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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第31話


「怯えと勇気」


 作戦会議、と言っても、ネギと明日菜に口を挟むような事はない。
 結局士郎の言う通りにするのが一番確実なわけで、特に要望もない二人は出来ない事だけハッキリさせておけば問題ないのだ。
 だから、結果的に話し合いは刹那と士郎の二人で進められるのだが。
「私がお嬢様のお側で、ですか?」
「ああ、そうだ。私はまだ直接戦闘ができる程回復していないし、昨夜のように後手に回っては意味がない。式神による監視だけでは守りが心許ないからな。誰かが遠距離攻撃からも守れる程度には近くにいなければならない。それが出来るのは刹那、君しかいないんだ」
「しかし、遠距離攻撃などと……昼間からそんな派手な攻撃をしてくるとは思えません」
「常に最悪を想定すべきだし、常人に気づかれない方法などいくらでもある。人払いでもいいし、吹き矢の類ならばそれさえ必要ない」
「それは、そうかもしれませんが」
 理で言えば、士郎に分がある。刹那の気が進まないのは感情の問題で、士郎の言は効率を求めた結果だ。
 とは言え、士郎にも思惑はある。木乃香との約束を守るため、刹那を木乃香から逃げないように心理誘導しておかなければならない。
 士郎の左腕がまだ回復していないのは事実だし、式神の監視だけでは不安が残るのもまた事実。
 結局、刹那にはその提案を受け入れる他道は残されていなかった。
「分かりました。では、士郎さんはどうされるのですか?」
「私は、極力隠れて敵の尻尾を掴みたい。襲撃がなければ無駄骨だが、式神の一つでも捕まえられれば逆探知できる可能性もあるしな」
 実際、本陣ではない奈良においては、せいぜいが式神による偵察程度だろうと士郎は考えている。リスクに成果が釣り合わないからだ。ならば、京都で準備を進めた方が確実だと敵も考えるだろう。むしろ、今日奈良で襲ってくる程度の相手なのならば、士郎の左手のハンデを考えても御しやすい。
「刹那は近衛と一緒に、普通に修学旅行を楽しんでいる学生に見えるようにしてくれ。明日菜とネギは、近衛から離れた時のみ周囲を警戒してくれればいい。緊急時の連絡は式神、携帯、念話の優先順位で行うように」
「……分かりました」
「私携帯しか持ってないんだけど、いいのよね?」
「あの、僕も式神は良く分からなくて……使役精霊でいいんですか?」
「二人は携帯でいいさ」
 実際、式神を使った連絡は刹那向けのものだ。式神を経由しても念話は盗聴される恐れがあるが、念話が苦手な士郎としては、迅速かつ正確であるのならリスクを無視する価値はある。
 もっとも、敵方の戦力が昨夜現れた3人だけで、特に精神介入系の術に優れていない限りは盗聴の心配は少ない。
 呪符使いというのはその形式上、精神介入系の術に優れた者は少ない。その才能に特化していない限り使えない異能のようなもので、純粋戦闘力は低いのだ。
 昨夜の呪符使いは自然干渉系を主としていたようだし、その可能性は低いだろう。神鳴流は剣術の補助としてしか魔法を使わないし、あの少年は未知数だが、士郎の経験から言えば白だった。
 しかし、結局のところ携帯を使った連絡が最も確実で安心できる。この場合電波障害などを敵に引き起こされる可能性は考慮する必要はないだろう。
「そろそろバスに乗りこまないと」
「ああ、時間を取らせてすまなかったな」
 士郎はバイクで、ネギたちはバスで奈良公園に出発する。





 そのバスの中、明日菜の携帯が震えた。士郎からのメールだった。
『先程はあんな事を言ったが、今日襲撃される可能性は低いだろう。気を張らずに楽しんでいいぞ』
 いつもの味気ないメールだったが、ふと明日菜に疑問が生まれた。
 基本的に士郎は回りくどい事をしない。問題があるのなら率直に指摘して、評価すべき点は素直に褒める。
 もっとも、明日菜の主観ではそうであっても、実際には必要であれば回りくどく婉曲に物事を進められるのが衛宮士郎の強みでもあるのだが。
 何故こんな事をするのか。そこが、バカレンジャーなどと呼ばれている明日菜でさえ引っ掛かった。
 だから、単純に疑問をぶつける。
『それはありがたいけど。でも、何でこんな事するの?』
 メールはすぐには帰って来ない。それも当然、士郎も今はバイクでこのバスを追ってきているはずなのだから。
 結局返信があったのは奈良公園について少し経ってからだった。
『刹那が近衛とかつてのように過ごせるように、強引だが一番近くに配置した。君たちにしても、修学旅行が任務になるのは可哀想だからな』
 そして、ああ成程、と納得する。
 結局、厳しそうでちょっと怖いけれど、明日菜の雇い主はちゃんとみんなの事を考えてくれているんだって。
 だから、明日菜は安心して遊ぶ事にした。だって彼女はただの中学生で、自分を一般人だと自覚していたのだから。








「だっ、かっ、ら! 桜咲さんの行動を見ても分かる通り、修学旅行ってのは生徒を開放的な気分にさせて普段できないような行動も可能にするのよ! のどか、ここで告れなかったから一生想いを伝える事なんてできないよ!!」
 ハルナが今朝突然行動を示した刹那の脅威を大袈裟に語りのどかを煽っている。夕映はそれを呆れ顔で見守っていた。
「で、でもでも~」
「桜咲さんが朝ネギ先生の部屋に居たってのは確かに気になる話ではあるけど、明日菜の話じゃ何でもないらしいし、ここは攻めるしかないの! ここで晴れて恋人になれば、明日の自由行動では二人っきりのラブラブデートよ?」
「ら、ラブラブデート……」
 顔を真っ赤にしながら反芻して、それでも決心なんて付くはずもなくもじもじと身をくねらせた。
「大丈夫です。今ののどかならばできます」
「そうそう。私たちも協力するからさ」
「そうと決まれば即行動です」
「よし、ならまずはネギ君と二人きりにならなきゃね!」
「ちょっ、ま……」
 駆けだす二人に制止をかけるのどかだが、スイッチが入った二人をのどかが止められるわけもなく。呆然と見送るのどかの心臓は今にも破裂しそうで、二人に追いつくことなどかなわない。
「ど、どうしよう……」



 と、のどかが心の準備を整えられないでいる頃、刹那もまた苦しみの中にいた。いや、この場合はある意味幸せとも言える。
 刹那にとって木乃香は命に代えても守るべき主君であり、友達なんて関係は認められないのだ、という理性が必死の抵抗を続けていた。
 抵抗しているという事は、本心は別にあると言う事だ。それを、刹那も理解していたから尚更苦しい。
「せっちゃん、ほら、お団子買ってきたえ。一緒に食べへん?」
「そんな、お嬢様。私などに構わずお一人で」
 そんな刹那の態度に、木乃香が頬を膨らませる。
「ダメや。せっちゃんこれからお嬢様言うの禁止。昔みたいにこのちゃんって呼んで」
「わ、私などがそんな畏れ多い事できません!」
 それは、刹那にとっての境界線。踏み越えたら戻れない感情線だ。
 かつての、無垢なまま恐れを知らず遊んでいた頃に戻れたとしても。己の正体を隠さなければならない自分、嘘をついている己が許せなくなる。
 もし、万が一刹那の正体が木乃香に知られてしまったら。そして、その視線に悲哀や憤怒、まして憎悪が混じっていたら。刹那は壊れてしまう。
 だから戻れない。怖いから。今の、任務だ何だと理性を誤魔化す理由がなければ、刹那は木乃香の隣になど立てないのだ。
「……なら、お団子一緒に食べよ。これ結構美味しいよ?」
「……では、有難く頂きます」
 木乃香の、少し寂しそうな表情に、また一つ自分に嘘をついた刹那は団子を受け取った。
 ニコニコと微笑み団子を頬張る木乃香は、昨日電車の中で“告白”した時のような凄味など欠片もなく、純粋に今を楽しんでいる事が窺えた。
 刹那には、木乃香の行動が良く分からない。木乃香の事ならば、この場の誰よりも理解しているという自負があるというのに。
 何故あんな“告白”をしたのかも、何故刹那に構うのかも。
 手渡された団子は幸せの味がしたはずなのに、刹那にはその味が分からなかった。







 士郎は隠れている、と言っていたものの、明日菜と共に木乃香たちを見守っていた。
 明日菜はハルナと夕映にネギから引き離された後、一人で散策するのも寂しいので木乃香たちと合流しようとして、物影に隠れていた士郎に捕まり今に至る。
「邪魔してやるなよ」
「あの二人を?」
 視線の先には、楽しそうにお団子を突きだす木乃香と、複雑そうな表情でそれを受け取る刹那がいる。
「でもさ、士郎さんってばどうしてそんなに世話を焼いてくれるの?」
「刹那にしろ、近衛にしろ、頼まれたからだ。刹那からは近衛を守る上での助力を、近衛からは刹那と仲直りする為の助力を。綺麗な願いに力を乞われたのなら、断れるものではないからな」
「要するに、お人好しって事?」
「好きに受け取ればいいさ。君がネギに力を貸すのとそう変わらない理由だよ」
 間接的にお人好しだと言われた明日菜は、反論できずに木乃香たちに視線を戻した。
「ねえ、士郎さんは昔あの二人に何があったか知ってるの?」
「推測はしているが、知らない。ただ、双方事情が複雑だからな」
「事情?」
「近衛がお姫様だと言う事は聞いているか?」
「何かお嬢様とか呼ばれてたけど」
「近衛は関西、いや日本で最大の魔力を持っている。魔法使いの世界は実力主義だからな。本来なら近衛は魔法使いとしての教育を受け、いずれは関西を守る力となるはずだった」
 話しながらも、士郎は周囲の警戒を怠らない。木乃香よりもその周辺を念入りに、解析を使いながら確認していく。
「でもさ、このかって麻帆良に居るでしょ?」
「そうだ。近衛の親は、娘に決められた道を歩ませる事を嫌った。力を持っていれば争いの道具にされる事もあるし、関西に居ればいずれは政略結婚の道具にもなりかねない。だから、近衛は早いうちから祖父が治める麻帆良学園に行く事になったんだ」
「じゃあ、もしかして木乃香がよくお見合い話を持ちかけられるのって……」
「さて、それは分からない。ただの学園長の趣味かも知れないし、もしかしたら一般人の婚約者を設ける事で後継者争いから外そうとする狙いがあるのかも知れないしな。何れにせよ自分の孫だ。近衛の事を想っての行動なのだろう」
 想っているからと言って、それが本人の望むところなのかは分からない。
 かつて士郎が与えてきた救いのように、それはただの押し付けだ。人によっては迷惑にしか感じないだろう。
 それに、必ずしも近右衛門が木乃香の為を考えているとも限らない。
 木乃香の婚約相手が一般人だったとしても、それが近右衛門の息がかかった人間ならば後からどうにでもできよう。木乃香を使って関西を滅ぼし、日本を統一する事も不可能ではない。
 木乃香はそれだけの魔力を秘めているし、だからこそ詠春も木乃香を麻帆良に送った。近右衛門も一見その意思を尊重しているように見えるが、それが隠れ蓑である可能性を捨てきる事はできない。
 衛宮士郎などという不審人物を取り入れ有効活用しようとしているような老人だ。実質的に日本の魔法使いを纏め上げる存在がこれ以上の地位を欲するか、そのリスクを思えば合理的にも行動を起こす事はないと考えられるが、それでも。人間の欲に果てはないものだから。
 もっとも、士郎もその可能性は限りなく低いと考えている。それは今まで接してきた評価であり、士郎が命がけで培ってきた経験から下した判断だ。
 だから、明日菜には綺麗な部分だけを教える。士郎自身は、十中八九近右衛門の趣味だと考えているが。
「そっかぁ……学園長もやっぱり孫が可愛いのね」
 などと感動している様子の明日菜に、士郎は心の中で近右衛門への貸しを一つ付ける。
「でもさ、だったら刹那さんは身分違いだから友達にはなれないって、そういう事?」
「大雑把に言えばそうなるな。まあ、それだけでもないようだが」
「まだ何かあるの?」
「刹那にも近衛にも、他の誰であろうと喋らず表情にも出さないと誓えるか?」
「え? 喋らないのはいいけど顔に出さないのはちょっと無理かも」
「……ならイメージだけ伝えよう。刹那は、魔法使いたちの間でも異質な存在だった。とある一点だけな。その違うところのせいで、刹那の人生は裏の世界においても過酷なものだっただろう。今ああして笑っているのが奇跡だと言えるような、な」
「えーと、つまりどういう事?」
「負い目があるという事だ。刹那には近衛に決して知られたくない秘密があり、大切だからこそ秘密が漏れる事を恐れる。刹那が近衛を避けるのは照れもあるのだろうが、本質的には怖いんだ、近衛が」
「え、なんで?」
「“違うトコロ”を知られた時に近衛が、自分を拒絶するのではないか、とな」
「そんな事、このかがするわけないじゃない!」
「そうかも知れん。だが、刹那はそれをどう信じればいい? 今まで裏切られ、虐げられきたあの子が、近衛だけは違うと信じられるか? 頭で分かっていても、怯えは消えない。そういうものだ。刹那が抱えているものはな」
「じゃあ、木乃香が桜咲さんの秘密ってのを知って、それを受け入れればいいわけね?」
 明日菜の問いに、士郎は首を振る。
「今の話、特に刹那が近衛を怖がっているという話は、私の推測だ。心を読めない以上、刹那自身がどう感じているのかは分からない。それ以外に問題があるのかもしれないしな」
「だから、下手な事はするなって言うの?」
 明日菜は士郎を睨みつける。だが、そんなものは柳に風だ。気にした風もなく士郎は続ける。
「明日菜にしては物分かりがいいな。そういう事だ」
 尚も納得できずに思案顔を続ける明日菜に、士郎はぽんっと軽く頭を叩く。そのままくしゃくしゃにならない程度に頭を撫でて、慌てる明日菜に親しみを籠めて言った。
「まあ――友達を想っての行動ならば、それが悪いものであるはずがない。仮にその結果に後悔したのなら私を頼れ。可能な限り力になろう」
 明日菜は煩わしげに士郎の手を振り払う。そして、何かを決めた目で協力者を見上げた。
「結局、士郎さんてお人好しなのよね」
「ふん。君には劣る」
 そう言って、セイギノミカタだった男は微かに笑った。







 刹那と木乃香は、茂みの中でのどかのチャレンジを見守っていた。
 二人がのどかと合流したのはつい先ほど。そこで二人はのどかのネギに対する想いを聞いて、それぞれの言葉で励まし、見送ろ……うとして結局誘惑に負けてここまで来た。
「私っ、大、大、大……根おろしも好きで!」
「ああんもうっ、何やっとるんのどか!」
 刹那とともにずっこけながらも、ハラハラと応援しているのだか叱責しているのだか分からない事を木乃香が口走る。
 刹那も似たような心境だ。今まで異性への告白どころか恋愛について考える事もなかった刹那だが、それでも知識はあるし根本的に女の子と呼ばれる生き物ではある。恋話は苦手でも、他人のそれなら嫌いではない。
 やがて、ネギに対するのどかがすぅーっと深呼吸をする頃には、物影に隠れて見守る全員が口を閉ざしその瞬間に期待した。
「私、ネギ先生のこと出会ったときからずっと好きでした! 私、私っ、ネギ先生のこと大好きですっ」
「え?」
 言った。普段ののどかよりも上擦った声だったが、舌を噛む事も無く。
 受けたネギは呆然と。混乱しているのが誰の目にも明らかだ。気づかないのはのどかぐらいのもので、そのままの勢いで捲し立てる。
「め、迷惑なのは分かっています……でも、私の気持ちを知ってもらいたかったので……失礼しますっ」
 そのまま走り去るのどかを追える者はこの場にいない。
 もごもごと何かを呟きながら倒れるネギに、木乃香と別の場所に隠れていた明日菜が駆け寄る。
 その木乃香から一歩離れて、刹那だけがのどかが走り去った方向に視線を向けた。
 自分にもあんな勇気があればいいのに、と。
 そう、願いながら。










明日菜「あれ、アンタどこ行ってたの?」
カモ 「ぜい、ぜい……はぁ、ここの鹿は凶暴っすね」
明日菜「ああ、何だ。真面目な話だとアンタ似合わないから忘れられてたのかと思ってたわ」
カモ 「何気に酷いっすね、姐さん……」
 
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