Twitter

FC2カウンター

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリ

最新記事

最新コメント

リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


検索フォーム

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
351位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
二次小説
180位
アクセスランキングを見る>>

屈折領域・裏鏡


一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

TOP > スポンサー広告 > 夢破れし英雄  第21話TOP > 夢破れし英雄 > 夢破れし英雄  第21話

スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夢破れし英雄  第21話


「4月15日の結末(1)」



 その夜、結局士郎は麻帆良に残っていた。
 というのも、停電による学園の防衛力低下の為、万が一の切り札として学園に残る事を学園長から正式に依頼されたからである。
 しかし、もう既に店は閉店すると言ってしまったので営業するわけにもいかず、昨晩は関西から受注した数本の儀式刀を作成していた。
 が、その仕事も昨晩片付いてしまい、タカミチを呼び出して修行しようにも向こうは仕事。
 有事以外の状況下で士郎が出張ると、いらぬ摩擦を起こしてしまう為、仕事を手伝う事も出来ない。
 暇、というのが士郎の現在状況を一番良く表す言葉だった。
 と、まるで開店当初のような空気が漂っている店の扉が、唐突に開いた。
「ケケケ。ヨウ、エミヤ。招待状ヲ持ッテ来テヤッタゼ」
「チャチャゼロ…もう、動くのか?」
「アア。何カ知ラネーガ、今ノ御主人ハ最強状態ダ」
「封印が解かれたのか?」
「イイヤ。妹ガナニカヤッタミテェダナ。効果ハ停電ノ間ダケッテ話ダゼ」
「そうか。何にしても、チャチャゼロが動ける程に魔力が回復しているのなら、ネギに勝ち目はないな」
 士郎はチャチャゼロの脇を抜けて店外へ出た。
 その背にチャチャゼロが声をかける。
「テメェハ戦エネェダロ?」
 そう。
 悪魔の契約により、衛宮士郎はネギ・スプリングフィールドとエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの戦いに介入する事はできない。
「何だ、チャチャゼロ。私を観戦に招待してくれたんじゃなかったのか?」
「イーヤ。前カラナ、エミヤ。テメェトハ戦ッテミタカッタ」
 大鉈を構える。
 チャチャゼロを覆う魔力は、既に臨戦態勢に入っている事を士郎に伝えた。
「悪いが、お前と戦う意味はないし、手加減もできない。諦めるんだな」
「待チナ。“契約”ニハ、穴ガアル」
 ぴたり、と士郎は足を止めた。
「確カニテメェハ御主人トアノガキノ戦イニ手ハ出セネェ。ダガ、戦イガ始マル前ナラ、テメェハ御主人ト戦エルダロ?」
「ああ、そうか。つまりチャチャゼロ、お前の役目は」
「足止メ、ッテコッタナ」
 瞬間、士郎の姿が爆ぜた。瞬動というにはあまりに荒々しい、神速の走り。
 一瞬遅れる形でチャチャゼロが追随する。
 士郎の目的を考えれば、別にチャチャゼロと戦う必要などない。
 寧ろ、戦っている暇などないのだ。
 今優先すべき事は、何よりも誰よりも早くエヴァンジェリンを視認できる位置まで到達する事。
 チャチャゼロを排除するのは、それからでも遅くはない。
 士郎は既にチャチャゼロを解析しており、その所有武装は把握している。
 彼女のアーティファクトも知っているし、チャチャゼロに飛び道具がない事は承知済み。
 故に、チャチャゼロは単純に脚力のみで以って、衛宮士郎を凌駕しなくてはならない。
 だが、スタートでの差、そして瞬動を用いない移動速度での絶対的な能力差は、闇の福音の初代従者とて簡単に覆せるものではなかった。
「忌々シイ野郎ダ」
 悪態をついた所で、結果が変わるはずもない。
 既に士郎は地の利をも活かし、チャチャゼロと5秒の差をつけている。
 対して、学園祭ぐらいでしか麻帆良を自由に歩けないチャチャゼロにとって、地の利など望むべくもないのだ。
 だが、それも。
 チャチャゼロが、『走る』以外の移動手段を、持っていなければの話。
 チャチャゼロの背にはコウモリの翼がついている。
 それは、飛ぶ事を可能にするような機構ではないが、魔法により飛翔の機能が付与されていた。
 普段、主人の封印に伴い、歩くことすら難しいチャチャゼロだが、魔力の滾る現状ならば話は別だ。
 鳥は、速い。
 地を走る者と空を滑るものとでは、速度よりも何よりも、使える道に開きがある。
 そして、高所からの攻撃は察知が難しく、威力も増す。
 こうなれば、チャチャゼロと衛宮士郎の追いかけっこが、断然チャチャゼロの有利になるのは当然の事だった。
 加えて、人形であるチャチャゼロは疲れを知らない。
 衛宮士郎の体力は、その限界を見せた事はないものの、人間である以上、生き物である以上、決して埋められないものがある。
 だから。この結果は、とても理不尽なものだった。
「ナッ!?」
 飛び上り、士郎の死角から襲う為に目を離した僅かな瞬間に。
 士郎は、既に弓を構え、チャチャゼロに狙いを定めていた。
 ならば、もうその時点でチャチャゼロの敗北は決まっている。
 おそらく、この世界において当代最高の弓使いである衛宮士郎に狙われて、避ける事ができる者などそうはいない。
 いるとするのなら、それは世界最高クラスの“人間外”だけだ。
 いくらチャチャゼロが『闇の福音』の初代従者であると言っても、単独でマスタークラスの能力があるわけではない。
 番える瞬間さえ確認できない神速の連射により、壁に貼り付けられる。
「一つだけ確認しておこう。ソレは、修復可能なダメージかね?」
「ケッ、ヤッチマッテカラ言ウ台詞ジャアネェナ」
「ふむ。それだけ悪態が付けるのならば大丈夫のようだな。流石はドールマスターか」
 確認の答えは得られなかったが、士郎に立ち止まっている時間はない。
 すぐさま踵を返し、近づいた事でいくらか分かり易くなった、強大な魔力反応を目指す。
 が、それも数瞬。
 まるで、士郎の行動を阻むかのように、聞きなれたメロディーが士郎の耳に入った。























 まき絵の様子がおかしい事に、最初に気づけたのは多分、士郎さんからの忠告があったからだ。
 私は魔法というものが存在するという事を知っているし、“そういうもの”に対して敏感になっているから、まき絵に何かあったんだ、という事は知っていた。
 士郎さんにも電話で相談していたら、様子を見る以上の事はするな、と釘を刺されていたけど、まき絵がもしも、何か覚えて気にしているのなら、私に出来ることは何でもしてあげたいと思っている。
 でも、結果的に言って、その心配は杞憂だった。まき絵は何も覚えていないようだったし、士郎さんも問題ないだろうと言う。
 士郎さんが言うのならば正しいのだろう、と盲目に安心していた。
 そう、この時までは。
「まき絵…っ!」
 振り返ったまき絵の口元から覗く歯が、確かに尖っている事を認識して、私は慌てて跳び退く。
 吸血鬼に咬まれた者は、その下僕となる。
 私は、今のまき絵の状態が操られているのだと判断した。
 でも、それが分かっても、事態は何ら好転しない。
 私にはまき絵を止める力なんてないし、できるとしたら、二人を連れて一旦逃げて、士郎さんに連絡する事ぐらいだ。
 でも、それは恥じ入る事でも、無力を感じる事でもない。
 私は、私に出来る事、私しか出来ない事をすると決めたんだから。
「亜子、ゆーなっ、付いてきて!」
 無理やり二人の手を引いて、浴場の入口に走る。
「ちょ、ちょっと、アキラ?」
「今は黙って付いて来て。後で説明してあげるから!」
 私の突然の行動に驚いて、うまくまき絵からは意識を逸らしてくれたみたいだ。
 二人の手を引いて、しかも滑り易いお風呂場を走るのは困難。
 でも、操られているまき絵は待ってくれなかった。
 とても、人間技とは思えない動きで、あっという間に私達の前に現れる。
「さあ、皆もごしゅじんさまの下僕になろう……?」
 私は、ゆーなと繋いでいた手を、咄嗟に胸元のドッグタグに伸ばす。
 脳裏に、士郎さんの声が甦った。
『できれば、肌身離さず持っていてくれると有難い。万一の時には助けになるはずだ』
 悠長に首から外している余裕はなかった。両手を使って引きちぎる。
 その間にも、まき絵は私を抱きつくように捕まえた。
「な、何やってるん、まき絵!?」
「アキラ!」
 両隣の二人が叫んでいるけど、叫んでいるだけだ。私を助ける為に動いてくれたりはしない。
 それは、当然だ。何が起こっているのかも分からないだろうから。
 でも、私は分かってる。何が、今私にできるのか。
 まき絵を、ゆーなを亜子を、この窮地を逃れる為には、何が最適なのか。

 まき絵の口が、私の首筋に触れるか触れないか、そのギリギリに。
 士郎さんから貰ったタグを、まき絵の胸元に押しつける事に成功した。

「きゃうっ」
 まるで電撃を食らったかのように、まき絵の体がビクンと跳ねる。
 だらりと力を失ったまき絵の体を、できるだけ優しく抱きとめた。
 士郎さんの話では、私が貰ったこのドッグタグは、破魔の効果があるそうだ。
 魔法に対して、吸血鬼における十字架のような役割を果たすらしく、持っているだけで襲われる対象から外され易いらしい。
「はぁぁ……」
 安堵のため息が漏れる。
 私は、出来た。
 ただ、知っているだけの私ではあるけれど、友達を守る事が、逃げることが出来た、と思う。
 後は、士郎さんに連絡するだけでいい。
 私は、放心している二人に声を掛けた。
「亜子、まき絵をお願い。ゆーな、私、先生呼んでくるね」
「あ、うん。了解や」
 亜子の返事を背に、私は滑らない程度に急いで浴場の入口へと向かった。












『アキラか、どうした!』
 電話口の士郎さんの声には、雑音が混じっている。風を切るような音が聞こえてきて、聞きとり辛かったけど、声が大きいお陰で何とか会話はできそうだった。
「士郎さん、あの、まき絵が突然おかしくなって、」
『待て、その前に今危険はあるか?』
「いえ、多分もう大丈夫です」
 一応、辺りを見回しながら答える。
『よし、ならばまず何処にいるのかを教えてくれ』
「場所は、女子寮の大浴場です。お風呂から出るまえに停電の時間になってしまって……」
『成程、おおよそは理解した』
「え、これだけでですか!?」
『ああ。君の他には誰がいる?』
「まき絵とゆーなと亜子です」
『佐々木は気絶させたのか?』
「あ、はい。士郎さんから貰ったドッグタグを押しつけたら」
『よし、なら気絶した佐々木は一旦置いて、三人はその場を離脱しろ』
「そ、そんな!士郎さん!」
『大丈夫だ、私があと一分もすればそちらに着く。少しでも危険を避ける為だ。佐々木は私に任せろ』
 一瞬で、私の頭は計算していた。
 私たちがまき絵を運ぶよりも、士郎さんが運んだ方が多分早い。
 例え、一分のハンデがあるとしても。
 そして、もしもまき絵をあんな風にした吸血鬼がここに現れる可能性があるのなら、“全員で”帰る為に一番最適なのは、今動ける者で逃げる事。
 そこまで考えたというのに、それでも口はその通りには動いてはくれなかった。
「嫌です。まき絵を置いて逃げる事なんて――」
『きゃあぁぁぁっ』
「亜子っ!?ゆーな!」
 私は走り出した。手から滑り落ちた携帯電話が発する制止の声を無視して。
 そして、そこで、

 横たわる三人と、圧倒的なまでに“違う”長身の女性を見た。

 私の口は、動かない。足も、手も、瞼さえも自分の意思を離れている。
「大河内アキラ、か。貴様だな?我が下僕を浄化したのは」
「あ、」
 何で私の名前を知っているのか、そんな瑣末を考える余裕なんてない。
 ここに居てはいけない、という肉体の危険信号が、私の感情を奪いつつあった。
 強く握りしめ過ぎたタグが痛い。その痛みのお陰で、気絶しないで済んでいる。
 でも、それも直ぐに限界を迎える。そもそも、こんな“違う”モノに対して、普通の人間が関与するのが間違っていた。
 そう。先程の士郎さんの制止は、全く的を射た、先見の妙だったのだ。
 女性の手が私に伸びる。ここで終わる。そう認識したら、もう意識を保っている事さえできなくなった。
「金属製の破魔の札。成程、こんな物を用意できるのはおそらく……」
「そう、私だ。エヴァンジェリン」
 そして、まるでヒーローのように窓ガラスを割って登場した士郎さんの姿を最後に、私の意識はブラックアウトした。




 
















 緊迫した空気が、二人の間を漂っていた。
「契約違反だな、エヴァンジェリン」
「勘違いするなよ、衛宮士郎。私はこの三人を襲ったのではない。見られるとマズイからな。眠らせただけだ」
「ほう?佐々木も、か?」
「この通り、久方ぶりに魔力が戻ったのでな。少しばかり余分な魔力が漏れてしまったようだ」
「成程。故意ではない、というわけか」
 言葉とは裏腹に、二人の緊張は高まっている。
 極力穏便に済ませてしまいたいエヴァンジェリンと、ネギが来る前に戦闘状態に持ち込みたい士郎の思惑は、重なる事はない。
 故に、口で言い包める事が出来ないと判断したエヴァンジェリンは、強硬手段に出る事にした。
「ところで、衛宮士郎。チャチャゼロはどうした?」
「いや、なに。『正当防衛』で破壊させてもらった」
 もちろん、士郎の言葉はエヴァンジェリンを挑発する為に嘘に過ぎない。
 現状、こちらから手を出すわけにはいかないのだ。
 士郎にとって、この立ち位置は最悪だった。
 士郎とエヴァンジェリンの間にまき絵。後にはアキラを先頭に、裕奈、亜子が倒れている。
 いかなる攻撃も、彼女らを巻き込む可能性があるのだ。
「ほう。足止めにもならんとは、チャチャゼロも鈍ったものだな。それとも、貴様が圧倒的なのか?」
 エヴァンジェリンは、士郎の挑発には乗らない。
 時間を稼げばいいからだ。それに、従者の契約によってチャチャゼロが消滅していない事を認識できる。
「余計な会話は要らない。私の目的は分かっているだろう?」
「フン。貴様がここで戦えん事もな」
 二人の視線が絡み合い、殺気が膨れ上がる。
「取引だ、衛宮士郎」
「………」
「私は、今夜の標的を坊やだけに絞る。他には手を出さん。私の従者にも徹底させる。だから、貴様はこの戦いに手を出すな」
「その言葉を、保障するものは?」
「貴様に選択の余地はない。頷かぬというのなら、足元のこいつらを消し飛ばしてもいいんだぞ?」
 エヴァンジェリンの取引は、士郎に利がない強制的なものだが、一つだけ士郎が有利な点がある。
 それは、エヴァンジェリンが士郎を恐れているという事だ。
 未知とは、経験を持つ者程恐ろしく感じるもの。
 エヴァンジェリンは、士郎の未知の魔法も、たかが数分でチャチャゼロを無力化し、店からここまでの距離を到達し得る能力も警戒しているのだ。
 15年という年月に終止符を打ちたい。
 その願いが、エヴァンジェリンを必要以上に慎重にさせている。
 士郎が付け入る隙があるとするのなら、その一点。
 エヴァンジェリンには理解できぬ“反則”を用いて、逆転する事。
 その為には、取引を受け入れる必要がある。
「いいだろう。その取引を――っ!?」
 その答えを返そうとした瞬間。横合いからの射撃によって、士郎は吹き飛ばされた。
 浴場を水切りしながら滑り、柱に貼り付けられる形で止まる。
 その体は、幾重にも巻きついた光のロープのようなもので柱に縫いとめられた。
「ぐっ、茶々丸か…!」
「ハイ。前回士郎さんに指摘して頂いた点を改善させました」
 今回、茶々丸が士郎を狙撃するに当たって、いくつかの魔法・科学技術を使用している。
 まず、遮音結界。以前、駆動音で存在を察知された事からの反省だ。
 更に、認識阻害と光学迷彩。認識阻害はエヴァの魔法、光学迷彩は科学の賜物。
 狙撃ポイントさえ変更する事になったものの、見事茶々丸は予定通り・・・・士郎の狙撃に成功した。
「チャチャゼロが誘導する事は失敗したようだがな。私たちは、最初からこうしてお前を無力化するつもりだったんだよ」
 士郎は悟る。
 エヴァンジェリンは、一切の影響要素を排した上で決戦に臨むつもりだと。
「安心しろ。先程の取引は守る。ただ、貴様にはしばらくそこでそうしていて貰うがな」
 士郎に対するこの捕縛結界弾の効力は、そう長く続くものではないから、エヴァンジェリンはネギを殺すつもりはない。
 そこまでする必要などないし、そのリスクを犯すには衛宮士郎という人間は危険すぎる。
 だが、だからこそ。やるからには、徹底的に対処しなければならない。
眠りの霧ネブラ・ヒュプノーテェイカ
 エヴァンジェリンは、大部分の詠唱を破棄した初級呪文で、士郎を眠らせる。
 拘束されている士郎には防ぎようがない。
 カクン、と。目に見えて、その体から力が抜けた。
「よし、これで邪魔は入らん。茶々丸、お前は坊やに決闘を伝えに行け。貴様の果たし状、確かに受け取った、とな」
「場所は如何致しますか?」
「そうだな。世界樹広場にする。時間は20分後だ。私はチャチャゼロを回収しておくから、お前も坊やに伝えたら戻って来い」
「了解しました、マスター」




 そうして。
 紆余曲折の末、ネギ・スプリングフィールドと『闇の福音』の決闘は開始された。







チャチャゼロ「アー、今回妹ハイイ役ダッタナ」
茶々丸「譲りませんよ、姉さん」
 
関連記事

管理者にだけ表示を許可する
« | ホーム |  »
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。