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屈折領域・裏鏡


一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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番外編:17.2話


「もう一歩だけ」



『ああ、俺は――魔法使いなんだ』
 あの日、あの夜聞いた言葉が、いつまでも私の頭を占有し続けている。
 普通に考えれば、あまり面白くもない冗談なのに…何故か私には、それが真実だと分かってしまった。
 きっと、あの地下室の存在を知らなかったとしても、私は同じように信じていただろう。
 あの時の衛宮先生は何か、どこか遠くを見ていて…嘘とか、そういう汚いものを全く感じなかった。
 もしかしたら、ただ舞い上がっていただけなのかもしれない。
 女子校で、普段男の人なんて先生ぐらいしか見ないから…当然、触れる機会なんてない。
 それで、おんぶしてもらって、少し嬉しい言葉を掛けられて…勘違い、してしまったのかも。



 ――なんて、そんな言い訳では、自分でさえも騙せない。
 それは違うと、自分の体の奥が叫んでいる。
 きっと、あの剣の墓場で倒れてしまった時に、自分のどこかが塗り替えられた。
 だから分かってしまう。
 今私を悩ませているモノは、恋愛感情のような切なくて綺麗で甘いものなんかじゃなくて。
 もっと白くて救いがなくて、踏み越えてはいけないモノを知ってしまった苦しみなんだって。
 だから、私は、知らないといけない。
 もう選んでしまったのだから。あの夜、危険だと言われても先生の正体を聞いた以上、中途半端では終われない。
 その話を聞いた後に、私がどんな選択をするかは、まだ分からないけど。
 それでも、後悔だけはしたくないから。


















 カランカラン、と。
 衛宮先生しか残っていない店内に、ドアに括り付けられたベルの音が響く。
 昼間に一度相談する為にお店に行ったら、そのまま店を閉めてまで話を聞いてくれようとした。
 それはさすがに申し訳なさ過ぎたので、慌てて夜に出なおしますと言って逃げ帰ったんだけど。
 結局、衛宮先生は早めに店を閉めて待っていてくれたみたい。
 本当に、何だか申し訳ないけど。
 でも、こんなにも私の事を考えていてくれるっていうのは、素直に嬉しい。
 ……、別に特別な感情はないけれど。
「私としては、もうあの話は終わったつもりでいたんだがな」
 私はカウンター席の真ん中、衛宮先生の眼の前に座る。
「そう、何ですか?」
「ああ。というより、私の正体が真実であると思ったからこそ、今君はここにいるのだろう?」
 何となく、答えづらかった。
 私は、私なりに、衛宮先生が魔法使いであるという事を認めてる。
 そういう人たちが居てもおかしくはないんじゃないかって、思い始めてる。
 でも、まだ口に出すのは気恥ずかしかった。
「私があの時提示した選択は三つ。それでも君はあの夜私の正体を尋ねた。だから、もう二度と近寄るつもりはないのだろうと考えていた。…浅慮だったようだがな」
「いえ、あの……あの夜は、凄く自然に尋ねてしまったんです。何となく、そうしなくちゃいけないんじゃないかと思って……」
 もう、今ではその時の感情は薄れていて、自分が何を考えていたのか、ハッキリと言葉にする事はできない。
「そうしなければいけないと思った、か。もしや、イリヤが……?
「イリヤ、ですか?」
「いや、すまない。こちらの話だ」
 言い繕うように、衛宮先生はその話題を打ち切った。
 私も、それ以上追及することはない。だって、私が聞きたいのは、衛宮先生の事なんだから。
「それで、今日来たのはあの地下室の事かな」
「あ、いえ。あの部屋の事は、正直どうでもいいんです」
「……ほう?」
「私が知りたいのは、魔法とか、衛宮先生の事で……」
 そこで、衛宮先生はたっぷり5秒は思案した。明らかに苦い顔で、私に話す事に対して、好意的ではない事が分かる。
「魔法について、教えるのは構わない。ただ、二つだけ約束して欲しい」
 その約束の内容は、言われる前から……多分、ここに訪れる前から分かってた。
 先生があの夜に出した三つの選択肢。その二つ目を、私は選ぶ事になる。
「一つ目、今から話す事は、例え誰であろうとも口外しない事。二つ目、今から話す知識は、危険を避けるためだけに使う事」
 真相を知り、二度と近付かないという選択肢。
 でも、それに納得できるかどうか、それは話を聞いてみないと分からなかった。
「一つ目は、守ります。絶対誰にも話しません。でも、二つ目は……話を聞いた後に返事をするわけにはいかないでしょうか」
 絶対に約束を破りたくはないから。だから、私はこんな返答しかできない。
 私の方からお願いして教えてもらうのに、とてもワガママだとは思うけど。
 でも、私には初めから、選べる選択肢はそれしかなかったんだと思う。
「ダメだ、と言いたいところだがな。今更そんな言葉では引き下がるつもりはないんだろう?」
 私は、語る言葉を持たなかった。
 本当にダメだと言われたら、私はどうするのか……私自身でさえも、分からなかったから。
「それでは、授業を始めるとするか。まず、魔法というものは――」
 以後、約30分程度の間、衛宮先生による魔法授業は続いた。







 一通りの説明を受けて、私から質問してもいい事になった。
「それじゃあ、麻帆良にも魔法使いがたくさんいるんですか?」
「沢山、という程ではないな。が、教師や生徒に紛れて一つの組織を維持できる程度には存在している。それが関東魔法協会、学園長を長とする一つのコミュニティだ」
「が、学園長がトップなんですか?」
「信じられない事に……いや、むしろイメージにピッタリか?」
「えと、確かにそうかもしれないけど…」
 あの頭の形とか。今まで気にした事なかったけど、不思議だよね。
「近衛という家は、代々日本最大の魔力を受け継ぎ、魔法界において大きな影響力を持っている家柄だ。近衛……木乃香は、その直系に当たる」
「え? じゃあ、近衛さんも?」
「いや、直系に当たるというだけで、本人は何も知らない一般人だ。強大な魔力は受け継いでいるがな」
「そうなんだ……」
「だがまあ、2-A、いやこれからは3-Aか。あのクラスには関係者が大勢いるからな。誰か一人を避けておけばいいというものでもない」
「避ける、ですか?」
「君子危うきに近寄らず、と言うだろう? 何も、友達を作るなと言っているわけじゃない。ただ、深入りしない距離間というものを知っておいてもらいたいだけだ」
 それは、でも、少し違う気がした。
 友達との距離を考えるなんていうのは、おかしい。仲の良い友達なら自然と近くなるものだし、そもそもそんな事は意識するものじゃない、と思う。
 だから、かなり怖かったけれど、私は反論する。
「嫌、です。私は、そんな事を考えたくない。友達とは、今まで通りの関係でいたいんです」
 衛宮先生は、困ったような、それでいて何故か、申し訳なさそうな顔をした。
「ならば、尚の事こちらの世界には入ってくるなよ。君の役目は、危険なものを理解して、友達と一緒に逃げる為の判断を下す事だ。その材料として、こうして私が魔法について教えている」
 もっとも、そのような事態に遭遇しないように最初から避けるのが一番の予防策だ、と付け加えて。
 衛宮先生は、私の意見を認めてくれた。
 きっと、衛宮先生にしてみれば我が侭みたいな主張なんだと思う。
 でも、衛宮先生はそれを認めてくれた。私は、自分の意見を曲げなかった。それが、ただ単純に嬉しい。
「はあ、やれやれ。少し待っていろ、大河内。いや、それともついて来るか?」
「いえ…遠慮しておきます」
 店の奥、多分あの地下室に行くんだと思う。
 あの地下室が、気にならないと言えば嘘になる。
 気絶してしまったけど、私にはそれが怖いとは思えなかったし、むしろもう一度見てみたいとも思っている。
 でも、私は踏み込まない。
 そう、決める事にした。
 もう、一つ我が侭を通したから。
 三歩進んで、下がる事を拒否すれば、もしかしたら衛宮先生の所まで歩けるのかもしれない。
 でも、私は今の幸せが大切だから。
 皆より、ちょっとだけ進んだ場所で、衛宮先生たちより、ずっと遠く離れた場所で。
 大切なものを守るために、踏み込まない事を、決意する。

 やがて、衛宮先生が店の奥から帰ってきた。
 厨房に戻る前に、レジの傍に置いてあるメモ用紙を一枚破いてくる。
「これが、私の電話番号だ。何かあった時はここに連絡してくれ。微力ながら、助けになれると思う」
 書いてあったのは、携帯電話の番号だ。メールアドレスも添えられている。
「いいんですか?」
「むしろ、持っていてくれた方がありがたいな。私も、常に電話に出られるわけではないが、相談がある時は遠慮しないように」
「はい」
「後、これも」
 そう言って渡されたのは、何の字が書いてあるか分からないドッグタグ。
 シルバープレートにいくつかの模様のような字が刻んであり、アクセサリとしても使えそうな感じだった。
「いいんですか?」
「ああ。できれば肌身離さず持っていてくれると有難い。万一の時には助けになるはずだ」
 考えてみたら、男の人からアクセサリを貰うのなんて、初めてだ。
 お父さん以外の男の人と手を繋いだこともないし、背負われたのも、あの夜が初めて。
 嬉しいというより、こそばゆい感じだった。
 真剣な話なのにこんな感情を抱いてしまう事が、少しだけ恥ずかしい。
「ああそれと。私は春から教師を辞めるのでな。これからは先生というのは止めてくれないか」
「え、辞めちゃうんですか?」
「まあ、な。元々押しつけられただけだったし、教員免許も持っていないしな。それに、やはり私には喫茶店のマスターの方が性に合っている」
「そうですか。寂しくなりますね」
 本当に。先生の授業を受けたのは一回だけだったけど、色々知ってしまった今では、衛宮先生が近くにいるというだけで、安心することができたのに。
「別に、ここに来ればいつでも会えるさ。で、呼ぶ時は衛宮でも士郎でもどちらでもいいから」
「あ、じゃあ……士郎さん、で、いいですか?」
「ああ。これからも何か困った事があったら遠慮なく頼ってくれ」
 そう言って、私を安心させるように、先生……士郎さんは、笑った。
 なら、私も、安心するしかない。
 ただ、ほんの少しだけ、悔しかったから。
 私は、三歩進んで二歩下がった。でも、一歩だけ。一歩分だけ、士郎さんに踏み込みたい。
「はい。だから、士郎さんも……私の事は、アキラって呼んで下さい」
 そうして、精一杯の笑顔ではにかんだ。






刹那「あれ? メインヒロインは私、なんですよね? 私、衛宮さんからプレゼントなんて……白結も買ったんだし……あれ?」
 
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