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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第20話


「そんな彼らの舞台裏」



 喫茶『アルトリア』の店内は、最近の不定期な閉店状態のせいか、もしくは昼下がりの微妙な時間のせいか、お客が少ない。
 そして少ないお客の中でも、常連として古参と言ってもいい朝倉和美は、士郎に呼び出されてそこにいた。
「これからは土日だけの営業…本気?」
「ん、まあ、そうだな」
「確かにこの前不定期に休むって言ってたけどさ。なーんか、裏があるって私の記者魂がアラーム鳴らしてるんだけど」
「否定はしないがな。本業が忙しくなってきた。これからは平日麻帆良に居ない事も多くなる」
「それって、纏まった時間が必要だって事?」
 むむむ、と唸る朝倉に、的度に情報を与えつつも士郎は話を進める。
「ま、とにかく、広報の方は頼む。一応今週はまだ平日も開店するし、土日は明日菜も昼は出てくるから、客として来るなら歓迎するぞ」
「ああ~、うん、明日菜のメイド姿ってのも一度見てみたいけど、それよりあの制服って士郎さんの趣味?」
「馬鹿言うな。そもそも私はエプロンを持参しろと言ったのに、明日菜が持ち合わせがどうのと逃げたのが悪い」
 明日菜の制服が決定するまでの道のりは、まあ特筆すべきことでもないので割愛する。
 それよりも何故、和美が見てもいない制服の事を知っているのかという事に、士郎は戦慄を覚えた。
「で、さ。それよりも。喫茶『アルトリア』をここまで引き上げた影の功労者にして広報担当、朝倉和美にも“本業”ってのは教えてくれないワケ?」
「秘密がある方が魅力的、というのは女だけに限らないらしいぞ」
「あっれ?それもしかして口説いてる?」
「まさか。10年後に出なおして来い」
「うわ、ひっど~。私、結構色気とか自身あるんだけど?」
 和美が胸を強調するように腕を組むが、士郎は呆れたように溜息をつくだけだ。
「中学生なんて相手にしたら完全にロのつく人になってしまう。勘弁してくれ」
 本当に、心底嫌そうに言うものだから、すごく物足りなさそうな顔をしているものの、和美もそれ以上遊ぶ事はなかった。
 だが、そろそろ彼女の好奇心は限界が近い。少なくとも、引き下がるのには理由が必要なくらいには。
「ねぇ、一つだけハッキリさせときたいんだけど。士郎さんが隠してる秘密って、知っちゃったら危ないような物騒な事なの?」
「そうだな。一個人が知るには少しばかり重すぎるという程度か。ある日突然怪しい黒服の男たちに拉致されてもいいのなら教えてやるが」
「いい。やっぱいい。というか、何で士郎さんは普通に喫茶店のマスターなんてやってんのよ?」
 士郎は、少しだけ遠い目をして、呟くように言った。
「…そういう生き方しか知らなかったから、かな」
「え?」
「いや、ともかく話はここまでだ。頼んだぞ」
 そうして、依頼を土産に半ば追い出されるように店を出た和美は、隠れた名店以上の規模を望まない喫茶店を、名残惜しそうに見上げた。












 衛宮士郎は、吸血鬼事件以外にも色々と懸案を抱えている。
 アルビレオ・イマからの依頼、関西との商談、学園長からの依頼(強制)、最近煩い女子生徒との稽古など。
 今一番優先しているのが吸血鬼事件、ひいてはネギと明日菜の事だとしても、他を疎かにするわけにもいかなかった。
 それもこれも、全て自分で動かなくてはならない、“麻帆良最強でありながら最下位”という微妙すぎる立場のせいなのだが。
「エヴァンジェリンは次の満月まで動けない…となれば、今優先すべきはナギ・スプリングフィールドだが…」
 魔法世界へ一度行ってしまえば、正規のルートを通る以上1週間は帰って来れない。
 まあ、仕事さえ手早く終わらせて、転移の術者の協力を仰げたのならば最短で5日、ギリギリ平日の内に帰ってこれるか、という所だ。
 しかし、それでは時間がかかり過ぎる。
 アルトリアの営業の事もあるし、エヴァンジェリンが何らかのイレギュラーによって行動を早めた場合に対処する事ができなくなってしまう。
 幸い、サウザンドマスターについての調査は、急いだ所でどうにかなるものでもない。
 吸血鬼事件に対して、万全の態勢を整えるのならば、学園を離れるわけにはいかないが…。
 どちらを選択しても、リスクはある。
 だからせめて、少しでも判断材料を増やそうと、士郎は頼りになる友人に相談することにした。
 





















 その日、いや、ここ最近。
 吸血鬼事件の噂を耳にして、見回りをしている様子の衛宮士郎を発見してから。
 彼女は、とあるクラスメイトが一人きりになるのを待っていた。
「今日は、エヴァンジェリンさんは一緒ではないのですね」
「マスターに御用ですか?桜咲刹那さん」
 呼びかけ、そして答えられた刹那は、実戦レベルの瞬動で接近できるギリギリの距離を詰めようとはしない。
 対する茶々丸はいつもの態度を崩さなかった。
 二人の間に、緊迫した空気が流れる。
 茶々丸の足元に群がっていたネコたちが、敏感にその空気を感じ取って逃げ出した。
「いいえ。エヴァンジェリンさんでも良かったのですが、貴方の方が事を穏便に済ませる事ができそうなので」
 その判断は、概ね正しい。
 現状、一つの目的に専心しているエヴァンジェリンに余計な事をしてしまったのなら、決定的な敵対状態になる可能性があるからだ。
 だが、穏便に済ます事を望みながらも、相変わらず長めの竹刀袋に入っている真剣は、右肩に担がれたまま。
 その姿に、茶々丸は仮に戦闘になった場合をシミュレートする。
 現在の所有機能、武装にてデータ上の桜咲刹那との戦闘に耐えうるか。
 いや、撤退することが可能か否か。
 それが必要だと判断するくらいには、刹那の表情は硬かった。
「単刀直入に聞きます。今回の吸血鬼事件、貴方たちの仕業ですか?」
「だとしたら、どうされるのでしょう」
「別に、学園側に報告するつもりはありません。貴女がたの邪魔をするつもりも」
 本来、そうであるのならば、刹那は不干渉を徹底するべきだ。
 事実、刹那が関東、麻帆良に転入してきてから、同じクラスの学友として時間の大部分を共有するようになってから今まで、エヴァンジェリンとは一度たりとも積極的に会話を交わした事はない。
「今回の件で貴女たちに伺いたいのは二つだけ。貴女は、いえ、エヴァンジェリンさんは、木乃香お嬢様に手を出すつもりがあるか否か」
 不文律であり、互いに不可侵であるはずの関係を終わらせるメリットなど、少なくとも刹那の側には存在しない。
 それが、例え木乃香の為であっても。いや、木乃香の為を想うからこそ、干渉してはならないはずだった。
 それでも、こうして行動してしまっている最大の理由は―
「そして。貴女たちは、衛宮士郎と敵対するのか、否か」
 もう一人、恩を返したい人が、できてしまったから。
 刹那はもう、睨みつける眼光を抑えることも止めてしまった。
 この行動は、刹那にとっても、そして士郎にとってさえ、褒められたものではない。
 もしもなし崩しに戦闘になれば、立場的に危ういのは刹那であり、士郎であっても怒り狂うエヴァンジェリンから刹那を守ることはしないだろう。
 だが、戦闘を回避したい、という思いは、当然の事ながら茶々丸の方が強かった。
 現状、茶々丸が戦闘不能状態になってしまえば、いくら新米魔法先生ネギであっても、エヴァンジェリンに勝利できるのは先日の夜に実証されている。
 戦闘を回避し、無事戻らなければならない。
 その考えが、先ほど逃げて行ったネコたちが、そしてエヴァンジェリンが、脳裏に当たる記録領域に再生され、茶々丸を饒舌にさせた。
「我々は近衛木乃香に危害を加えるつもりはありませんし、衛宮さんと敵対するつもりもありません。これで、よろしいですか?」
「その言葉に偽りがないと、貴女は何に誓うことができますか?」
「マスターに」
 即答する茶々丸に、刹那は納得して眼光を弱める。
「不躾な質問、すみませんでした。今更ですが、謝っておきます」
「イエ、お気になさらず」
 刹那は背を向け一歩踏み出し、思い出したように半身だけ振り返って告げる。
「ああ、それと。先程の言葉、偽りになるようなら私の剣も黙っていない、と覚えておいて下さい」
 そうしてゆっくり歩き去る刹那の後姿を見送りながら、さて、エヴァンジェリンにはどう報告したのものか、などと思案に耽ってしまったせいで。
 茶々丸がその二人の接近に気づいたのは、通常よりもずっと遅かった。













 茶々丸をつけ回し、一連の『あまりにいい人』な行動を見て、当初の目的を忘却の彼方に追いやっていた二人組に、カモは発破をかけるように怒鳴った。
「ちょ、二人とも!しっかりして下さいよぉ!ほら、兄貴は命を狙われてるんすよ!」
「いや、でも、やりにく過ぎるわよ、いくら何でも」
「それも罠かもしれないじゃないっすか!」
「あんまりそういう風に人を疑いたくないんだけどなぁ」
 それは発言した明日菜だけでなく、ネギにも大いに共感できる感情だったけれど、自分の命が懸っていては素直に頷くことはできなかった。
「お願いします、アスナさん。僕、これ以外に方法が思い浮かばなくて…」
「はぁ、ま、仕方無いわね」
 ここに来る以前、明日菜は士郎に助力を頼むべきだと主張したのだが、士郎を大いに恐れたカモの口八丁によりそれは回避されてしまった。
 まあもっとも、昼間の店内で吸血鬼がどうの、なんていう相談をできるはずもなかったのだが。
「って、アレ?桜咲さん?」
 明日菜が呟いたのは、少しばかり目を離した間に、いつの間にか現れた少女についてだ。
 色々と素人な明日菜でさえ分かる程に緊迫した空気が伝わってくる。
 距離的に、ネギたちには茶々丸の声は聞こえるものの、刹那が何を言っているのかは聞こえない。
 唯一、明日菜だけがその会話を聞きとっていた。
「桜咲さんって、15番のですか?」
「あ、うん、確かそう。何か、士郎さんがどうとか言ってるけど…」
 明日菜はまだアルトリアで働き始めて日が浅いが、それでも常連さんの顔ぐらい覚えている。
 クラスメイトの中で良く店に訪れるのは朝倉とか、那波とか、村上とか、後は何気に大河内とか。
 しかし、刹那が来店している所を、明日菜は見たことがない。
 そもそも、パーティーの時だって刹那は姿を見せていないのだ。
 その彼女が、士郎の事を口端に上らせている事が、明日菜には不思議でならない。その関係を、少しばかり邪推してしまうくらいには。
「あ、帰って行きますよ」
「うん、そうね…」
 結局、一連の会話を盗み聞きする事になった明日菜は、茶々丸との戦闘という一大イベントのお陰で、刹那の事はすっかり忘れてしまった。
 最も、それはある意味幸運な事ではあったのだけれど。
















 小石程度の大きさ、原石を適当に研いただけの安物のルビーが、今タカミチの手の中にある。
「あれ?…できた」
 今試していたのは、力の流動を用いた魔力の蓄積。
 要するに、宝石魔術とも呼ばれる転換の魔術の基礎の基礎だ。
「変化がそこそこ上手かったからもしやと思ったが…考えてみれば、お前の固有技法は魔力の流転を基本に展開しているんだったな」
 エヴァンジェリンの別荘にて、今後の相談の為にタカミチを呼び出した士郎は、そのままなし崩しで修行に入った。
 対エヴァンジェリンについて相談するというのに、敵の本拠地を選ぶとは本末転倒もいい所だが、今回に限って言えば、その問題はクリアされている。
 士郎が製作した念話の為の指輪型魔術礼装の実地テストも兼ねていたからだ。その結果は要改良、というものだったが。
「でもさ、士郎。コレで何ができるんだい?大した意味はないような気がするんだけど」
「まあ、現状の魔力蓄積量ならば、意味はないな。あと10倍程度の魔力を溜めれば、数ランク上の魔術を一行程で行使できるようになる」
「つまり、呪符を作っているようなもの?」
「そんな所だな。大きく違うのは、宝石には既に使用する魔力が存在するという事だ。これならば、術式の処理が遅いタカミチでも、トリガーを引くだけで発動できる…はずだ」
 最も、現状のタカミチでは攻撃系の魔術を知識として修めていないので、呪刻は士郎が担当することになってしまう。
 実践的に、という観点で修行を進めてきたが、そろそろ座学を中心に理解する修行を始めなければならないようだ。
「そうだな…規定値の魔力が溜まったら、一度俺が術式を刻むから、発動の練習をしてみるか。強化・解析の基礎力向上は今まで通り、火系の攻撃魔術は宝石使った方が楽だからこれでいいとして…」
「なあ、士郎。この宝石は、例えば対象に投げて発動したりするんだろ?」
「投げたりすると操作が難しくなるが、まあそうだな」
「もっとこう、直接拳に乗せられる攻撃魔術はないのかい?」
 タカミチが求めるものは分かる。
 居合い拳に炎を付加すれば、攻撃力は飛躍的に向上するだろう。
 だが問題は、タカミチの拳はおそらく、炎の付加に耐えられない事だ。
 強化のレベルが上がれば可能かもしれないが…現状は難しい。
 士郎ならば、剣、つまり外装に付加すれば、例えそれが壊れてしまったとしても自分の肉体に影響はない。
 だが、自身の肉体にエンチャントする場合、余程起源が近いか専門的な属性でない限りは、失敗もしくは過負荷の代償を全て肉体で払うことになる。
 そんな事では、当然の事ながら習得の前に命を落としてしまうだろう。
「難しいな。タカミチの火属性は、発火よりも燃焼に特化している。拳に乗せると言う事は、つまり拳を焼くという事だ。高階位の強化術者ならば可能かもしれないが…タカミチの特性を考えた時、一生かけてもそのレベルまで辿り着く事は難しいだろうし、別の方法を模索した方が効率的だ」
「そう、か」
 あからさまに落胆するタカミチ。
 そもそも、士郎とて修めている魔術が多くない以上、修練メニューは組めても実演できない事が多いのだから、師匠としては落第もいい所だ。
 タカミチが自分の発想で編みだした技の方が使い勝手もいいだろうし、馴染みも早いだろうから、固有技法と同じく、士郎に出来ることは基礎的な土台作りだけ。
 遠い道のりに、タカミチが焦り、効率が悪くなってしまうのも仕方のないことではある。
 そして、良い師匠にはなれない士郎は、せめてメンタル面でのサポートぐらいはと、気分転換を促すのを忘れない。
「よし、タカミチ。折角だから一本模擬戦でもしよう。まだアレは使用経験が浅いだろ?」
「いいのかい?アレはまだ、手加減なんてできないけど」
「ノーガードなら流石に無理だが、そう簡単に入れられると思うなよ?」
「よし、なら始めようか!」
 タカミチは弄っていた宝石をポケットにしまい込み、固有技法の儀式詠唱を始める。
 模擬戦のルールはいつも通り。何でもアリの実戦形式。
 だから、お互い見せられる範囲で・・・・・・・・、全力で戦う。

「右方より放出。左方にて収束」

 そうして、気分転換のハズの模擬戦、いや、実戦は、互いが動けなくなるまで続いた。








ネギ家出中…

ネギ「あの、このクレーターは…?」
楓「ああ、それは修行で出来た穴でござるよ。本当に、士郎殿は容赦がござらんからなぁ」
ネギ「…え?」
 
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