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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第24話


「二人の少女の遭遇」



 平日、士郎が麻帆良に滞在している時の喫茶『アルトリア』は、彼と個人的な親交がある人限定のお店へと変貌していた。
 と、いうのも、営業日をコロコロ変えていてはお客が混乱するから、開けるのを休日と決めたのなら、平日は開けるべきじゃない、という朝倉和美の助言を取り入れてのものである。
 だが、士郎は店を開いていないととにかく暇なので、蛇足のように所有している広域指導員としての役目を思い出したように果たすのが常だったが、今日は流石に都合が違った。
 先のエヴァンジェリンが引き起こした騒動。その、士郎が齎した混乱に対する後始末に奔走して、あらかたの偽装などが終わり、帰ってきたのは既に朝日が昇る頃。
 最近はこんな事ばかりだ、と士郎が嘆く間もなく、桜咲刹那から一通のメールが届く。
『今日の放課後、依頼したい事がありますのでアルトリアでお待ち頂けないでしょうか』
 簡潔なその文章に、士郎は同じく簡単に返す。
『了解した』
 士郎は、あの遠坂凛とは違ってメールが苦手というわけではないが、どうにも文が短くなりがちだった。
 まあ、それで特段困ったこともないし、改めろと言われた事もないので、その文章がメールの送り先――この場合は刹那に、どういった感情を抱かせるのか何て事は、露とも理解していない。
「取りあえず、寝るか」
 最も、彼の行動の大半は誰かの為なのだから、それぐらいの鈍感は許されてしかるべき、かもしれない。












 授業が終わり、放課後。
 今日の授業中、ちっとも集中できなかった桜咲刹那は、少しばかり早足に約束の場所へ向かう。
 昨日激しい戦闘をこなしたはずのネギ先生が、いつもと変わらず授業を行う様に感心しつつ、昨夜結局ほとんど眠れなかった刹那は授業中眠いのを悟られないようにするのが精いっぱいで、放課後になった今も眠気が取れていなかった。
 だが、まあ流石に今回の訪問の理由、依頼の内容を考えれば目も覚める。
 修学旅行。その行先として、京都行きが決まってしまった以上、打てる手は打っておかなければならないのだ。

 と、いうのが、ある程度名目である事は、刹那自身も理解していた。
 今回の事件でエヴァンジェリンの衛宮士郎に対する脅威度は著しく小さくなった。
 まず、封印がある状況でエヴァンジェリンも事を起こすことが不可能である事は、彼女も既に悟っただろう。
 エヴァンジェリンが動けない状況にあるのなら、彼女の別荘を使った鍛練をまた再開しても問題はない。
 もちろん、それは浅慮ではある。
 衛宮士郎の技術がエヴァンジェリンに漏れることは、リスクが顕在化しないだけで時間と共に危険度は膨れ上がるだろう。
 だが、少なくともエヴァンジェリンが事を起こす前、封印が解除される可能性が僅かでもあった頃と比べれば、段違いに安全になった。
 その事実が、刹那に『それならば』と考えさせ、浮かれさせている。
 また、あの充実した日々を送れるようになるのではないかと。
 そんな期待感が、刹那の足取りを軽くしていた。















 授業が終わり、放課後。
 大河内アキラは、二つの目的の為に衛宮士郎のいる喫茶『アルトリア』を目指していた。
 その目的のうち一つは、自分も少しは関わった昨夜の事件について説明してもらう事。
 もう一つは、昨夜の勝手な行動で迷惑をかけてしまった事への謝罪と、助けてくれた事に対する礼を述べる為。
 どちらかと言うと後者の配分が大きい。それが原因か、アキラの歩みは遅かった。
 昨夜のアキラの行動に対して、士郎がどういった反応を示すのか、アキラには全く予想がつかない。
 烈火の如く怒るのかもしれないし、もしかしたら良くやったと褒めるのかもしれない。
 ただ、どのような反応であっても、アキラは謝り倒すつもりでいた。
 そこにどんな動機があったとしても、アキラが士郎の言いつけを破った事は事実。
 アキラはまき絵を助けた事を後悔はしていない。でも、あの時士郎に逆らって危険な場所に戻った事は後悔していた。
 まだまだ認識が甘かったこと。
 ただ圧倒されただけの、あの剣たちとは違う。恐怖というベクトルを持った威圧感は、アキラの想像なんて遥か高く超えて、その心の底にトラウマを植え付けた。
 だからきっと、アキラは自分でも認識しないまま、安心を求めて足を動かしている。
 その動きが、のんびりと亀のような歩みでも。
 また、あの温かい背中に寄りかかれるように。


















 カララン、とドアに付けられたベルの音が響く。
 刹那が喫茶『アルトリア』に着いた時には、既に士郎は厨房で身内用の開店準備を始めていた。
 刹那がコーヒーを飲まないという事を知っているから、コーヒーメーカーは動いていない。
「さて、手早く要件だけは聞いておこうか。連絡を受けているのは桜咲だけだが、誰が来るとも限らないのでね」
「あ、はい。分かりました」
 刹那はいつもの指定席に腰を下ろしながら頷く。
「依頼したいのは、修学旅行中のお嬢様の護衛です」
「修学旅行?」
「はい。私たちのクラスは来週からの修学旅行で京都――関西に赴きます」
「ああ、成程。それは確かに拙いな」
 士郎は関西呪術協会の内部にどのような感情があるのか、大凡は把握している。
 それは仕事の中で感じた東への嫌悪感であり、元をただせば大戦の残したしこりだ。
 世界中の戦場を巡っていた士郎には、見なれた感情でもある。
「関西が動く気配があるのか?」
「いえ、まだその兆候は見られませんが……もしもがあっては遅すぎます」
「ふむ……近衛の魔力を使えば、やりようによっては関東をそのまま攻め滅ぼす事も可能か」
「そ、それ程まで、ですか?」
「まあ、“何”を使うか、にもよるが。関西にしろ関東にしろ、封印された鬼神だの規格外戦力には事欠かないからな。それらの封印を解かれると厄介だ」
 それは、刹那にとってみれば“厄介”などというレベルの話ではない。
 確実に、裏の歴史に名を残す大きな戦へと発展していくだろう。そして、それを止められるものなど、果たして存在し得るのか。
「では、この依頼を引き受けて頂けますか?」
「ああ、了解した。この話、詠春には?」
 と、問われてから初めて、刹那は詠春への報告を忘れていた事に気がついた。
 最も、刹那が報告するまでもなく既に知られている事だろうから、大した意味はない。
 しかし、士郎に護衛を依頼するのならば、京都での便宜において相談しなければならないのは当然だった。
「あの、まだです。この後報告します」
「いや、その必要はないさ。私の方から話を付けておこう。別件もあるのでね。その方が都合がいい」
「それでは、その、報酬の件なのですが……」
 言い難そうに、刹那は切り出す。
 それも当然。刹那の現在の懐事情は、士郎に数日の護衛を頼める程温かくはない。
 学園長から依頼されるいくつかの妖魔退治などの報酬があるにはあるが、それでも足りない。
 そもそも、士郎から購入した『白結』でかなり散財してしまっている。
 浮かれていた刹那だったが、ここにきて自分がかなり無謀な事をしている事に気づいた。
「いや、報酬などいらないさ。昨日私の窮地を救ってくれたのは桜咲、君だろう? ならば、私はその借りを返すだけさ」
 この程度の事で中学生から金が取れるか、と士郎は続けた。
 その言葉に、じわりと刹那に安堵が広がった。
 お金の事ではない。昨夜の出来事を、士郎が借りだと言ってくれた事に、だ。
 もしかしたら、迷惑だったのではないか、と刹那は僅かながら不安を感じていた。
 どうせ刹那と数分違わずタカミチが到着していたわけだし、おそらくその結末は、刹那の行動と関係なく現在のカタチに収束していだろう。
 タカミチの参戦、というファクターが加味されたとしても、だ。むしろ、より士郎にとっては有利な結末にたどり着けたのかもしれない。
 だが、助けられた当の本人である衛宮士郎が、刹那の助けを恩とするのならば、それは無駄ではなかったと信じる事が出来る。
 それが社交辞令のようなものであっても、刹那には十分だった。
「そ、それならですねっ!もう一つお願いしたい事があるのですがっ」
 だからか。舞い上がった刹那は、調子に乗ってしまった。
「その、私の事は以後刹那と――」
「お邪魔します」
 何か言いかけた刹那を遮って、入口のベルが鳴る。
 入ってきたのはアキラだ。その顔は、刹那がこの場にいる事に驚きを如実に表していた。
 対する刹那はアキラの乱入に呆けたのも一瞬、あからさまに不機嫌になる。
 その空気を知ってか知らずか、士郎は自分用に淹れていた紅茶をアキラ用にレモンを添えて、刹那の分と一緒に出した。
 刹那の隣の席に。そこに座れ、という事なのだろう。
 刹那の不機嫌さを敏感に察知しながら、その理由がさっぱり分からないアキラは、おずおずと指定された席に座った。
「それで、何か言いかけていたようだが?」
 士郎が刹那に問いかけるが、
「いえ、もういいんです……」
 刹那は、今更答える事ができようはずもない。だって恥ずかしすぎる。アキラもいるし。
 士郎もその反応には考える事があったようだが、それでも今は新たな来客への対応を優先した。
「それでアキラ。何の用だ?」
 士郎が、“アキラ”と呼び捨てにした瞬間、アキラに向けられる刹那の不機嫌が殺気にまで膨れ上がったような気がしたが、アキラは勘違いだと見ないフリをした。
 だってワケが分からないし。
「あの、昨日の事で……」
「大河内さんは、記憶消去処理を?」
「ああ。手を回しておいた。明石には感謝だな」
「え? え?」
 アキラには理解できていなかったが、本来ならばアキラにも他三人と同様の記憶消去魔法が使用されるはずだった。
 それを、様々なコネを使って阻止したのは士郎だ。
 相手が明石(教授)であったからこそすんなり通ったが、これで借りが一つ。
 親しき仲にも礼儀あり、というわけではないが、士郎の周りの協力関係というのは基本的にギブアンドテイクで成り立っている。
 それは、弟子であるタカミチでさえも同様の事だ。魔術と引き換えに士郎へ様々な便宜を図っているのだから。
 まあ、それでも成り立つ友情はあるのだから、その事自体は問題ではない。
 ただ、話を知っている風の刹那でさえも、士郎が今回の事件で払ったもの、その全ては知らないと言う事。
 助けられた者が正当な返礼を為せない、という事が問題と言えば問題だった。
「その、もしかして、私が迷惑を……?」
「まあ、あの程度迷惑という程でもないがな。君の裁量を衛宮士郎の責任において預かったというだけだ」
 刹那は表情にこそ出さないものの、その言葉に驚いた。
 士郎の立場は、この麻帆良学園において複雑かつ綱渡りのような博打の末に成り立っている微妙なものだ。
 責任ばかりが積み重なり、その薄氷を支えているのは士郎の卓越した戦略という状況で、更に厄介事を抱え込もうというのだから刹那が驚くのも当然と言える。
 だが、実際の所は士郎が言うとおり、“この程度”ならば問題ではなかった。
 士郎はアキラとの約束を全面的に信用しているわけではないが、アキラが起こせる問題などたかが知れている。
 それに、アキラに魔法がバレたのは士郎であるし、その後始末であると考えれば当然の配慮でもあった。
「私、昨夜の事で謝りに来たんです」
「私の指示を無視してあの場に戻った事か」
「……はい」
 ふむ、と士郎が一瞬の思案をしている中、刹那は士郎とアキラ、二人を同時に眺めて観察する。
 刹那の主観的な印象を述べるのなら、宿題を忘れた生徒とそれを叱る教師の図、といった所か。
 そう見えた事が更に刹那を理由のない不機嫌へと誘う。理由がないと言っても、それは本人の自意識に限っての事ではあるけれど。
「私は、別に怒っているわけではない。だが、あのエヴァンジェリンを直視した君ならば、私の忠告の意味も分かっているはずだ。反省は活かす為にある。もう、無茶はするなよ」
「……はいっ」
 アキラは、俯いていた顔を上げ、ようやく安心したように、彼女にしては大きな声で返事をする。
「話はそれだけかな?」
「あ、それとですね」
 アキラが差し出したのは、以前士郎が授けた魔除けのタグ。それには、見てとれる程に大きなヒビが入っていた。
「成程。確か式返しをしたんだったな。少し待っていてくれ」
 と、士郎は店の奥に引っ込んだ。また何か新しい物を持ってくるつもりなのだろう。
 それはいい。アキラとしては、壊れていても持っていたい一品だ。貰ってばかりで本当に申し訳なく思う以上に、普段大してアクセサリーを着けないアキラとしては味気ないドッグタグであったとしても喜びが勝っている。
 でも。でも、今の刹那と二人きりにされたのは、アキラとしては何とも居心地の悪いものだった。
「大河内さん」
「は、はいっ」
 刹那の、あまりに冷たい声にアキラは震えあがる。何だか、昨夜の女性よりも怖い気がするくらいだ。
「士郎さんとは、どういう関係なのですか?」
 淡々と。微塵も顔に感情を出さず、刹那は問いかける。
「どうって、その……私にも、よく分からないんだ」
「分からない?」
「うん。何で士郎さんが私の記憶を消さないのかも、何で私に選ばせるような事をするのかも。だから多分、私と士郎さんに関係なんてないよ。ううん、元先生と元教え子の関係、かな」
 そうは思えない、と刹那が反論しようとした時に、修行に付き合う為に多大なるリスクを払っていた士郎の行動を思い出す。
 刹那もアキラと同じように、いやむしろより多大なリスクを払ってもらっているのだから、その関係を不自然と断じる事は出来ない。
 実際の所、士郎にとって刹那との関係は大いに利益があるのだが、その事実には気づかない方が幸せだろうし、何より士郎は知られる下手を打つ事はないだろう。
「なら……なら何故、大河内さんは危険を知っているのに士郎さんから離れないのですか?」
 刹那は、生まれも境遇も普通とは言えない。
 そのせいか、アキラのような“普通”な人間が、何故逃げないのか理解できなかった。
 いや、心の奥底では、妬んでいたのかもしれない。
 普通に寝て、起きて、食べて、勉学に運動に趣味に、好きなように。ただ、普通に生きるという選択肢を持っているアキラを。
 対するアキラは、その質問に少しだけ驚いたような表情を作り、短い逡巡の後に口を開く。
「逃げたくなかったから、かな。知ってしまったら、もう見て見ぬ振りなんて出来ないから」
 刹那にはまだ、その答えが理解できない。
 捨て去る、物事の優先順位を実行できるのは、強者の印であり甘えを断ち切った証だ。
 平穏を捨て去ってまで危険に飛び込む理由なんて、刹那は知る事ができても理解する事はできない。
「なら、あなたは――」
「済まない、待たせたな」
 図ったかのようなタイミングで、その先の核心を尋ねようとした刹那を遮り士郎が帰ってきた。
 刹那も、それほどその問いに意味を見出していなかったのか、口を噤む。
「形は変わったが、効力は多少マシになっているだろう」
 士郎が差し出したのは、鎖が巻かれた十字架、のような剣型のアクセサリーだった。
 掌に収まるサイズのそれは、年代物のような鈍い光を放っている。
「これ、いいんですか?」
「ああ。というより、それぐらいは持っていて貰わないと私の監督責任があるからな……安心できない」
「なら、ありがたく貰っておきます」
 アキラは複雑な表情で受け取り、首にかけて服の中に隠した。
 チラリ、と刹那の方を意識して、言う。
「そろそろ帰ります。慌しくてすみません」
「構わんよ。ただ、いつもここに居るとは限らなくなってきたのでね。事前に連絡をくれるとありがたい」
「分かりました」
 最後にもう一度礼を述べて、アキラはアルトリアを出て行った。
 刹那は、ぼーとその後姿を見送る。
「それで、先ほどは何か言いかけていたようだが?」
「そうでしたか? もう覚えていません」
 本当に、刹那はそんな事を忘れていた。
 ただ何か、理解できない、持て余す感情を自身の中に感じている。
「私もそろそろ帰りたいと思います。何か連絡がありましたら、携帯にお願いします」
 紅茶、美味しかったです。
 そう言い残して、ドアに手を掛けた刹那の背に。
「了解した。ではまたな、刹那・・


 ドアを閉め、一瞬の後に気づいた刹那は途端に頬を染めた。
 きっとその日は、顔を赤くして凄いスピードで走り去る少女の姿が、目撃されていたことだろう。


 



士郎「桜が咲く。桜咲って名前も、結構気に入ってたんだけどな……」

オマケ アキラの妨害がなかったら……?
刹那「あ、あのっ、私の事は以後刹那と呼んで頂けないでしょうかっ!?」
士郎「さ、桜咲?」
刹那「いえそのっ!あ、ほら、戦闘時は少しでも短く呼び易い方がいいかと思いまして!私も刹那と呼ばれる方が、その……」
士郎「ああ、分かったよ刹那。これでいいか?」
刹那「///」
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2009.09.29 | | # [ 編集 ]


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