衛宮士郎という人間を直接判断する機会を増やしてやるぐらいのもの。
 そんなの、現状と何も変わらない。けれど、そういう気持ちを持ってくれる事はそれなりに重要だろう。
 少なくとも、嫌われているよりはいい。身内を多く作るのは得策ではないが。協力者は多い方がいいのだ。
「気持ちだけ受け取っておく。まぁ、しばらくは外へ出る依頼もないだろうしな。学園長からもしばらく大人しくしておくように頼まれているし、お前たちの面倒を見てやる機会も増えるだろう」
「修行の回数を増やしてもらえるんですか?」
「ああ。だが、今この店の経営がピンチだからな。あまり日程を合せる事はできないと思うが、それでもいいのならな」
「勿論です。早朝なら、平日でも構わないぐらいですよ。ねえ、メイ」
「え? ええ、そうですね、お姉さま」
 愛衣はあまり乗り気ではないようだが、高音がやると言えばついてくるだろう。
「あまり無理はするなよ。睡眠時間を削らない事、学業を疎かにしない事が条件だ。店の営業時間以外なら、いつでも来い。必ずいるとは限らないが、予定がなければ相手をしてやる」
 ただし、メールで連絡ぐらいはしてくれ、と士郎は頼んだ。
 最近は、タカミチも学園にいる時間が長いので別荘を使った修行時間が増えていた。明後日にはネギの弟子入りテストがあり、その結果次第で別荘の利用に制限がかけられる。今のうちに少しでも長く、と修行していた。
 高音たちの修行でも別荘が使えればいいのだが、仮にエヴァンジェリンが許したところで高音とエヴァンジェリンを引き合わせるリスクが大きすぎる。
 正義に固執し過ぎるのは、あまり良い傾向とは言えなかった。
「では、早速日曜日の早朝などいかがでしょう? 朝5時ぐらいから」
 満面の笑顔で、高音が提案する。この真っ直ぐなところは、評価してもいいとは士郎も思うのだが……直線過ぎた。
「ああ、分かった。……佐倉も頑張れよ」
 もう諦めた感じで、愛衣も頷く。今更朝5時は早過ぎないですか、などと言える雰囲気ではなかった。
「では、もう今日は帰れ。あまり遅くなってもいけないからな」
 店内にもう仕事も残っていない。一応士郎が二人を送って、女子寮前で別れる。
 そして、士郎はその足でとある場所に向かっていた。















「何だ衛宮士郎。今日はタカミチも来てないぞ」
 士郎の突然の来訪を、嫌そーな顔で迎えたエヴァンジェリンは、読んでいる絵本から視線も上げなかった。
 そのエヴァンジェリンに茶々丸が近寄る。
「マスター。士郎さんから茶葉を頂きました」
「ん? おう、中々上物だな。お前の店のものか? 一度は行ってみんとな」
「来た事はあるだろう。散々に店を破壊してくれた事、忘れたとは言わせんぞ」
 昼間っから魔法の矢を乱射してきたのは、士郎にとってまだ記憶も新しい。エヴァンジェリン的にはあまりそういう気にもならないのだが。別荘で過ごしている時間も、士郎たちが利用している間は基本的に別荘内に居るため、それなりに長い。
「馬鹿者、襲撃者としてではなく客としてという意味だ。全く、行く気が失せるだろうが。それより、この茶葉はどうした? 手土産とは珍しいな」
「そうでもないだろう。前に京都に行った時は土産を持ってきただろう?」
「ああ、八つ橋な。何故か茶々丸にはかんざしだったが」
「今回も似たようなものだ。知人に貰ってな、店で使うには上物過ぎるのでここに持ってきたまでだ。どうせなら、タカミチのように味の分からない奴が飲むよりは、分かる奴が飲んだ方が茶葉も幸せだろう」
 確かにな、とエヴァンジェリンの機嫌は反転、ほくほく顔で茶葉を受け取る。
「で、用件は何だ? まさかコレだけが目的ではあるまい」
「そうだな。では、単刀直入に頼もう。別荘に炉があったろう。あれを貸して欲しい」
「あるにはあるが……刀でも打つのか?」
「ああ。いい玉鋼が手に入る事になってな。折角だから一本拵えることにした」
 エヴァンジェリンは思案顔を作り、黙考する。ネギの修行との兼ね合いなどを考えているのだ。
 エヴァンジェリンは士郎の事を信用しているわけではない。少なくとも、自分がネギに集中している間に別荘を使わせたくないのだ。
 士郎も、できればエヴァンジェリンは頼りたくなかったが、時間的な都合も考えるとここが一番いい。アルトリアの地下室にある炉では刀鍛冶が出来るほど設備が整っていないのだ。
「構わんが、条件が二つある」
「聞こう」
「一つは、ぼうやの修行中は作業しない事。つまり、日程はこちらに合わせろという事だ。二つ目は、どうせなら茶々丸用に一本作れ」
「何でもいいのか?」
「ああ、何でもいい。お前の腕を見る」
 エヴァンジェリンとしては、それが本命。どれ程の物を作るか、というのにも興味はあるがその製造工程にも興味があった。
 それに、エヴァンジェリンも士郎の剣の異常性は聞き及んでいるし、体感してもいる。一本手に入れておくにこした事はないだろう。できれば、エヴァンジェリンの動きを封じたあの矢……黒鍵が望ましいのだが、流石にそれは無理だと判断する。
「ふむ。試作には丁度いいな」
 勿論、士郎とてエヴァンジェリンの思惑は分かっていた。
 だが、それでも一本、作りたいものがあったのだ。
 銘だけはもう考えてある。
 『白天』。
 後に桜咲刹那の愛刀となり、彼女の名前と共にその名を残す一振りだった。




チャチャゼロ「妹ダケズルイゼ」
茶々丸「すみません姉さん(満面の笑顔)」
(拍手)
 
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2009.09.10 | | # [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> トーナメントに死徒のお姫様出て来ませんか?
> 宝石爺さんがこっそりと連れてきたとかで。
>
> 爺さんにこの世界の事を知ったら従者になるか死徒になるかで選ばさせそうな感じが、
> そして、アルトリアに居座るのも展開が楽しくなりそうと思ってしまいました

トーナメントとは人気投票の事なのでしょうが、出しません。出す理由がありません。
アルトルージュと士郎は全く関わりがないし、宝石翁が誰かを連れてくる事もないし、士郎が死徒になるなんて選択を取る事もないし、居座る理由だって欠片もありません。
それに何より、それでは独りよがり過ぎてただの自己満足小説になってしまいます。

あと、こういった雑談的なコメントは雑記記事に記入して下さい。
創作記事には、出来うる限り感想だけにして見やすくしたいので。

2009.09.10 | URL | 夢前黒人 #qiIB0A1Q [ 編集 ]


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