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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第34話


「小さな悪戯」


「あ、あの……私はそんなに気にしてないですから顔を上げて下さい」
 土下座。
 つまるところ何が起きたのか、唇と唇が触れあったという事実を一般的に何と言うのか、という事について思考が至った瞬間、士郎は土下座していた。
 刹那は赤くなるよりも先に、士郎に土下座されている状況に恐縮してしまって普通に恥ずかしがる事も出来ない。
「そういうわけにはいかない。煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
 頭を地面につけたまま、固い決意で士郎はそう口にした。
 しかし刹那は困る。別に士郎が傷つくことなど望んでいないし、そもそも……そういうものは、暴力に訴えようが何かを奪い取ろうが、気が晴れない性質のものだ。
 だが、ここは刹那が折れない限り士郎が頭を上げる事はないだろうし、何より刹那の脳裏に一つの解決策が浮かんだ。
 そう、そもそも、数十時間前に刹那が考えていた事は。

 衛宮士郎が戦えなくなる事、ではなかったか。

 しかし現状、士郎という戦力を失っては刹那に切りぬける自信などない。例えそれが自身の喜びに繋がったとしても、それでは使命を守れない。
 それに。刹那には、もう士郎が戦えなくなれば、などという考えは薄れていた。
 のどかの勇気を見て、自分も少しだけ頑張ってみようと思えた事。戦いとは関係のない友達を得た事。
 今の刹那には余裕がある。
 だから、刹那が願うのは。
「なら、一つだけお願いを保留してもいいですか?」
「保留……?」
「ええ。今士郎さんという戦力を減らすような真似はできません。それに正直、今士郎さんにしてもらいたい事なんて思いつかないですから。だから一回だけ、いつか私のお願いを聞いて下さい」
 我ながら味気のない理由だと刹那も感じていたが、経験として士郎を説得するのなら情と理で責めるのが良いと知っていたので本心を語る。
「そんな事でいいのか?」
「私が何をお願いするかも分からないのに、士郎さんこそ安請け合いしていいんですか?」
「ああ。言っただろう。煮るなり焼くなり好きにしてくれと」
 質問に質問で返した刹那に士郎は渋面、彼に残された選択肢は頷くことしかなかった。
 だが、士郎とて納得していないわけではない。
 かつての経験からすると、こういう偶発的な事態が起きた時点で死亡フラグが満たされたに等しい。むしろ今回の顛末はひどく呆気ないものに思えて、士郎としては肩透かしという気分だ。
「それよりもコレ……どうしますか?」
「仮契約のカード、か? しかし何故そんなものが……」
「あの、その件についてお話があるんです」
 刹那は昨夜の、本人は知らないとは言え結果的にのどかがネギの仮契約者となった事。
 そしておそらく、そのイベントの時の魔法陣が残っていたせいで、今こうして仮契約が成立してしまったのだという推測を述べた。
「……つまり、諸悪の根源はあのオコジョと朝倉か」
「いえ、その、私もネギ先生に身代わりの紙型の使い方を詳しく説明しなかったのがいけなかったですから」
 刹那の弁護もどこか的外れだ。実際カモと和美が余計な企画を立ち上げなければ良かったのだから、弁護などしようもない。
「いや、今こうして私と刹那が、なんだ。仮契約してしまった事についてだよ。このようなモノ、双方の合意なしに結んでいいものではない。私の方で契約を破棄しておく」
「ま、待って下さい」
 刹那は半ば反射的に、士郎に制止をかけてしまった。刹那自身でさえ把握していない感情の動きがそうさせたのか。
 ともかく、口に出してしまったからには士郎を納得させる理由が必要だ。
 この仮契約が断たれては困る、その理由が。
「何だ?」
「その、ですね。そう! 便利だと思うんですよ」
「便利というと、カードが?」
「はい。素人のアスナさんが戦えるようになる程の力です。上手く使えれば戦力アップが見込めるのでは」
「しかし、私は君に魔力を供給する余裕などないし、そもそも魔力と気を同時に扱うには相応の鍛練が必要だ。そう上手くはいかないと思うが」
「念話が簡単になるだけでも便利だと思いますが」
「私もカードを使った念話の詳しいやり方は分からないが、今の術符では問題があるのか?」
 今の所実動確認をしただけだが、士郎と刹那は互いに対となる念話用の術符を所持している。緊急連絡ならば一応携帯よりもこちらの方が早いだろうが、士郎はあまり念話に慣れていない。
 持っているのは人の目がある時、唇さえ動かす事が躊躇われるような状況の為だ。秘密の会話が必要な時はあるだろうし、万一の備えという意味もある。
 実際、士郎も刹那も細かいところまで仮契約カードによる念話をしらないのだが、それでも念話のみに限ればこの術符の方が優秀だった。
 何故なら、手で持っているだけで発動させる事ができる為自然を装う事が可能なのだ。問題は効果範囲と関西側の術式なので盗聴の心配をしなければならない事だが、この連絡手段は緊急用と周りの目を誤魔化すためのものに過ぎない。
 確かにあれば何かの役に立つかもしれないが、積極的に残す理由が士郎には分からなかった。
 こうした契約の繋がりというのは、悪用されたら甚大な被害を及ぼす。特に呪いなどが代表的だが、その繋がりを使って位置を探知するぐらいならばそこまで高位の術者でなくても時間をかければ可能だろう。
 そうしたマイナス面を、士郎は危惧していた。もっとも短期的に考えるのならば、やはり魔力の問題が一番の枷となるのだが。
「いえ、問題があるわけではないのですが……」
 刹那としても、明確な理由がなければ論破するのは難しい。士郎は、その理由に妥当性と効率を見れば割と簡単に折れる。
 プラスになると判断すればその行動は早いし、きっと刹那の思惑も越えて結果を出してくれる。
 だが逆に、必要でないと判断したものには全く未練を残さない。例え害悪にならなかったとしても、不要なものを詰め込んでは重さで潰れてしまうとでも言うように。
 これでは説得は難しい。しかし、今更意味も無く引き下がるのも奇異に見られるだろうし、どうしたものかと刹那が思案していると。
「……わかった。このカードは残しておく事にしよう」
「え? いいのですか?」
「まあ、何かの役には立つかもしれないしな。私としては、突発的に魔力を取られる可能性が出てくるのは苦しいのだが……刹那ならば信用できるしな。それに、欲しいのだろう? アーティファクトが」
「え? あ、はい」
 別に刹那はアーティファクトが欲しかったわけではなく、強いて言うのならカードが欲しかったわけだが、士郎が自己完結してくれたのなら特に文句はない。
 アーティファクトが欲しくないわけではなかったのだし、刹那がカードを失くさない限りは特にマイナスになるような事もないのだから、念の為の保険として持っていて何の不都合があるだろう。
「さて、ではこの件についてこれ以上何かあるか?」
「いえ」
「私からも幾つか報告がある。が……時間は大丈夫か?」
 そう言えば、ギリギリというわけではないにしろ、あまり余裕があるとは言えない時間になっていた。
 改めて時計を見て、どの程度自分たちが硬直していたのかが分かり、刹那は少しだけ頬を染める。
「そろそろ朝食ですから、その後でよろしければ」
「分かった。朝食が終わったら出来るだけ早くこの部屋に来てくれ」
「はい」
 と、頷いた刹那が部屋を出ていくのを確認して即。
 士郎は獲物を前にした狩人の眼になり、悪い子を捕まえに行った。










 明日菜とネギが朝食を終え刹那についていく形で士郎の部屋を訪れると、一人と一匹の屍が転がっていた。
「ど、どうしたんですか朝倉さんっ!?」
「あ、ネギくん……」
 ぼーっとしているような、色の無い瞳を和美は見せる。
「士郎さんには逆らっちゃダメだって事、よくわかったよ……」
 ガクリ。とは流石にいかなかったが、放心状態のままテーブルに突っ伏した。
「ちょっと、何やったのよ士郎さん」
「朝倉には少し説教をしただけだぞ。一切危害は加えてない」
 明日菜の問い詰めるような声に、士郎はいつも通りに答えた。士郎の言葉通り、和美は外見上何か問題があるわけではなかったが、だからこそその憔悴っぷりが不可解だった。
 一晩正座しててもそこまで堪えた様子はなかったのに、たった数十分の間にこの変わり様。その空白の数十分に何があったのか、あまり考えたくはない。
「ま、そこの小動物は例外だがな」
 士郎の視線の先には、見るも無残な肉塊と化したカモの姿が。ピクピクと痙攣していなければ死体に見えるかもしれない。
「カ、カモくんっ!?」
「あ、兄貴……地獄ってあの世じゃなくてこの世にあるんすね……」
「し、しっかりしてカモ君っ!」
「俺っちの墓標には、『愛のパンツ神ここに眠る』って書いて下さい」
「え?」
「何言ってんのよ!」
 アスナの鋭いツッコミが、鋭すぎるツッコミが条件反射的にカモに決まった。今度こそ本当に、カモの体から生気が抜けていく。
「あ、ゴメン。ついうっかり」
 てへ、と可愛らしく反省する明日菜にカモがブチギレ復活する。
「てへ、じゃないっすよ姐さん! 本当に死んだらどうするんすか!」
「何よ、元気じゃない」
「諦めろ。強制送還されないだけマシだと思うんだな」
「カモくん、元気出してよ」
「ううぅ、最早心を許せるのは兄貴だけっすよ」
 ひしっと抱き合う一人と一匹だが、カモの方はもう掴まれるだけでダメージが酷く、顔色は果てしなく悪かった。
「さて、もう時間もないのだろう? 今日の予定を聞いておこうか」
「あ、うん。私とネギは、関西呪術協会だっけ? そこに親書を持っていくつもりだけど」
「これからの日程を考えると、もう今日しかないな。現状、親書よりは近衛が優先される。二人だけになってしまうが、いいか?」
「僕はもちろん大丈夫です。でもアスナさんは……」
「今更何言ってんのよ。最後まで付き合うわよ」
 明日菜は力強くガッツポーズ。だが対照的にネギの表情は晴れなかった。
 ネギの脳裏には前回の戦闘における明日菜の姿が甦っている。もしもまた、あのような状況になったらと考えると尻込みするのも仕方がないし、先生としての立場を考えるなら置いていくべきではあるのだろう。
 だが、明日菜がネギに同行するのは純粋に好意的な協力なわけだから、それを断る言葉をネギは持ち合わせていない。
 救いを求めるようにネギは刹那と士郎に視線を向ける。
 しかし、士郎はそんなネギの視線に気づかないように話を進めてしまった。
「よし、私と刹那は近衛と行動を共にする。刹那は近衛の隣で護衛、私が近づく敵への迎撃だ」
「あの、士郎さんがお側で護衛された方がもしもの時には効果が高いと思うのですが」
「しかしそれでは目立つだろう。市街で溶け込むには学生二人の方がいいさ」
「二人? みんなと一緒に行くんじゃないの?」
 明日菜が疑問の声をあげる。
「人数が多いと、私たちでは守り切れない可能性がある。極力関与する人間は減らした方がいい」
「あ、そっか。二人で四人守るのは大変だもんね」
 実のところ、それ以外にも本山へ逃げ込む場合に有利である、という事も関係していた。
 木乃香には状況次第で現状を伝える事も出来るし、魔法バレに対するリスクが少ない。士郎たちの行動制約の面から見ても、余計な人間がいないにこした事はなかったのだ。
「近衛にはもう話をつけてある。もう少ししたらこの部屋に来てくれるはずだ」
「え、そうなんだ。じゃあ、私たちもこのかが来る前に出ないとマズイわね」
「そうですね。じゃあ、僕たちは一旦準備に戻ります」
 明日菜同行に内心渋っていたネギも自分の中で折り合いを付けたのか、素直に自分の部屋に戻る。
 二人が出て行き、追いかけるようにカモが退室すれば、残るのは和美と刹那だけだ。
 和美も居心地の悪い空気を感じ取り、そそくさと部屋を後にする。
「……随分と準備がいいんですね」
「何の事だ?」
「お嬢様の事です。士郎さんとお嬢様はとても親密なご様子ですから、やはり士郎さんがお隣で護衛なさった方がよろしいかと」
「そういうわけにもいかない。約束があるのでな。それより、近衛に関して刹那に伝えておかねばならない事がある」
「私の話はまだ終わっていません!」
「まあ聞け。詠春から、近衛に対して現状から魔法に至るまで、全てを近衛に伝える許可を取ってきた」
「そんな……! お嬢様は何も知らないのですよ!」
 刹那の声に怒りが混じる。いや、それはもしかしたら絶望だったのかもしれない。
「だからこそ、現状を自覚してもらうだけでも私たちは動き易くなる」
「私たちの勝手でそんな事はできません。伝えずとも私はお嬢様を守ってみせます!」
「その意気は確かに重要だ。実際、方針としては必要なければ伝えないという方向で進める。近衛に状況を伝えた方が危機を脱する確率が高いと判断した場合のみ、という制約付きだ」
「しかし……」
「刹那。近衛の幸せを考えるのならば、お前の思いは正しいものだろう。しかし、近衛はきっと、お前が思っている程弱くはないぞ」
 士郎の言葉に、刹那はしばし考える。だが、混乱した頭では士郎が言いたい事は掴めなかった。
 やがて、トントンと軽いノックの音が響く。
 木乃香がやってきた合図だった。










 突撃リポーターこと朝倉和美は、反省しているように見えて反省していなかった。
 正確には、反省のベクトルが違った。
 士郎としては魔法に関わる事全般に対して止めろと言ったつもりだったのだが、和美としては面白おかしい事を企画さえしなければいいと考えていたのだ。
 しかし、ちゃんと彼女の中に士郎への恐怖心は植えつけられている。彼女基準でヤバイ事はしないつもりだった。
 士郎なら本当に、あの恐ろしい拷問を自分にもするだろうという確信があったし、見ているだけで精神がすり減りそうな叫び声だけで今日はテンションが上がりそうも無かった。
 しかし、仕事は仕事、と切り替えられるのが彼女の特技の一つである。
 士郎に早々と拉致されたせいで、まだのどかに昨夜のイベントの景品であるパクティオーカードを渡していなかったのだ。
 5班のメンバーはネギを捕まえる為にまだ出てはないないはずだ。早いとこ終わらせて和美も班員と合流しなければならなかったのだが。
 こういう時に限って、運が悪いのか見つからない。少し遅れるから待っていて欲しいという旨を委員長にメールして、ネギの部屋付近から探してみるか、と足を向けた所で、案の定図書館の三人組を見つけた。
「よっ、ネギ先生に特攻?」
「いや、今部屋に入っていったからさ。出てくるの待ってるトコ。あんたも?」
 パルが邪魔をするな、という視線で和美を捕らえる。違う違う、と手をパタパタ振って和美は否定した。
「私は景品授与。昨日のイベントのご褒美、まだ宮崎に渡してなかったからさ。はい」
「あ、ありがとうございます」
「おおっ、結構スゴイじゃない!」
「確かに、これは優勝者に相応しいですね」
 姦しくカードに集まる三人。三人の反応が良くて和美も少しずつテンションが上がりつつあった。
 だからつい、調子に乗ってしまったのか。士郎の脅威を忘れて悪戯心がむくむくと湧き上がってくる。
 このカード、ただ渡すだけでは惜しくないのか? と。そう考えてしまった。
 カモが士郎に対して息も絶え絶えながら解説したカードの使い方は和美も聞いていたから、下手をしたら現状和美は明日菜よりもカードに詳しい。
 純粋に興味があった事もある。見た目カードに映っているのは本のようだったけど、一体どんな面白アイテムが出てくるのか。
「三人とも。ネギ先生出てったみたいだけど?」
 嘘をついて、ついでにネギも一人にしてやる事にした。少しは点数稼ぎしておいた方が後々の為になるだろうという判断だ。
 三人は素直に信じる。
「え、マジ? 急がなきゃ!」
「ええ、行くです」
「あ、待って――」
 そこでのどかの肩に手を置いて引き留め、一言。
「誰もいない所で『アデアット』って言ってごらん。面白いものが見れるかもよ?」
 問い返される前に、早足でその場を離脱する……ように見せかけて、パルと夕映を追ったのどかを確認した後、ネギを出そうと部屋に入った。
「ありゃ、もう出てたか。やっぱり魔法使いは違うね」
 部屋には既にネギの姿はなかった。
 開いた窓から入った風は、微かに光っていたかもしれない。心地よい風を見送って、和美もまた修学旅行を楽しむべく班の仲間たちのところに戻った。




 








カモ「あの、何で俺っちたち拉致られたんすか、旦那」
和美「そーそー。私これから朝食なんだけど」
士郎「なに、昨晩のイベントについてな」

(省略)

カモ「いいじゃないっすかー。旦那もパートナーが出来てウハウハ、俺っちも仲介料が入ってウハウハ」
士郎「そうか。これは、反省が必要だな」
カモ「ピギャーッッッ」

(中略)

士郎「さて、朝倉」
和美「(ブルブルブルブル)」
士郎「以後このような事があったら……次はお前の番だぞ?」
和美「決して致しません! サー!」
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