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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第23話


「4月15日の結末(3)」


 チャチャゼロは、数百年の戦闘経験を持つと言っても、実際に衛宮士郎との一騎討ちに臨めばそれを生かす間もなく倒されるだろう。
 それだけの能力差が、二人の間には歴然と存在し、チャチャゼロでは足止めにもならないという事実は、既に先の戦闘にて実証されている。
 故に、エヴァンジェリンがとった策は至極単純。
 一対一で勝てぬのならば、数を用意する。
 チャチャゼロを除いて、10体の人形。
 それが、3キロという距離、傷ついた状態で動かし転移させる事のできる最大数の従者だった。
 それも、チャチャゼロという目印が士郎を発見して座標を固定させる事ができたからこそ。
 ネギと相対しながらも転移の術式まで編めるエヴァンジェリンのキャパシティは相当のものだが、“吸血鬼殺しの毒”にはいくら真祖とて長い間耐え切れるものではない。
 よって、エヴァンジェリンの勝利条件は二つ。
 決闘にて、ネギに勝利する事。呪いの完全解除まで、衛宮士郎を足止め、可能ならば抹殺する事。
 ただ、彼女に計算違いがあるとすれば。
 
 衛宮士郎は、一対一の決闘よりも、一対多の殲滅戦こそを得意としている、という。
 彼の最初の記録に証明されている事実だった。

 剣が降る。それは、さながら血の雨のよう。
 赤い剣の檻は、一瞬で出現した“11体”の人形から自由を奪った。
 チャチャゼロは、先の士郎との対峙の経験から、瞬動にて離脱する事ができたものの、苦い口調で吐き出す。
「チッ。俺モ知ラナイ奴ガイヤガッタカ」
 そう、士郎の死角に転移していた人形には、チャチャゼロも知らされておらず、また、気づく事もできなかった。
 にも関わらず、士郎はそれを平然と察知し、他の人形たちと同時に排除するのだ。
 流石に強気なチャチャゼロも、目の前の男が、ここ数百年の中でも上位に位置する厄介な敵であることを認めないわけにはいかなかった。
「さて、チャチャゼロ。援軍は既にこの通りだが……まだ続けるかね? 折角主に修復してもらった体だ。大切にすべきだぞ?」
 皮肉るように、士郎が笑った。
 それは、このまま続けるのならば破壊する――その、宣告でもある。
「決マッテルダロ。最後マデ、ダ!」
 爆ぜる。小柄な体に似合わぬ突進は、士郎と言えど正面から受け止めるのは下策だ。
 故に、逸らし、軌道を変え、わざと隙を作り、戦いの流れをコントロールする。
 だが、チャチャゼロの戦い方は、その口調や態度とは裏腹に堅実だ。
 攻撃的でこそあるものの、守りが上手い。士郎が敢えて作り出している隙に手を出す事はなく、士郎も思うように戦場の流れをコントロールする事ができない。
 が。それは、剣のみで戦う場合の話。
 士郎が力任せにチャチャゼロを吹き飛ばす。いくら魔法により荷重操作が可能だと言っても、限度はある。
 数トンの巨重、ヘラクレスの大斧などを振り回す士郎の腕力は、強化を使うまでもなくトップクラスの魔法剣士に匹敵するのだ。
 そして、チャチャゼロが瞬動で距離を詰める前に、ソードバレルにて再び串刺しにしようと脳内の設計図から魔術を起動――しようとした所で、全方向から投擲された投げナイフの存在に気が付いた。
 その発射点は、チャチャゼロを目印に転移してきたエヴァンジェリンの人形11体だ。
 剣の檻は確かに捕縛を可能とするが、片手を伸ばす事ぐらいはできる。
 威力こそ半減するが、投擲そのものは不可能ではない人形が5体いた。
 そうして迫るナイフを処理する為、設計図を破棄して干将・莫耶にて叩き落す。が、その行動は、チャチャゼロにとって十分過ぎる隙だった。
 瞬動で背中を取り、その体に不釣合いな剣を大きく振りかぶって、そして。
 戦いの決着が訪れた。


















 結界や監視システムの殆どを、電子精霊群に代表される魔法科学により代用している麻帆良学園都市にとって、メンテナンスの為の停電時が、もっとも都市防衛力の落ちる時だ。
 よって、平時において機械によって成されている様々な雑事を、魔法先生・魔法生徒が代用しなくてはならない。
 だが、魔法を使えないタカミチはその点で戦力外だった。
 彼の仕事は、実際に防衛線が破られたときの予備戦力。位置づけとして士郎とそう変わらない。
 が、一応士郎の救援要請を受け取るまでは、他の魔法関係者に混じって監視任務についていた。
 だから今、彼は仕事をサボっている事になるのだが……現状起こっている激しい戦いを考えれば、タカミチがそちらの監視に赴いた処で、誰も文句は言うまい。
「すみませんね、明石教授。本来なら、僕がするべきだった」
「いいや、僕も士郎とは親交があるし、専門だからね」
 ここは、麻帆良の警備・監視システムの中枢。メンテナンスに入っていなければ、事実上ほぼ全て行いを監視する事が出来るものである。
 ここに入る事を許されるのは、上級職員か、ここの担当である明石の許可を持つものだけだ。
「しかし、彼は相変わらず狡猾だね」
「と、言うと?」
 突然の明石の言葉に、タカミチは分からず聞き返す。
「今、この学園は外部からの侵入に対処する事にしか、監視システムを使えない状況にある。だからこそ、『闇の福音』も動いたんだろうけど……それはつまり、士郎がどうやってネギ先生たちを援護しているのかさえも、分からないという事さ」
 士郎の戦闘方法、その実力について、情報を欲しがっている組織はいくらでもいる。
 なまじ、タカミチの代わりに有名になってしまった事で、タカミチと同格とまではいかずとも、それなりに二つの意味で狙われる立場になった。
 また、その情報を欲しがっているのは、外部の組織だけではない。
 この麻帆良さえも同じ事。彼を手放さない為に。また、彼の反逆に対抗する為に。
 衛宮士郎を許容するか否か。各陣営で理由は違えど、現状やっている事は同じだ。
 だが、士郎は魔法世界においても、“絶対に誰も監視する事ができない状況”でしか、隠している技能を使っていない。
 ただ、結果があるだけだ。
 千の刃、ジャック・ラカンとの戦闘、また勝利、などという、眉唾ものの噂のような。
 今回も、士郎がどうやって遠距離の援護を可能としているのか、調べる余裕さえあれば調べたい、というのが明石の本音だ。
 設置型のトラップを使用しているのか、狙撃銃を用いた狙撃なのか。
 推測する事はできる。だが、それはただ、遠距離から援護した、という結果しか残らないのだ。
 だが、タカミチは違う。そんな中でも、衛宮士郎の過去を見ている彼は、今彼がどのような方法でその援護を為しているのか、手に取るように分かった。
 もちろん、それを明石に告げる事はない。まだ、その時ではないからだ。
 それに、果たして。弓矢を用いて、世界最高クラスの魔法使いでも不可能な精密射撃を行っている、などと。そんな話を、信じてもらえるかも、分からない。
「士郎の秘密主義は今に始まった事ではないですよ。まだ、麻帆良は士郎にとって安息の地ではない、という事です」
「それは、残念な事だね。学園長が彼を特別扱いするのも分かる気がするよ。彼は、強いよりもまず、怖い。知れば知るほどにね」
 その感想に、タカミチは賛同できなかった。
 何故ならタカミチは、“あの過去”に憧れを持っているのだから。それを、否定などできない。
『明石、結界を復旧させろ!』
 と、その会話を切るように、切羽詰まった士郎の念話が、明石の元に届いた。
 すぐさま彼は、メンテナンスが終わった結界システムに電力供給を開始する。
「さて、これで仕事は終わりかな。タカミチ君はどうするんだい?」
「僕は、書類仕事を片付けてから帰ります。出張ばかりで仕事が溜まっているんです」
 お疲れ様でした、とタカミチが出て行った部屋の中、明石は一人考える。
「やはり、探るのならばタカミチ君から、かな」
 煙草の煙が、暗い室内でまっすぐと伸びる。まるで、とある決意を表すかのように。
















 あわや、チャチャゼロに討ち取られるところだった士郎は、その刹那に切り札を使用した。
 即ち、転移魔法符。
 一枚数十万と高価なものではあるが、命には代えられない。
 それに、あのまま続けていれば、間違いなく士郎はチャチャゼロを再起不能なまでに破壊していただろう。
 そうなれば、流石にエヴァンジェリンがどのような反応を返すか、簡単に予想がついた。
 ならば今、最上の策は逃げる事。再びチャチャゼロに補足されなければ、転移による援軍もないだろう。
 後は、ただネギがエヴァンジェリンに勝つのを待てばいい。
 もしもネギが負けるような事があるのなら――その瞬間に、結界を復旧させる。
 それだけで、エヴァンジェリンの企みは潰え、ネギたちは守られる。
 まあ、結果的には、ネギはちゃんと勝利した。
 おそらく、そのまま続けていれば、最終的にはエヴァンジェリンが勝ちを拾っただろう。
 だが、一撃でも当てられたのなら、まだ敗北を納得しやすくも、ある。
 が、その見極め、タイミングそのものはシビアだ。
 エヴァンジェリンが、再度攻撃をしかける前に結界を復旧させなければ、ネギたちの危険度は飛躍的に増大する。特に、予想外の反撃にエヴァンジェリンがキレたら拙い。
 実際の所、それは杞憂に終わった。
 ネギに打ち負かされた時、エヴァンジェリンが最初に警戒したのは、士郎。衛宮士郎による、超長距離狙撃を何より恐れた。
 よって、士郎は用意していた黒鍵を使うまでもなく、この騒動の決着は成る。
 が、一つだけ留意しなければならないのは、結界の復旧と共に黒鍵の毒を解除する事だ。
 そうしなければ、封印されたエヴァンジェリンでは、毒に一秒とて耐えきる事はできないだろう。
 まだ、あの子供たちには、死は早い。特に、ネギは、人一人の命の重さに耐えられないだろう。
 それら全てにおいて、最適なタイミングで、士郎は明石に結界復旧を要請した。
 雷に打たれたかのように痙攣するエヴァンジェリンに、毒の兆候がない事を確認して、士郎は弓を虚空に返す。
「さて。後始末と行くか」
 軽く呟いて、士郎は屋上から飛び降りた。


















 敗北した私は、ぼうやのローブを羽織ったまま、重い足取りで帰宅した。
 学園長、近右衛門は、恐らく今回の件については知らぬ存ぜぬを通す腹積もりだろうから特に問題はない。
 問題は、衛宮士郎との関係性。あれだけの事をしたのだ。その報復を、弱体化した今凌ぎ切れるとは到底思えなかった。
 暗欝な足取りのまま自宅に辿り着くと、そこに長身の人影が見える。
 遠くからでも分かる。アレは、衛宮士郎だ。
 殺気こそ感じないものの、念の為身構える。
 ここからは、交渉能力だけが自分を生かす。今更這いつくばってまで生き延びようとは思わないが、それでも、生きるための努力までを諦めるつもりはなかった。
「なかなか遅かったな、エヴァンジェリン。待ちくたびれたぞ」
「……言いたい事は、それだけか」
 飄々と、軽い物腰で衛宮士郎は話しかけた。まるで、今までの戦闘などなかったかのように。
「ほら、チャチャゼロだ。残りの人形は、すまないがそちらで回収してくれ」
 不可解もここまでくれば極まる。何故、この男がチャチャゼロを回収、ましてや、“すまない”なんて単語が口から出てくる?
 私は、その態度に戸惑う事しかできない。構わず、衛宮士郎は続ける。
「左手を見せてみろ」
「やはり、あの剣はお前か」
 左手の、あの焼けるような痛みは、既にない。今残っているのは、ただの貫通した穴だけだ。
 それでも常人にとっては十分に恐ろしい傷だが、既に止血された傷ならば私にとってはそう大したものではない。
 だが、その傷を、何故コイツが気にする必要がある?
「何のつもりだ?」
「いや、何。明日からの登校、そんなモノがあっては行き辛かろう? 消しておこうと思ってね」
「貴様、治癒の術も使えたのか?」
「いいや。私はそんな器用なマネはできない。出来るのは、ほら、この通り」
 瞬間、確かに衛宮士郎は“何か”を取り出し、私の手首を斬り落とした、かに見えた。
 が、そんな事はない。
 手首は変わらず繋がっていたし、痛みもない。そう、完全に痛みは消失していた。
 その、貫通していたはずの傷までもが。
「貴様……」
「これは今までの別荘使用料だ、エヴァンジェリン。これで私と君に、貸し借りはない。契約も含めてな」
 それでいい、と。そう、衛宮士郎は言っている。
 契約の裏を取った戦略は、お互い様だった。が、スタート地点が違った今回の戦い、理不尽な多数による攻撃についての返答が、自らが付けた傷を癒す事、などと。
 そんな施しは、受けられない。『闇の福音』として、そんな憐みには耐えられない。
「巫山戯るなよ、衛宮士郎……。これは、私の借りだ。この傷の事も、今回の件についても、だ。いつか、必ず返すから覚えていろ」
 その、私の言葉に、衛宮士郎は若干驚いたような、幼い顔を見せて。
「ああ、分かった。利子を数えて待っていよう」
 嬉しそうに、そんな事をのたまった。



士郎「まるで遠坂みたいだな、エヴァは」
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