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屈折領域・裏鏡


一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第41話


「激戦」



 時は、士郎が流星の如き剣弾を以って鬼を掃討する、その数分前。
 広大な射程を持つ士郎の弓は、天ヶ崎千草に狙いを定めていた。
 木乃香の奪還よりも、何よりも。まずはこの儀式の妨害、中断を成功させれば一気に流れは変わる。
 儀式を止める事ができれば、木乃香奪還の可能性も高まるだろう。フェイトがいかに恐ろしい脅威とは言え、士郎の矢を全て防いだ上で木乃香を攫う事はできまい。
 そう、全ては逆転のこの一手の為に。士郎は足を犠牲にするという決断まで下したのだから。
 失敗は許されない。だが、条件は悪かった。
 千草のすぐ傍には木乃香がいるため、範囲系の攻撃はできない。加えて、護衛のように付き従っているフェイトは全方位を見渡せるように千草に背を向けていた。
 音速を遥か超えて飛来する矢ならば、いくらフェイトと言えども感知はともかく迎撃はできないだろう。
 ましてや、己ではなく他人を守るのは難しい。
 が、そんな高威力の攻撃を使ってしまっては、衝撃波だけで木乃香を傷つけてしまう恐れがあった。
 故に、選択するのは無名の魔剣。威力を抑え、魔力を抑え、倒すのではなく断ち切る事を念頭に置いた静の一矢。
 気負いもなく、ただ為すべき事を為す為に。
 剣弾は、誰に気づかれる事も無く放たれた。
 









 その攻撃にフェイトが気づけたのは、空間天円型の感知結界をネギの襲撃用に作成していたからだった。
 だが、何かが迫っている事が分かったからと言って、それに対処できるかどうかは別の問題だ。
 超速で飛来する矢を迎撃するには、術を構成している暇がなかった。
 フェイトにできたのはその射線上に自分の体を入れて、常時展開の魔法障壁で防衛する事だけ。
 だが、それで十分だった。
 大した神秘も宿っていない、ただ魔力が宿っただけの剣ならば、それはこの世界の魔法と何ら変わる事がない。
 むしろ、その程度のモノを使用して、軽く1キロは離れているだろうこの場所まで矢を到達させる事が神業じみていた。
 フェイトの魔力障壁は、常時展開されている分だけでも要塞のような強度を誇る。
 或いは士郎が、千草を殺すつもりで射っていたのならば、フェイトも守り切れなかっただろう。
 だが事実として、フェイトはこの不意打ちを防いだ。
 起死回生の一手は、衛宮士郎の戦場復帰という最重要の情報漏洩というオマケつきで、儚くも消え去った。



























 ネギは、確かにフェイトを出し抜いた。
 小太郎を振り切る決断、何をおいても木乃香奪還を最優先とした策は、上出来の部類に入る。
 ネギが今持っている技能、手札、効率的な魔力運用、費用対効果。
 それらを総合的に判断すれば、これ以上の策はそうない。
 そう結論付けられる程に、遅延呪文を使った二重トラップは功を奏した。
 時間的猶予もある。儀式はまだ完成していない。
 行ける。そう判断して、ネギは駆けだした。
 その判断は間違っていない。実際このまま行けば儀式途中で無防備な天ヶ崎千草は障害にもならず、容易く木乃香を奪還できたことだろう。
 だが。
「なっ」
 そう、自分が策を、罠を用いるのなら。
 相手もまた、同様に罠を張る可能性があるのだと、気づくべきだった。
 設置型トラップ。石を使った捕縛結界が、ネギの体を絡め取る。
「残念だったね、ネギ君。この距離でも飛んでいれば、君の勝ちだった」
 風矢を解除しながら、後に目でもついているのか、フェイトはそう零した。
 もう、間に合わない。石の捕縛結界は強固で、フェイトにかけた風矢より速く解くのは不可能。
 本来その罠は、士郎の為に用意されたものだったのだから当然だ。士郎の一手は、思わぬところでネギを妨害する。
 しかも、魔力の高まりはもうネギが鳥肌を立てる程に強大なものになっていた。
 だが、諦めるわけにはいかない。
 刹那と約束した。何より木乃香はネギにとって大切な生徒で、友達で、ルームメイトで、お姉さんで、ただの、普通の女の子で。
 だから、こんな結末は認められない。認めてはいけない。
 まだ出来る事はある。ないのなら探す。或いは作り出す。
 何としても、何を懸けても、立ち止まることなど出来はしない。
「カモくんっ」
「おうよっ」
 以心伝心、アイコンタクトは瞬時に成った。
 ネギが最後まで保ち続けた切り札。それは、こんな時の為にあったのだとネギとカモの脳裏に閃光のように浮かび上がる。
「召喚! ネギの従者 神楽坂明日菜! 桜咲刹那!」
 カモがポケットに入っていたカードを取り出し、ネギが使う。
 呼び出し前に念話を入れる余裕もなかったが、これは作戦通りの展開だ。
 召喚された二人に驚きはあったものの、対応は早かった。
「アスナさんはこのかさんを! 刹那さんはこの拘束を!」
「了解!」
「任せて下さい。――斬岩剣!」
 もうトラップはない。あったとしても、明日菜ならば無効化できる。
 フェイトは戒めを解きかけているが、それでもまだ数秒の猶予があった。
 勝ったか、そう僅かにネギの気が緩んだ時。
 鼓膜が破れるのではないかと言うほどの爆音と共に、儀式は完成した。
 リョウメンスクナノカミ。飛騨の大鬼神は、その威容衰えることなく姿を現した。
「な、なによこれっ」
「そんな、こんなのって……」
 巨躯、巨大という言葉では足りまい。
 空高く聳え、山よりも広い。半身にてこれでは、完全に召喚されたら一体どうなってしまうのか。
 そんな最悪のイメージをきっかけにして、ネギは立ち直る。
 そう、アレを完全に出してはいけない。半身で留めておかなければ、勝つや負けるの次元ではなく、逃げることさえ叶わなくなる。
「ラス・テル マ・スキル マギステル! 来たれ雷精風の精!」
「お、おい兄貴っ」
 もうネギには魔力など残っていない。あるとすれば、限界を通り越し気力だけを振り絞った無理な力。
 それでも、今はそれが必要だった。僅かでも可能性のある方法に賭けるしかない。
「雷を纏いて吹き荒べ 南洋の嵐」
 紡ぐ。吐きそうな脱力感に必死に耐えながら、ネギはそれでも呪文を紡ぐ。
「雷の暴風!!」
 鬼の大軍を、射線上の鬼を全て一撃で吹き飛ばした攻撃は、しかし。
「あ、アハハハハハ。それが精一杯か、サウザンドマスターの息子が! まるで効かへんなぁ!」
「あ、ぐぅ」
 千草の高笑いに、ネギは絶望する。ネギ決死の攻撃は、確かに巨神を揺るがした。だが、それだけ。
 僅かなダメージも見受けられず、しかもネギの魔力は今ので尽きた。
 その絶望は、刹那も明日菜も同じ事。
 どうすれば、なんていう思考も浮かばない。ただ呆然と、その光景を眺めているだけだった。
 だが、ネギたちが絶望すればする程に、千草は慢心していった。
 今この戦場には、彼女たちが何度も煮え湯を飲まされた、最も警戒していたはずの男が存在していると言う事を、つい先ほど再認したばかりだと言うのに。
「なっ」
 紅い光条。その名は硬き稲妻、カラドボルグ。その改造型である、偽螺旋剣。
 既に存在を知られている以上、士郎に躊躇いはなかった。
 鬼神の不意をついた一撃は、その空間ごと頭部を削り取る。
 声にもならない悲鳴が、巨神の喉から、まるで質量を持ったかのように響きわたった。
「うっ、何よこれ!」
 明日菜の叫びも、その音にかき消される。誰もが耳を塞いでいた。
 音はビリビリと湖を揺るがし、やがてピタリと止まる。
 目に見えるスピードで、スクナは再生していた。あまりの巨体故にそれでも時間はかかるだろうが、このままのペースでは無力化できたわけではない事は明らかだ。
 千草もフェイトも、士郎による第二射を警戒した。
 が、宝具クラスの一撃は今の士郎の残存魔力では苦しい。螺旋剣はそれだけの魔力を籠めていた一撃だったし、現状、滅ぼせるかも分からないのに最後の賭けに出る事はできなかった。
 フェイトのネギによる拘束は既に解けている。だが、それでも動かないのは、未だ士郎がこちらを狙っている事を理解しているからだ。
 強い視線。先の奇襲では感じられなかったことから、これは意図的に発せられているものだ。
 おそらくは足止め。しかし時間の経過によって不利になるのは確実に士郎たちだった。
 巨神が再び活動を再開すれば、今度こそネギ含め士郎も終わり。ならば何故――。
 その思考の末に、フェイトはネギたちの姿がなくなっていることに気づく。
 千草もフェイトも、その意識は姿も見えない士郎に向いており、逆にネギたちはその間自由に動く事ができていた。
 時間にしては数秒という程度だが、気づかれない程度の距離を取ることには成功したのだ。
「僕が、杖でこのかさんを助けに行きます。それしかありませんから」
「でもアンタ、見るからに限界じゃない。まだ飛べるの?」
 飛べるか否かと問われれば、ネギはまだ飛べた。飛ぶだけならば。
 ただし問題は、いくら現状スクナの力を恐れる必要がないからと言っても千草は抗戦してくると言う事。
 ネギに残された魔力では、木乃香に辿り着く事はできても木乃香を奪い返す事はできない。そんな余力は雷の暴風で使ってしまった。
 しかし、頭部が吹き飛ばされていても倒れはしなかったスクナの肩は、まだ遠い。飛ぶ事ができなければ辿り着くことなどできないだろう。
「でも、僕しかできません! 僕がやるしかないんです!」
 それは、ネギにとっては明日菜を説得する為の言葉だったのだろうが、刹那の耳には責めるように聞こえた。
 そう。刹那には、あの場所まで到達する手段があるのだ。
 それを今まで黙っていた事。既に限界であると認めて尚、命をかけると言ってくれるこの少年の為に、刹那はついに決断した。
「いえ。私が行きます」
「刹那さん? でも、どうやって……」
「この姿は……禁忌です。これを見られた以上、私はもう去らねばなりません。でも、それでも、あなたたちになら……」
 屈んで、大切な何かを抱き締めるように、刹那は腕を交差する。
 一瞬の後、美しい白翼が刹那の背に開いた。まるで、花が咲くように鮮やかに、二人の視界が白一色に染まる。
「見せてもいいと、思いました」
 勇気はなかった。今の今まで、逃げ続けていた。
 でも、それももういい。刹那にとって二人は、そして木乃香は、例え嫌われても、醜い姿だと蔑まれても助けたい人たち。
 なら、もう躊躇うことなんか無かった。
 使わずにどうにか出来るのではないか、なんていう幻想は抱かない。
 足を落とされ、しかしどうやってか戦場復帰してきた士郎にも、頼らない。
 これは、刹那に許された、刹那だけの使命だ。もう誰にも、渡したりはしない。
「ネギ先生、このちゃんの為に頑張ってくれてありがとう。アスナさん、短い間だったけど、友達になってくれて嬉しかったです」
「ちょ、ちょっと! 何でそんなお別れみたいな……」
「もう、行きます」
 嬉しそうな、けれども泣きそうな顔で、刹那は二人を見つめたまま飛び立つ。
 いや、飛び立とうとした瞬間だった。
「刹那さんっ!」
 ネギが跳ぶ。なけなしの魔力をブーストに、無意識に風の魔法も使いながら、刹那と体を入れ替える。
「え?」
 石化の邪眼。強力な石化魔法はネギの魔法障壁を軽々と突き破り、その片腕を石にする。
 だが、ネギが盾となった事で刹那は無事だった。
 守られてばかりだ、と刹那は歯噛みする。士郎にも、ネギにも。
 ネギは今も必死に石化をレジストしているようだが、それも長くは保たないだろう。
 いや、下手に抵抗力が強い分だけ、肺が石化してしまった時点で酸素の供給が滞り危険な状態になる可能性もある。
「刹那さん……行って、下さい」
 ネギは、その自分の状態を良く分かっていた。
 だからこそ、告げる。木乃香を助けられるのは、もう本当に刹那しかいないのだから。
 ここは任せて、先に行け、と。満身創痍の体で、それでも立った。
「しかし、」
「刹那さん」
 明日菜がネギを、そして刹那を守るように、フェイトと対する。
「私、ううん、私たち、刹那さんがこのか連れて帰って来るの待ってるから。こっちは心配いらないよ。だって――」
 そこに、どんな決意があったのか。瞬きの後、明日菜の持つハリセンは先日のような大剣へと姿を変えた。
「――私が、ネギを守るから」
 今の明日菜は、理性の下で戦う決断を下している。
 ネギも刹那も、大丈夫だと思った。あの夜のような、暴走状態ではない。
 だが、不安はいくらでもある。
 明日菜だって鬼軍との戦いなどで疲弊している状態だ。ネギや刹那さえ敵わないような相手に、明日菜が敵うはずがない。
 それでも、刹那は今度こそ飛び立った。その決意を、無駄にはできなかったから。
 振り向かず、一直線に木乃香を目指す。
「光の一矢!」
 その刹那を撃ち落とそうとしたフェイトを、ネギが妨害した。
 しかし、いくらコストの低い魔法の矢だとは言え、ネギの抵抗力は削がれてしまう。もう、あまり時間はなかった。
 刹那が木乃香を奪還すれば、あるいはその力によってネギも助ける事ができるだろう。ネギの為にも、刹那は急ぎ木乃香を取り返さなければならない。
 条件は厳しかった。
 刹那が木乃香を奪還し、明日菜がもう動けないネギを守りながらフェイトを倒す。
 そんな事、不可能に近い。でも、誰も諦めていなかった。
 笑って麻帆良に帰る為に。修学旅行を最高の思い出で締めくくる為に。
 その瞳は、輝きを失っていない。
「僕と、戦うのかい?」
 ネギは答えられなかった。その代わりとばかりに、明日菜が声を上げる。
「ええ、そうよ」
 明日菜が強く柄を握りしめる。
 明日菜だって、勝てないという事ぐらい分かっていた。分かっていて尚、立ち向かわなければならない事があると、今学んでいる。
「なら、相手になろう」
 いかなる攻撃を狙ったのか、フェイトが明日菜を指さす。
 しかし、何かが起こる前に、その腕は引っ込められた。
 青い光芒、鋭すぎる一射。つまりその意味するところは、
「衛宮士郎か」
 ここでフェイトに迷いが生まれる。
 ここまでの過程、最初の不意打ち、その超遠距離攻撃と今の射撃、更にはスクナの頭部を吹き飛ばした攻撃を考えるに、士郎の得意分野は確実に長距離戦。
 この距離で、衛宮士郎を相手にしながら片手間で明日菜を倒せるか、という問題。
 それは難しいが、ここで明日菜とネギを無効化する必要性があるのも事実。
 もっとも、優先度は士郎の方が高い。無効化できるのならば、という但し書きが付いてしまうが。
 スクナの頭部が復活すれば、今度こそ慢心なく辺り一帯を吹き飛ばせる。
 士郎の追撃がないことから、フェイトはもう士郎に最大規模の攻撃はできないと判断していた。
 それならば士郎の攻撃を容易く凌げるか、と言えば確実に否。そもそも最初の奇襲が、どれだけ力を抑えられたものだったのか、スクナの頭部を見れば理解できる事だ。
 それに対抗する為の準備を、フェイトは既に終えている。だがだからこそ、特殊な能力を持つ明日菜の近くに居るのは命取りと言えた。
 先に衛宮士郎を無力化する。
 そう、決断したと同時、フェイトに朱光の一撃が迫った。





 フェイトが士郎の攻撃に対する迎撃、加えてその対策と行動指針を打ち立てている間、ネギたちにはとある人物から念話が届いていた。
 そう、限定的とは言え、麻帆良が保有する最強戦力。闇の福音と呼ばれ、闇の魔法使いの中で最強の名声を欲しいままにするエヴァンジェリンである。
『もう限界のようだな、坊や。まぁ、坊やはよくやったさ。だから神楽坂明日菜。お前が時間を稼げ。一分三十秒、それだけ耐えたら私が全てを終わらせてやる』
 ネギと明日菜、二人が驚きのリアクションを返す前に、その念話に士郎が割り込んだ。
『その必要はない』
『衛宮士郎。何だ、お前がいるなら問題はないか』
『デカブツは任せていいんだな?』
『フッ、私を誰だと思っている』
『ならば、こちらの命運、すべて貴女に託すぞ』
『衛宮士郎?』
 そこで念話は途切れる。
 士郎の攻撃手段、更には残された魔力の限界内でも、スクナを倒す自信のある武装はいくつかある。
 それでも、再生能力がある以上は出てきている上半身全てを吹き飛ばさなければならないのだし、それらの手段は衛宮士郎という人格にとって深刻なダメージを残す可能性がある。
 故に、助力を乞えるというのなら、それは諸手を挙げて歓迎すべき事だ。
 それも相手がエヴァンジェリンなら、士郎の安全度は飛躍的に上昇する。
 士郎は彼女に貸しがあり、悪の魔法使いとは言え、誇り高い彼女ならばその清算が終わるまでは士郎に手だしはすまい。
 また、既に刹那は木乃香を救出して離脱しており、かつスクナの復活にはまだ時間がかかりそうだ。
 木乃香が失われる事で制御不能になる可能性が一番怖かったが、それももう安心できる。
 よって、士郎もその全力を、この攻撃に費やせる。
「フルンディング」
 赤原猟犬。一度放てば、その魔力尽きるまで標的を追い続ける弾丸。
 が、それは威力があり過ぎる。
 音速と比較する事もできない程の超速は、ただそれだけで物理的な衝撃波が強風となって襲いかかる程。
 現在のフェイトの位置は、ネギや明日菜に近過ぎた。吹き飛ばされれば、多少のダメージは受けてしまうだろう。
 特に、片腕が石化しているネギは湖に落ちれば危ない。
 だが、士郎は撃った。明日菜の魔法無効化能力は、赤原猟犬の衝撃波を消せるものではないが、ネギ一人を守る程度ならば今の明日菜でも可能だろうと判断した。
 尤も、威力そのものは弱めてある。一射で決着がつかないのであれば二射目を、残った魔力をほぼ二分割して使用する。
 しかし、ネギたちへの心配は無用だった。
 驚くべき事に、フェイトは士郎渾身の一矢を受け止めたのだ。
 これは単純な力押しだった。フェイトが用意した防御術式は、通常の倍以上。だがそれでも、正確には受け止めているわけではなく、逸らそうとしているだけだ。
 フェイト自身もずるずると押し切られそうになりつつも、しかし剣弾は逸れた。
 勝った、とフェイトも思ったことだろう。だが、甘い。その程度では、衛宮士郎からは逃れられない。
「っ!?」
 フェイトが小さく、けれどそれまでの無表情と比べれば確実に追い詰められた表情で息を飲む。
 つい一瞬前に後に逸らしたはずの攻撃が、今度は後ろから、寸分違わずフェイトを狙い撃ったからだ。
 フェイトは半ば反射的に、魔法障壁に魔力を注ぐ。けれど、今回は踏ん張る事さえできずに吹き飛ばされた。
 いや、逆にそれはフェイトにとっては幸運。弾かれるように吹き飛ばされたが故に、矢は再びフェイトの脇を通りぬけていく。
 だが、ここまでくれば気づかぬはずもない。そう、この攻撃は――。
「転移? いや、これは自動追尾……っ。しかもこの威力は!」
 そう、繰り返される攻撃は、威力が落ちているように感じられない。
 正確にはその内蔵魔力は確かに減少しており、追撃可能回数も着々と減っている。
 が、それはフェイトにとって気の遠くなるような未来の話だ。一秒たりとも気の抜けぬ攻防は、一つのミスが死を呼び込む。そんな状況で、残り数十回など概算でも計るのは難しい。
「術者を……!」
 フェイトは駆けた。術者さえ消せば、この攻撃も終わると考えたからだ。
 その判断は正しい。だが問題は、射出した方向が分かるのみ、術者に転移されていては手が出せないというこの状況。
 しかし、フェイトにはもう選択肢がなかった。この追撃を防ぎ切る自信などないのだから、その行動は当然だと言える。
 殺るか殺られるか。一分にも満たない持久戦が始まった。














 
「来たれ、とこしえのやみ! えいえんのひょうが!」
 氷系呪文、その最高位。広範囲かつ高威力のその一撃の前には、流石の大鬼神も頭部を再生している最中の無防備な状態では抗えるはずもない。
「全ての命ある者に等しき死を 其は安らぎ也」
 完全凍結から、殲滅へと呪文が切り替わる。
 エヴァンジェリンとて、この殲滅呪文はそうそう使う事はない。
 人間であろうと魔族であろうと、必ず命を奪ってしまうからだ。
 だが、根本から消滅させても復活するような規格外なら話は別。むしろ手を抜いてはエヴァンジェリンの方が危ない。
「“おわるせかい” 砕けろ」
 しかし、結末はいっそ感動すら覚える程に呆気なかった。
 それ程までに、その力は隔絶しており、封印を解かれたエヴァンジェリンの真の力を物語る。
「おい坊や、大丈夫か?」
 明日菜の腕の中、荒い息をしつつもネギはその力を確りと網膜に焼きつける。
「ハイ。凄かったです、エヴァンジェリンさん」
「そーだろそーだろ。ふむ、その石化も近衛木乃香が戻ればどうにでもなるな。後は、衛宮士郎に借りを返しておくか」
 余裕の体で、エヴァンジェリンはチャチャゼロに士郎への助力を命令する。
 士郎が苦戦しているとも思えなかったが、借りは早めに返しておくに限る。そう思い、軽い気持ちで下した命令だった。
 なのに。













 本来森があったはずのそこには、巨大な爪痕の如き溝が残っていた。
 なぎ倒され、抉り取られた地面が、そこであった戦闘の激しさをありありと伝える。
 だが、最大の問題は、
「オイオイ、生キテンノカヨ、エミヤ」
 その中央で、ピクリとも動かず倒れ伏す衛宮士郎の姿だった。







茶々丸「人気投票では私の方が上なのに、何故か姉さんより出番がありません」
アキラ「2位で修学旅行にもついてきてるのに、最初しか出番がないよ」
月詠 「ふふ、人気投票で一票しか貰えなかったのに出ずっぱりだったウチは勝ち組って事ですな~」
茶・ア(怒ッ)
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