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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第36話


「逃亡戦」



 罠だ、と士郎は直感した。正しくは、今までの経験からその解を導き出した。
 刹那からネギたちが結界に囚われたという報告を受けた時、士郎は救援に向かうかどうかで悩んだのだ。
 今、木乃香強奪の最大の障害は士郎だ。
 刹那は月詠の方が上であると最初の戦闘で既に結果が出ているから、そこまでの危険視はされていないはず。
 ジョーカーである明日菜もネギと一緒に行動中であるから、敵にとって最も厄介なのは士郎である。
 今士郎がネギたちの救援に向かえば、木乃香の守りはガラ空きだ。とても刹那だけで守り切れるものではない。
 おそらく、今ネギたちを罠に嵌め監視している人間は捨て駒なのだろう。ネギたち、もしくは救援として向かった士郎に倒される役目。
 そして士郎がそいつを倒している間に、敵方は刹那から木乃香を奪い取る。
 ここで士郎が動くのは明らかに下策。失策であるとは理解しているが、しかし。
『どうしますか、士郎さん』
 刹那の念話が士郎の頭に響く。その声、いや思念には、任せろという言外の響きがあった。
 無論刹那とてそれがどれだけ困難な事かは理解している。少なくとも、木乃香に何も伝えないままこなせる事ではないだろう。
 現状、ネギたちは結界に囚われただけで直接的に被害が出たわけではない。楽観視できる状況ではないが、リスクを考えれば残るという選択肢が妥当だ。
『……ネギたちの救援に向かう。近衛は任せたぞ、刹那』
『はい、任されました』
 だが、失策を選ばねばならない時もある。
 約束があった。
 どちらともを守ると。この旅行で何一つ欠けるものなく、楽しい思い出で終わらせると。
 ならばそもそも迷うことさえ許されない。今士郎に求められているのは、全てを守れる幻想のような戦力だ。
 そう、かつて夢見た、全てを救える正義の味方などという幻想を。士郎は今一度、目指さなければならなくなった。
 













 衛宮士郎が現れたら、すぐに逃げろ。それが、小太郎が千草から与えられていた指示だった。
 しかし、小太郎にそんな命令を守るつもりなんてない。相手が強いというのなら尚更に。
 仮に負けたとしても、ここの結界は千草が発動させている為閉じ込めるという目的に支障はない。
 だから、もしも噂の衛宮士郎が現れたら、どれ程のものか確かめてみよう、と。
 そんな、好奇心めいた思惑から、この場の守りを引き受けていた。
 だが。
「そろそろ寝たらどうだ?」
 圧倒的、だった。
 強い弱いという次元ではなく、ただ勝てない。どれほどの差があるのか理解することさえできず、ただ絶望的に遠いという事だけを悟る。
 ネギを探していた明日菜たちも、その戦闘を遠巻きに眺めるだけだ。
 手を出せるようなものではなく、また必要ない事を明日菜は分かっていた。意識のないネギを抱えてこの場を逃げる必要さえない。
 ただ、その決着が訪れるのを静かに待っているだけで良かった。
「……アンタ、何モンや」
 小太郎は声が途切れないよう、気力を振り絞って問う。
 ネギとの戦いのダメージは確かに深刻だった。だが、仮に体調が万全だったとしても結果は変わらなかっただろう。
 恐らくただの一撃で同じくらいのダメージを受けて、今のように獣化をして尚あっさりと倒される。
 それが分かってしまったからこそ、それだけの差がある相手に、特別な何かが欲しかった。
 負けた理由、そして目指すべき目標として、このまま前に歩いていく為に。
「すまないが、問答している余裕はない。君にはここで退場してもらうとしよう」
 ガツン、と。無情にも答えは与えられることなく、重い一撃によって小太郎の意識は刈り取られた。











「ねえ、あの子あのままでいいの?」
「大丈夫だろう。障壁は抜いたから、混じりものであろうとも半日は動けないはずだ」
「まぁ、士郎さんがそう言うならそうなんだろうけど……というか、何でここに居るの?」
「刹那から式神経由でお前たちの窮地を聞き付けたのでな。もっとも、既に戦いは終わっていたようだが」
「え? でもアイツまだ動けたじゃない」
「あんなのは痩せ我慢だろうさ。それより移動するぞ。急いで刹那と合流しなければならないからな」
 そう言ってネギを軽く担ぎ、士郎はぐんぐんと歩きだす。遅れないように歩き出してすぐ、いるはずのないその姿を明日菜は見つけた。
「あれ? 本屋ちゃん?」
「あうぅ、アスナさん……」
 何故か涙目ののどかが、うるうるとアスナを見上げる。士郎からは視線を逸らしているように見えるのは、この涙目の原因が士郎にあるからなのだろう。
「お前たちを追ってきたようだ。まったく、ネギにも素人の尾行ぐらいは察知してもらいたいものだがな」
「あのっ、すいません! 私が勝手に……」
 ネギが怒られていると感じたのか、必死でフォローしだすのどか。
 その真摯な姿に居心地が悪くなったのか、士郎は渋面をつくり、しかし素知らぬ顔で話を続ける。
「宮崎の問題はまた後にしよう。現状最優先すべきはこの結界の突破だな」
「でもさ、こんなのどうしようもなくない?」
「空間を繋げているのならば必ずどこかに基点と歪みがあるはずだ。そこを探し出し叩けば術は解ける。だが……」
 空間の亀裂と成り得る歪みならば士郎でも探知できる。
 だが、術式の基点となると難しい。士郎はこの世界の術式に対して詳しくないという理由もあるが、最大の理由はこの世界のマナ濃度にある。
 士郎にとってこの世界は常に異常を感じる程にマナが豊富だ。故に、純粋に空間に作用している要素ならばともかく、術式を維持する為の基点はもっと強いもののせいで感知できない。
 流石にこのマナ濃度にも慣れてきているが、それでも物理的ではなく、しかも隠されているものを探し出すのは至難の技だ。
 時間をかければ探し出す自信が士郎にはある。歪みから基点の位置もある程度は推察できるから、その範囲を重点的に調べればいい。
 だが、今はそんな事をしている暇はない。
 親書の受け渡しを妨害する役に一人しか人員が割かれていないという事は、木乃香奪取には少なくとも前回交戦した三人が向っているはずだ。
 あの白い少年・フェイトの戦闘力は計り知れない。刹那では逃げる事さえ叶うかどうか。
「あのっ」
 もはや力技、宝具による一撃で歪みごと吹き飛ばしてしまおうかと思考が至った時、のどかが彼女にしては大きな声で遮る。
「私、何とかできるかもしれません」










「シャダ」
 ちびせつなが呪文を唱える。効果は気付けだ。
 これにより小太郎の意識を無理やりにでも覚まし、のどかのアーティファクト『いどのえにっき』により結界の解除方法を“読心”する。
 この方法には最初、士郎が難色を示した。士郎としてはできればのどかには全てを忘れ去り安穏と暮らして欲しいわけで、具体的には瀬流彦に記憶消去を頼むつもりだった。
 だから、出来うる限りこちらの世界には関わりを持たせたくない。関わりを持つ程に危険は増していくし、戻るのも難しくなる。
 だが、どうにものどかはアキラのように聞きわけが良くなかった。いや、アキラはアキラで譲れない一線というものがあったから、のどかにとってはそれがネギに関して集約していただけだろう。
 ともあれ、今回は士郎が折れた。というより、問題を先送りにした。
 今はまだ刹那たちの方にも敵は現れていないようだが、それも恐らく時間の問題。最終手段として文字通りの切り“札”は渡してあるが、それを使う暇を与えられなければ意味がない。
 何よりも急ぐ必要があったし、アーティファクトの使用条件を話に聞く限り士郎さえいれば危機は回避できる。同じくちびせつなによって意識を取り戻したネギもいるし、敵の増援でもない限りのどかに危険が及ぶ事はない。
 もしも、のどかが士郎に見つかる前に小太郎の名前を聞いていなかったら、この方法にも士郎は異を唱えただろうが、幸いにしてのどかは読心の為の全ての条件をクリアしていた。
「ううっ」
 まだ意識がハッキリとしないのか、小太郎の瞳は焦点があっていなかった。しかしそれは好都合。早速のどかが絵日記片手に質問を発する。
「小太郎くん。ここから出るにはどうすればいいんですか?」
「あ? ここから……」
 少しずつ小太郎の目に色が戻ってくる。
 それと同時に、断片化していた情報が一気に繋がり情報を引き出す事に成功した。
 それを見るや、もう一度小太郎が暴れ出す事がないように発したネギの眠りの魔法が発動する。小太郎の意識は再び回復の為の安息に戻った。
「ゴメンね、小太郎くん」
 のどかが小さく謝った。
 士郎はそれを見て、尚の事のどかに魔法には関わって欲しくないと感じる。
 敵や味方という感覚さえもなく、この程度の事にも罪悪感を抱けるのなら、やはり彼女は日常の中で生きるべき存在なのだと。
 歪みもなく正直にそう感じているのなら、この世界は少しばかり苦しすぎると、士郎は思った。
















 もう既に、事情を説明しなければならない程度には事態が切迫している事を、刹那は感じながらも押し黙っていた。
 こんな決心さえつかないのかと、自分自身に腹が立つ。
「せっちゃん、次どこ行くー?」
「あ、私はどこでも……」
「うーん、ウチもせっちゃんと一緒ならどこでもえーんやけど」
 刹那には、悠長に悩んでいる余裕なんてなかった。周囲の警戒もこなさなければならない上に、そもそも木乃香と二人で観光しているという今の状況がそんな冷静さを許してくれない。
 精一杯の虚勢で士郎を送り出したものの、やはりそれは失敗だったのではないかとネガティブになる。
 話すか、話さないか、という二択。
 でもそれは、いつの間にか刹那の中で意味が変わっていた。
 今の、この心地いい時間を少しでも長く続けていたい。そんな願いが、刹那を縛る。
 しかし前回の敗北は、刹那にリスクを考えさせるのだ。木乃香の事を第一に想うのなら、どうするべきなのか。
 その答えは、未だ決まらない。いや、決まっていても、それが自分に実現可能なのだと信じる事ができない。
 衛宮士郎ならば、あるいはそれも可能なのかもしれない。そう、刹那は考える。
 しかし、そもそも事情を話せという命令はその士郎が発したもの。刹那に逃げ場はなかった。
「せっちゃん、ちょっとあそこで休まへん?」
 木乃香が指さした先は京都ではよく見かける茶屋。観光客向けで割高ではあるが、座って休憩するぐらいには丁度いい。
 木乃香は適当にお茶と団子を注文すると、ほぅっと息をついて腰を下ろした。
 その仕草を、刹那は木乃香らしくないと感じる。得体の知れない不安感が刹那を包んだ。
 刹那が今まで感じた事のない種類の嫌な予感。兆候と言ってもいい。魔物と対峙した時の焼けるような緊張感とは程遠い、粘り付くような嫌悪感だ。
 その仕草はそんなに恐れるような類のものではない、と理性は判断を下している。しかし、実際には刹那の額に汗が浮かんでいた。
 嫌悪感は張り付いた髪のせい、と出来たら良かったのだけれど。
「ウチな、せっちゃんに謝りたい事があるんよ」
「私は、お嬢様に謝られる事などありません!」
 つい語尾が強くなってしまったのは、そうでもしなければ木乃香に向き合う事もできなかったから。
 もしもこの場に明日菜なり士郎なりが居たのなら、まだ刹那は平静を保てただろう。いや、せめて士郎が守ってくれている、自分の代わりに警戒してくれているのなら、刹那は自分の感情に正直になれたかもしれない。
 しかし現実には、この席は刹那と木乃香の二人だけ、切り取られた空間のように孤立無援で、しかも刹那は敵の襲撃も警戒しなければならない。
 こんな事態は、刹那の許容量を超えている。こんな事ならば士郎を行かせるのではなかった、なんていう二度目の後悔を思考の端に置いておく余裕もない。
 あまりに余裕がないので当然ちびせつなもネギたちの前から姿を消し、あちらも大慌てなのだがそれは現在関係なかった。
「ううん、あるんよ。それも、つい最近の事で」
 そこで、刹那の余裕は少しばかり回復した。少なくとも、無意識で恐れていた最悪の予想ではないと理解できたからだ。
 だが、仕えると定めた主君に謝られる事ほど気持ちの悪い事はない。イタズラを怒られるのではなく褒められてしまったむず痒さというか。
 特に刹那は褒められる事、感謝される事に慣れていない。自分が思い返せないような事で謝られても困るだけだった。その相手が木乃香であるというのなら、尚更に。
「士郎さんの、事なんやけど……」
「!」
 ドクン、と。鼓動の音さえ聞こえる程に、刹那はその一瞬体が強張る程に緊張した。
 別に、木乃香の話の内容についての反応ではない。刹那がその話に意識を傾けるよりも前に、ソレは襲来した。
 遥か遠方、未だ刹那の眼を以ってしても視認できない距離からの狙撃。木の枝の合間を縫って放たれたソレは、素手でいなすには大き過ぎた。
 結果的に、刹那は夕凪を抜いた。その矢は、木乃香を狙うものではなく明らかに刹那だけを狙ったものだったが、ここで刹那が倒れる事は即ち木乃香が奪われてしまう事を意味する。
 それだけは、避けなければならなかった。
 本当は。刹那の考える最良、木乃香には何一つ伝える事なく裏から影から全ての障害を取り除く。
 そんな理想形を実現する為に、刹那は夕凪を抜いてはいけなかった。
 どんなに速く抜いて、どんなに速く鞘に収めたとしても、直ぐにここから離脱しなければならない以上どんな言い訳も通用しない。
 いや、今度こそ本当に語らねばならない。語る余裕がなかったとしても、信じて納得して貰うしかない。
 刹那の思考は、一秒前に始まっていた木乃香の打ち明け話の事は真っ白に忘却して自分の都合で埋め尽くされた。
 それが幸運であったのかどうか、それは定かではない。少なくとも、木乃香にとっては不運だと言えるだろう。
 木乃香だって、表面上は変わらないように見えたとしても、内に様々な葛藤を抱えている。勇気を振り絞らなければならない選択だってあるのだから。
 タイミングを逃してしまうと、次の機会を掴むのが難しくなる。それが勇気の必要なものなら尚更に。
 かつてのような楽しい時間に、名残惜しさと少しでも長く続けたいという願いを持っていたのは刹那だけではなかった。
 木乃香にとっては自分が狙われているという非現実的な事象よりも、この絶好のタイミングを奪われた事がもっとも腹の立つことだったに違いない。
「お嬢様、こちらへ!」
 刹那は、木乃香の手を引いて駆けだした。お茶は飲んでいないし団子も食べていないから、食い逃げにはならないものの突然消える事には少々気が引ける。
 もっとも、そんな事を考えている余裕などない。突然手を引かれた木乃香は何が何やら理解が追い付いていないし、刹那は焦りが強すぎて正常な判断ができている自信がなかった。
 なるべく人気のない、それでいて障害物の多い路地裏を選んで進む。
 敵との距離は正確に掴めないものの、多数に囲まれつつあるという事実には気づけていた。木乃香のスピードに合わせていては確実に捕まってしまう。
「お嬢様、失礼します!」
「はひゃっ」
 俗に言うお姫様抱っこというヤツだが、それがこれ程似合う少女もなかなかいまい。刹那が服装によっては美男子に見える事もあり、特に映える構図だった。
「せ、せっちゃん、一体どないしたん?」
「賊に追われています。狙いはお嬢様のようです」
 言った。口から出てしまえば、刹那に抵抗感はなかった。敵に追われているという、極度の緊張状態にあるせいかもしれない。
「ウチが、狙われとるん?」
「はい。近衛家は関西でも名のある名家。お嬢様の誘拐を企む者なら事欠かないのです」
 実際はもっと込み入った事情があったのだが、今はこれ以上の説明は不可能だと刹那は判断する。別に、魔法について語りたくなかったという感情的な理由ではない。
 これが一番分かり易いと思ったし、実際金銭目当てで誘拐を企てる愚か者が居ても不思議ではない。
 今回は、そうだったらどんなに良かったかと思える程に最悪な状況であるだけで。
「警察に……」
「大丈夫です、お嬢様。私が守って見せます」
「せっちゃん……」
 さすがに苦しいかと思ったが、慮外に木乃香は感動していた。
 警察などに連絡したところで何の役にも立たないし、むしろ今最優先で連絡すべきは式神での連絡手段も切れてしまった士郎なのだが、生憎刹那の手は塞がっている。
「お嬢様、士郎さんの連絡先を知っていますか?」
「? うん」
「では、急ぎ士郎さんに電話をかけて下さい。救援を頼みます」
「士郎さん、に?」
 その名前を聞いて、木乃香は少し訝しむように復唱した。
 もしかしたら、刹那が守ると宣言した直後の救援要請にガッカリしたのかもしれないし、そもそもこの手の緊急事態に士郎の手を借りるという発想が予想外だったのかもしれない。
 実際は、もう少し込み入った乙女的事情があったりするのだが、現状の刹那が答えに辿り着くには情報不足が過ぎる上に余裕もない。
 もしも、先ほどの木乃香の話が途切れることなく続いていたのなら、或いはその感情の正体に気づく事ができたかもしれないが。
 ともあれ、木乃香は刹那の返事を待たずして発信履歴から士郎の携帯を呼び出す。今朝木乃香から掛けたばかりだったから、表示は一番上だ。
 通話ボタンを押して、耳に当てようとしたその時、
「なっ!」
 巨大な針が、木乃香の携帯をピンポイントで打ち抜いた。
 幸い木乃香に怪我はなかったものの、一歩間違えれば今頃木乃香の頭には紅い花が咲いている。
「月詠っ!!」
「うふふ、やっと見つけましたえ」
 針の射手は月詠だった。
 追いつかれてしまっては、もう終わりだ。月詠相手に人を一人抱えて立ちまわれる自信など刹那にはない。
 遮蔽物を意識し過ぎたせいで人気のない、人気の無さ過ぎる区画に入り込んでしまったようだ。これでは結界を張るまでも無く戦闘が可能だろう。
 おそらくそのつもりで、月詠も姿を表した。唯一の懸案事項である士郎の救援を確実に封じる為でもあったのだろうが、実質これで詰みになる。
 唯一可能性があるとすれば、他の敵が出てこないうちに月詠を刹那が倒してしまう事だ。が、神鳴流の技に衛宮士郎の刀を持っている月詠は反則級の存在である。
 技量はともかく、装備で劣り木乃香という弱点を持っている刹那に勝ち目などない。
「せっちゃん。ど、どないするん?」
 最悪な事に、白髪の少年と猿女までもが到着し、包囲網は完全になってしまう。
 これでは、木乃香を連れての逃走も不可能に近い。
 だが、諦めるわけにはいかなかった。心細そうな声で、刹那の袖を掴む木乃香の為に。
 そして、刹那の願いを満たす為にも。
「大丈夫、このちゃん。ウチが、絶対守ったるから――」
 そう微笑んで、刹那は士郎から託された切り札を、躊躇いなく使用した。















アスナ「ちょっとネギ! 一人で闘うなんて何考えてるのよ!」
カモ「そうだぜ兄貴! 勝ったから良いようなものの、これからはちゃんと姐さんと力を合せて……」
士郎「まぁ待て。私はネギの行動を支持するぞ」
ネギ「え……?」
アスナ「何言ってるのよ士郎さん! ネギは死にかけたのよ!」
士郎「それでも、戦わなければならない時がある。どんなに勝ち目のない戦いであろうとも、男であるなら逃げられない戦いがな。なぁ、ネギ」
ネギ「ハイ。僕は今回の選択を後悔していません」
アスナ「もうっ。次は許さないからね!」

のどか「あ、今のネギ先生の横顔カッコイイ……でもどうしよう、なんだか私忘れられてるような」(拍手)
 
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