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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第35話


「勝利は己が手で手繰るもの」


 ネギは、明日菜を戦わせないつもりだった。
 子供故の傲慢。気づかない内に天狗になっていた、わけでは断じてない。
 先の戦いにおいて、ネギは自分がほとんど役に立っていなかった事を痛感している。
 己の力不足が明日菜の“暴走”を引き起こしてしまったのだと、責任を感じていた。故に、もうあんな事は起こさせまいと決意していたのだ。
 しかし、その決意にも方法が伴わなければただの感情論になってしまう。ネギは、できれば明日菜を連れてきたくなかった。
 だが、半ばこの防衛チームの司令塔となりつつある士郎の判断はネギとアスナのコンビであり、それに対して異議を申し立てる前に明日菜が了承してしまった。
 あまり時間もなかったし、恐らく敵が集中して奪取に向かう木乃香と一緒に行動するよりは、こちらに居た方が安全かもしれない。
 そう、自分を納得させて、ネギはこうして関西呪術協会本山へ通じる門――その鳥居の前に居た。
「アスナさん、ネギ先生、大丈夫ですか?」
「わっ」
 ぽんっという音と共に現れたのはちびせつな。ここ数日で士郎は慣れたものだが、ネギとアスナは初見だった。
「せ、刹那さんですか……?」
「はい、連絡用の分身みたいなものです。士郎さんに言われて見に来ました」
「はぁ……ちっちゃいと可愛いね、刹那さん」
「そ、そうですか? あの、ちびせつなとお呼び下さい」
 へへへ、と照れるちびせつなは確かに愛らしかった。本体が普段あまり表情を変えない事もあって尚更そう感じられる。
 ひとしきり照れた後、ちびせつなは存在意義を果たすべく注意事項を述べた。
「この奥には確かに本山があり、長も居られるはずです。しかし、東からの使者が歓迎されるとは限りません。奴等の妨害も有り得ます。十分注意して進んで下さい」
「はい。分かっています」
 ネギの声は、普段よりも重い。それに気づく事無く、明日菜は少し困ったような笑顔でちびせつなに答える。
「うん、役に立つか分かんないけど、一応私のハリセンも出しとくし」
 来たれの呪文に呼び起されて、ハリセンが明日菜の手に収まる。ネギはそれを確認した後頷いて、自分を鼓舞するように宣言した。
「行きます!」
「OK!」
 そうして、二人は本山への行く手を阻む罠・空間連結結界『無間方処の術』の中に、一歩足を踏み入れた。













 のどかたち三人は、和美の思惑とは逆にネギを捕まえる事に成功していた。
 明日菜と待ち合わせをしていたようにしか見えないネギにのどかは僅かながら不安になるものの、一緒にいられる幸せでそんなものは吹き飛ぶ。
 のどかはずっとネギを目で追っていた。
 だから、ネギが明日菜と二人で抜け出した時も尾行するように付いていく事ができる。
 この時夕映とハルナに話さなかったのが何故なのか、それはのどか自身にも分かっていなかった。
 欲と呼ぶにはあまりに簡素な独占欲。ポケットの中にある一枚のカードがそんな不思議な気分にさせているのだろうか。
 その答えをのどか自身は求めていなかったし、そもそもそんな疑問に気づいてさえいない。
 彼女はただ、興味本位という分かり易い言葉からネギとアスナの行動を知りたいと願っているだけ。
 ネギとアスナは、のどかよりもずっと歩くのが速い。自然のどかは早足になって、部活で鍛えていると言っても体力はやっぱり平均以下なのどかは時折休憩が必要になった。
 となると自然二人を見失う事になる。二人についてきただけなので土地勘もなければ、地図上でどの辺りなのかさえ分からない。
 とりあえず目印になりそうな大きな建物、有名そうなものを探して練り歩いていった。
「私……何やってるんだろう」
 学生の一大イベントである修学旅行。その貴重な時間を、こうして一人虚しく歩いている事に疲れ始めていた。
 想い人と一緒にいたい一心で友達から離れて行きついた先が迷子。悲嘆に暮れるのも無理はない。
 そんな風にネガティブになっていたのどかは、ふと今朝和美に囁かれた言葉を思い出した。
『誰もいない所で“アデアット”って言ってごらん』
 周囲を見渡し、誰もいない事を確認して、のどかは近くのベンチに腰をおろした。
 微かに、非現実的な期待感がある。
 ネギとのキスの記念に、特別性があるのなら、のどかにとっては嬉しい事だ。ネギとの繋がりがより深く感じられるし、あのファーストキスをより特別に感じる事ができる。
 だから、何が起こるのかなんて、そんな無粋な想像は一切しないで、若干の緊張を孕んでのどかは唱える。
「アデアット」
 瞬間、風が巻き起った。スカートが翻り慌てて押さえつける。
 カードは光を放ったと思ったら、いつの間にか本になっていた。もうカードの姿はない。
 不思議だなーとのんびり考えて、その現実を疑う事無く順応したのどかはそのまま本を開いてみる。
「!?」
 パタンッ。開いて数瞬、目に入ったものを理解するとのどかは即座に本を閉じた。
「こ、これって……」
 そこに記されていたのは昨夜の事。書いた覚えもない赤裸々な自分の日記。あるいは心の内か。
 恐る恐るもう一度本を開いてみると、やっぱりソレはそこに在った。
「あ、あうぅ……こ、これはマズイものですー!」
 と言いつつも、のどかは使用方法らしき注意文に目を通した。
 どうやらこれは名前を唱えた相手の心を絵日記にして写すものらしい。
 この時点で、のどかは本の中の世界に迷い込んだ気分になっていたが、それは恐怖を煽るものではなくむしろワクワクとした高揚感をもたらすものだった。
「夕映」
 試しに友達の名前を呼んでみる。しかし絵日記に変化はなかった。
 効果範囲から外れているのだろう。単位は見た覚えのないものだったから具体的な数値は分からない。でも、多分見えるぐらいには近づかないと無理なんだろうなと考えた。
 これが本物なのかどうか。そんな疑問は既に抱いていないのどかだったが、それでも本当に出来るのかを試してみたいと思うのは人間として普通の行動だ。
 そう、想い人の心の内を覗いてみたい。そんな考えが頭を過ったとして、一体何がおかしいだろうか。
 妄想で終わってしまうはずのそんな願いを叶える手段が、今手元にある。
 どうせ効果範囲から外れて現れないだろうという予想があるから、それがイケナイことだと分かっていても、唱える抵抗感は少なかった。
「ネギ先生」
 しかし、予想に反して絵日記は少年の現状を正確にのどかに伝えた。
「たっ、大変!」
 駆けだした自分に、一体何ができるのか。
 そんな事は考えないまま、のどかは不安を振り払うかのように、絵日記が示す場所へ急いだ。










「へへ、どや。障壁抜いたで。今のは効いたろ」
 黒髪の少年・小太郎が言うとおり、顎を撃ち抜かれたネギは立ち上がるのも苦しい程のダメージを受けていた。
 視界は一瞬白く染まり、鈍い痺れが体を支配する。
 明日菜を守り、戦わせないという決意が、いかに薄っぺらいものに支えられていたのか。
 自分の身も守れないような者に、守れるものなどあるはずがない。そんな簡単な事実を、痛いほどに思い知った。
「ぐぅ……」
 呻く声さえかすれている。血の味が口の中に広がるが、その不快感さえ感じている余裕はない。
 ただ悔しさと苛立ちが、自分に対して膨れ上がっていく。
 その感情とは裏腹に、理性はしっかりと、今自分に出来ることを探していた。いや、幾つもの事柄を考えている余裕がなくなっていたのかもしれない。
 何が最も効率的で、どうすればこの危機を脱する事が出来るのか。
 幸いこの小太郎という敵は、女の子に手を出す事はないらしい。
 ――なら。やるべき事は、決意を守る為に出来る事は決まっている。
「風……喚」
 血が混じった唇を動かさないように詠唱した。顔は上げない。気づかれないように俯いたまま、負け犬のように転がっている。
「そんなんじゃ、お前の親父のサウザンなんとかも大したことないんやろ!」
 ブチッと。血管が切れる音がした。
 許せない。だが、ネギは激昂しそうな精神を何とか押し留めた。
 今ここで感情に訴えては意味がなくなる。守れなく、なる。
 待ったのはおそらく数秒。そして、チャンスは訪れた。
 ちびせつなの呪文が、カモの投げたペットボトルの水分を霧に変え目くらましとする。
「姐さん兄貴を頼む!」
「OK!」
 ネギは、アスナが近づいてくるのを足音で確認する。敵の少年の気配にはあと三歩。
 狙い通りに事を進める為に、ネギは唱えていた遅延呪文を開放した。










「ねぇ。これ、どういう事?」
 明日菜の、呟くような声が響いた。それに答える者はいない。
 目くらましによってその場を離脱した明日菜たちだったが、明日菜が掴んで連れてきたと思っていたのは風精による分身だった。
「私たち、ネギと逸れたって事よね」
「どちらかと言うと、ネギ先生が望んで私たちとは別行動を取ったと考えるのが妥当ですね。わざわざ分身を用意していたんですから」
 そう、ネギは自分の意思で、一人戦いに臨む決意をした。
 それはある種自己中心的な考えだ。
 今の明日菜に戦う覚悟、決意があるかと言えば答えは否だ。所詮明日菜の考えは現実を知らない子供のもの。
 しかしそれと同じくらい、ネギの行動も幼稚なものだ。そんな選択をするぐらいならば、初めから明日菜を連れてくるべきではないのだから。
 確かに、敵である小太郎は女を殴らない主義だと宣言してはいるが、敵の言う事を信じるなど愚策に尽きる。
 連れてきてしまった以上、そこに一度は納得してしまった以上、ネギの選択は愚かとしか言いようがなかった。
「ねえカモ。ネギの居場所分からないの?」
「兄貴が魔法を使えば魔力を感知できるが……今は自分で抑えてるみたいだからな」
「あのバカっ……!」
 明日菜が唸る。
 そう広い場所ではないから闇雲に探すだけでもネギは見つかるだろう。だが問題は、同じく闇雲にネギたちを探しているであろう敵と遭遇しないようにしなければならない事。
 それに、この結界内では自分がどれだけ進んだのかが分かり辛い。感覚的には無限の距離感なのだから、いくら頭でループしているというのが分かっていてもやり難い。
 だが、だからと言って手をこまねいているわけにはいかなかった。こうしている間にも小太郎がネギを見つけてしまうかもしれないし、何よりこのままでは心配で居ても立ってもいられない。
「待ってなさいよ、ネギ!」
 自分が見つかる事など全く気にしないで、明日菜は駆けだした。















 勝算はあった。
 ただ、それを一人でやろうとしたのは、結局のところ自己満足なのだろう。
 五分五分の勝算は、三分七分まで下がる。でも、それでもいいとネギは思った。
 合理的ではない思考、効率的ではない行動。ネギは初めて、目的のない戦いの為剣を執る。
 こうして一人で戦うのは、明日菜を守る為なのだ、と自分に言い聞かせて。
 この戦いは、親書を渡す為に必要なのだと信じ込んで。
 そんな表の理由だけじゃない。ネギが気づいていなかったとしても、その底に溜まっているのは最後、あの少年に言われた、言わせてしまった一言だ。
「父さんは……いや、僕の力で」
 認めさせてやる、と。父は偉大で立派な魔法使いである事を。
 結局それが本音だった。勿論明日菜を守りたい、戦いから遠ざけたいという思いもある。だがそれは逃げ道だったというだけ。
 それに、結果さえ出してしまえば大概の事は大目に見てもらえるという事を、ネギは経験で知っていた。
 表面上の傷は、治癒呪文で癒している。多少疲弊しているものの、魔力に問題はない。
 準備は整っている。後は、迎え撃つのみ。
 この結界内で敵を迎え討とうと思うのなら、まずは直線で敵を補足する必要があった。前ばかりを見ていて後から攻撃されたら拙いからだ。
 その為の備えも万全。前方後方、どちから来ても察知できるように探知用の精霊を配置してある。
 前方と後方にそれぞれ100メートル以上の間隔。これだけあれば、相手がいかに早くても対応できる自信があった。
 そして、ついにその時は訪れる。ネギは呪文を唱えながら表に出た。
「見つけたでぇ、チビ助!」
「迎え討て!」
 数多の風霊による分身体。今度は目くらましの為のものではなく、隙を作る為の一手。
 狙い通り小太郎は、それらの分身を殴り蹴り、時に飛び道具を使いながら一瞬で消しさる。だが、それだけあればネギには十分だった。
魔法の射手サギタマギカ 連弾セリエス雷の17矢フルグラーリス
 雷属性の魔法の矢が、立て続けに小太郎を襲った。魔法の矢は基本的な攻撃魔法であるが、数が揃えば驚異となり得る。
 特に雷属性には雷撃による痺れという付加効果があり、小太郎にとっては威力よりもそちらの方が厄介だった。
 直撃を食らえばダメージはともかく、足が止まり大きな隙ができる。その間に強い呪文を唱えられたら耐えられるかどうかは分からない。
 だから、全てを避けられない以上、護符に頼る他に手段がなかった。
「あっぶなー、なんつー威力や」
 実際、ネギの魔法の射手は平均的な魔法使いのソレより強力だ。とは言え、魔法の矢においては一本一本を強くするより数を増やした方が効果的である為、あまり意味はない。
 関西、陰陽道において、収束放出系の術は少ない。弾幕を張れるような術者となれば更に稀有な存在となる。
 故に、小太郎は砲台タイプの術者との戦いには不慣れだった。式神の使う物理的な矢ならばともかく、これほどの数は経験にない。
 距離を保っている以上は、戦いの主導権はネギにある。つまり、この連弾で仕留める事ができるかどうかが、鍵。
我が手に宿りてイン・メア・マヌー・エンス 敵を食らえイニミークム・エダット 白き雷!!フルグラティオー・アルビカンス
「うがあぁぁぁ!」
 その雷は、小太郎に直撃した。一瞬の隙、止まった足、それらはネギの呪文編成の賜物と言えるだろう。テンポのいい呪文をタイミングよく唱えるのは、実践経験が少ないと難しい。ネギの実戦での適応力の高さは、才能と言う他ないだろう。
 魔法使いによる対戦士基本戦術だが、基本であるが故に効果的だ。そしてネギは基本においてこそ、その真価を発揮する。
 ――だが。基本を用いて勝つ事ができるのは、地力で勝っている場合のみ。
「やるやないか、チビ助ぇ!」
 もうもうとたちこめる土煙の中、小太郎は立ち上がり一陣の風となってネギに突撃した。
 そもそも、魔法使いの魔法障壁にしても、陰陽師が使う護符にしても、意識外からの攻撃にさえ反応するという特質が何よりも優れている。
 勿論意識した方が効果が増すし、魔力を使ってブーストする事も可能だが、護符は“持っている”というだけで発動するのだ。
 完全な不意打ちというわけでもなかった正面からの攻撃で、倒し切る事はできない。
 そしてそれは、致命的な失敗となる。もうネギと小太郎の距離は15メートル程度。小太郎ならば数秒とかからず接近戦に持ち込める距離だ。
 今から呪文を唱えられたとしても完成する前にキャンセルさせる自信はあったし、仮に唱え切ったとしてもその程度の威力ならば驚異には値しない。
 だと言うのに。ネギは、小太郎に向かってニィっと笑った。
解放エーミツタム 魔法の射手サギタ・マギカ雷の三矢フルグラーリス!」
 至近距離で発動したその呪文を、今度こそ小太郎は護符もなく直撃した。
 遅延呪文。ネギが小太郎を察知した瞬間に唱え始めた呪文だった。
 これがネギの隠し玉だ。相手にこちらの攻勢を『凌ぎ切った』と思わせ、その心理的な隙を突く。
 『白き雷』で護符を使い切らせた事が更に高い効果をもたらし、小太郎は雷の矢の付加効果である雷撃を受けて軽い麻痺状態になった。
(やった……!)
 思わず声に出してガッツポーズをしそうになったその刹那、ネギは自分の失策に気がついた。
 遠い。
 雷の矢による麻痺は、そう長く続かない。本来ならばこれはゼロ距離で放ち、そのまま格闘戦に移行する予定だった。
 しかし、この距離では接近する間に麻痺が解けるかもしれないしし、まして呪文は間に合わない。
 そんな一瞬の迷いが、勝敗を分けるものである事を、ネギはまだ体験していなかった。
 この直撃ダメージで小太郎が倒れてくれれば問題ないが、それでも向かってくるのならばマズい。これが戒めの風矢ならば勝負は決まっていたが、倒すことに拘って雷を選んだ事が仇となる。
 そして案の定、小太郎は鈍いながらも動きだした。鈍いと言ってもネギよりは格段に上のスピード。先手を取れなければ格闘戦は難しい。
「痛かったで、ネギ!」
 小太郎は、初めてネギの名前を呼んだ。それは、相手が自分と同等であると認めたからなのか。目の前の敵はチビ助ではなくネギという好敵手である、と。
 手加減などない。出し惜しみもない。まだ痺れが残っているだけで、ダメージはあるものの動きに関わる程ではない。
「ぐっ、はっぅ」
 バックステップで距離を取ろうとするネギに、更に速く回り込んだ小太郎のアッパーが迫る。
 速い、とネギが考えるより先に拳は飛んでくる。一発一発が重く、障壁があるというのに一瞬呼吸が止まった。
 これでは先程の焼き直しだ。いや、明日菜がいない分だけ更にネギには不利だった。
 ラッシュに次ぐラッシュ。絶え間ない連打は、格闘戦の実戦が初めてであるネギに捌けるものではない。
「ネギーっ!!」
 戦闘音を聞き付けたのか、遠くから明日菜の声がネギの耳に届いた。
 その声を聞くと、不思議な事にネギの中に活力が生まれる。
 絶望していたわけではなく、まだまだ闘志は尽きていなかったが、それでも絶え間ない痛みは容赦なくネギの意識を白く染めかけていたというのに。
 やはりネギも少年とは言え男だったから。守るべき者が近くにいるのに、無様な姿はさらせない。
 例え、無意識に自分を、父親を認めさせてやるという感情があったとしても、明日菜を守り戦いに加えたくないという思いもまた本物だった。
 それが自己満足で、本人が望んだ事ではなかったとしても。それを為すと、決めたのだから。
「護衛のパートナーなしで挑んできたのはええがなァ、接近戦なら俺が強い!」
 小太郎も明日菜の声を聞きつけて、増援が来る前に戦いを終わらせようとより一層拳に力をこめる。雷撃の痺れも消えつつあった。
「これで、終いや!」
 ネギを守る障壁は弱まっている。後は大振りの一撃で倒せると踏んで、最大限に気を籠めた右ストレートをお見舞いしてやろうとしたところで、
「契約執行0.5秒。ネギ・スプリングフィールド」
 ネギの左手が、その拳を逸らした。一瞬の驚き、しかしその一瞬が明暗を分けた。
「がっ!?」
 振り絞ったアッパーは小太郎の顎に当たり、そのまま宙に吹き飛ばす。
 小太郎が現状を理解する間を置かず、ネギは追撃の呪文を唱えた。
白き雷フルグラティオー・アルビカンス!」
 飛ばした小太郎の真下に潜り込み、ゼロ距離からの白き雷。
 距離があっても護符を焼き切る威力だ。護符なしで直撃を受ければどうなるか、その結果がここにある。
「ぐっ、あ、はっ」
 呼吸がままならないのか、小太郎は絶え絶えに胸を上下させた。
「これが……西洋魔術師ぼくの力だ!」
「ぐっ」
 それは、ネギの性格を考えれば珍しい勝利宣言。
 しかし、勝ち鬨を上げるネギの方も満身創痍、立っているのもやっとの状態だった。駆け寄る明日菜の姿を視界に入れて、気が緩んだネギの体にも力は入らない。
 だが後に倒れこむ体は、何か大きなものに阻まれて地面に落ちることはなかった。
 金属のような冷たさを感じるそれが、何であるかに思考が至る前に、上から声が降ってくる。
「よく頑張ったな、ネギ」
 その声に安心したネギは、プッツリと緊張の糸を切らし意識を手放した。












ちびせつな「このまま傷ついたカモさんに代わってマスコットキャラを目指します!」
カモ「ちょ!」
 
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