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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第16話


「先生のお仕事」


 朝。学園長室は、かつてない緊張の中にあった。
 机の上には札束。数週間程前に提示された額がキッチリ揃っている
「これで借金完済だ。相違ないな、近衛近右衛門?」
「い、いや、じゃが実は利子が―」
 ドン、と更に札束が追加された。
「これで文句はあるまい? 利率がニイチでも足りる計算だが」
「……いや、利子はいらんよ。済まんかったな、衛宮君」
 そもそも、金で引き止めたのが近右衛門の敗因だった。
 借金を理由に引き留めたのだから、借金を返されてしまえば、今更別の理由を持ってくることもできないのだ。
「じゃがのう、衛宮君。どうか、新年度までは勤め上げてくれんかのう。君の就任はワシが勝手にやってしもうたから、流石に今の時期に辞任を認めるわけには…」
「心配するな、学園長。負った責任は果たすさ。ネギの教育実習が終わるまでは、私も副担任という事だ」
「おお、そうか。重ね重ね、すまんかったの」
「ふむ。それはもういいさ。それより貴方の方から呼んだという事は、何か別に要件があるのだろう?」
「うむ、そうなんじゃ衛宮君。実は木乃―」
「その口閉じねば後悔するぞ」
 いつの間にやら出現した干将が近右衛門の首筋に添えられる。
「じょーくじゃよじょーく。お茶目な、な?」
「そうか。それが辞世の句でいいんだな?」
 ぐっと近づいた刃に今度こそ、近右衛門は黙って頭を振った。
「再三の警告を踏まえての行動。最早弁解の余地すらないな」
「と、ところで本題に入ってもいいかの?」
「話したければ話せ。ただ、自分の命の重みをよく確かめながら、な」
 盛大にビビリながら近右衛門は話し出す。
 要約すれば、そろそろネギに本採用の為の最終課題を出すつもりで、その為にバカレンジャーとネギには図書館島の深部に行ってもらう。
 その間ネギは授業をする事ができないから、代わりに士郎に行って欲しいという旨。
 その計画には正直頭痛がしたが、実害を被るのはネギであるし、何よりこの爺が大丈夫だと判断したのなら危険もなかろう。
 と、判断してしまった。
「了解した。誰よりも生徒の安全に苦心している貴方が言うのだ。信用しよう。だが、有事の際は必ず私にも知らせるように。ネギにしろ生徒にしろ、傷ついたら申し訳が立たない人間が多すぎるのでな」
「それに関しては確約しよう。夜ここに来てくれれば、一緒に水晶玉で見れるがの?」
「気が向いたらな。私の場合は、アルの所で待機しておくのが現実的であるように思えるが」
「しかし、それじゃと君寝れないじゃろ?」
「慣れている。これも仕事の内だ」
 そう言って、別の要件はないのかと確認した後士郎は出て行った。
「危ういのぉ、彼も」
 好々爺の目には、確かな慈しみ。
 どうにか出来ないものかと考えて、今はまだ早いと己の考えを打ち消した。

















 学期末試験も近付き騒がしい教室の中、普段ならばネギが立っているはずの教壇には士郎が立っている。
「あー、君たちも知っている通り、ネギ先生と一部生徒は欠席だ。よって、代わりに私が授業を担当する」
「あの、ネギ先生たちがどこにいらっしゃるのかご存じなのですか!?」
「ああ。安全性においては私が保障しよう。だが、脱出には相応の時間がかかるだろうから、テストまでは私が代理になるが、構わないかな?」
「しかし、テストまでに帰って来なかったらネギ先生はクビに…」
「最悪の場合、私が施設を破壊してでもテストは受けさせるから安心しろ。さあ、そろそろ授業を始めるぞ」
 まだうだうだと不満の声は漏れてきていたが、いざ授業を始めればそんな声も消えた。
 天才とは言えまだ10歳のネギの授業よりは、バイリンガルで日本人の視点を持っている士郎の授業の方が分かり易い。
 発音に関して言えば、流石にネギよりは拙いのだが、それでも英語教師としては十分過ぎる技量を持っていた。
 その授業を聞きながら、刹那の体にも安堵が広がっていた。
 昨夜、木乃香が突然消えた事で焦りだけが募り、精神状態もかなり危うい状況まで至っていた刹那である。
 夜、まさか寮から外出するとは思っていなかった刹那はその頃自主鍛練に励んでおり。
 本日起床してからあたふたとあちらこちらに確認の連絡を取り、心配いらないという旨の話は聞いていたのだが…。
 この人が、衛宮士郎が大丈夫である、と太鼓判を押してくれるなら、この学園においてこれ以上の確約はない。
 刹那個人は、僅か半年程度の付き合いながら、それ程までに彼を信頼していた。
 だからこそ、先日神鳴流、現実的には近衛詠春へのアポイントメントを依頼された時も引き受けたのだし、非公式ながらも存在する学園の衛宮士郎許容派(支持派)に属しているのだ。
 既に刹那の立ち位置は、単純に関西を抜けた裏切り者であるだけでなく、麻帆良においても複雑なものになりつつある。
 もちろん、その原因となった士郎は世界的に複雑な位置に立たされているのだが。
 とまあ、そんな事情もあって、昨夜からちゃんと眠れていなかった刹那は漸く安心して居眠りをして、結果士郎に怒られた。












 図書館島最深部にあるアルの庭園。
 幻想的かついかにも魔法使いの住処、という雰囲気のそこを、士郎はあまり好きではなかった。
 そもそも、図書館島の深部は魔力密度が高すぎて息苦しさを感じる。
 かつての『鮮血神殿』を思い出してしまうのだから、そこが好きになれるはずもなかった。
「しかし珍しいですね。タカミチ君はともかく、貴方がここを訪ねるのは」
「まあ、な。それより頼んでいたアレはどうだ?」
「順調ですよ。既に我が盟友、サウザンドマスターの3倍の保有量を示しています」
「そうか。ならば、とりあえずこちらのスペアと交換しておいてくれないか」
「それは構いませんが…どうしたのです?」
「先日の詠春との戦いで、少し消費したからな。一応、念のための貯えは欲しい」
「それが契約ですから異議を唱えるつもりはありませんが…自重した方が良いと思いますよ。貴方だけが傷つく必要もありません」
「なに、どうせ保険だ。カードは持っている事に意味があるのだよ」
 使うつもりはない、と言い切る士郎を微塵も信じず、しかしアルは忠実に指示に従った。
 これが、衛宮士郎の過去を手中に収める代償だったからだ。
 自分が扱っている剣が、どれ程危険な存在かも理解していたし、それを使わないと言いきった士郎の過去を知っている以上、その言葉を鵜呑みにしてはならない事ぐらい考えずとも分かる。
 だが、一人の男が何かを守る為に決意した事に、果たして誰が口を挟めるものか。
 それが許されるのは守られる対象だけであり、守る意思がある者だけなのだから。
 水晶球にてかつての盟友の息子を観察する赤い魔術師の背中を眺めながら、アルはそっと溜息をついた。









 しかし、学園長も遊びが過ぎる。
 それが、士郎の『最終課題』に対する感想だった。
 あれ程までに精巧なダミーまで用意して。数日間だけでもアレの魔力を維持するだけで一苦労だろうに。
 あの学園長は、人一倍守りを強固にしようとする所があるが、逆に自分が絶対安全だと確信した事象にはとことん遊び心を加える厄介な存在だ。
 自分も含めて信用してくれるのは嬉しいのだが、自分の力まで計算に入れて安全設計されたら敵わない。
 こちとら最近は色んな約束に雁字搦めで、やる事、やるべき事は嫌と言うほどあるのだから。
 迂闊であった事は認めなければならないが、それでも後悔はしてないから構わない…のだが、かなり深い落とし穴に嵌まっているような気もしてくる。
 『最終課題』にしてもそうだ。そもそも、こんな大掛かりな仕掛けなんて必要なかっただろうに。
 ネギが予想外にも自分の魔法を封印なんて浅慮を実行したのが悪いと言えば悪いのだが、そのしわ寄せが自分にきたら流石に心穏やかではない。
 今回に関して言えば、ネギだけを責めていいはずもなく、寧ろ学園長を吊るし上げなければならないのだが、詳しい計画を聞かずに許可を出してしまった自分にも多少なりとは問題がある。
 ネギの浅慮については、やけに魔法の単語を口走っている事も含めて帰ってきたら説教で勘弁してやろう。
 学園長に関してはやり過ぎても後々尾を引きそうだから、まあ加減せねばなるまいが。

「士郎。今後の事ですが」
「今後の事?」
「教師は辞めて隠居するのでしょう?」
「お前と一緒にするなよ、アル。喫茶店の経営に戻るだけだ」
「少しくらい、自由に時間が取れるようになりますよね?」
「おいおい、どういう意味だ?」
「貴方に、正式に依頼します。サウザンドマスター…ナギ・スプリングフィールドの所在調査を」
 全く予期していなかった頼みに、即答できなかった。
「何故、今頃になって?」
「まあ色々ありますが、一番大きな要素はネギ君でしょうね」
 それは理解できる。
 魔法使いとしてうっかりが過ぎるが、根は優しくまっすぐな少年だ。力になってやりたいとは思う。
「お前の話では、生存は確定という話だったが」
「そうですよ。が、どのような状況なのかは一切分かっていません。貴方に依頼したいのは彼の居所を突き止める事、可能ならば関係する者全て纏めて救出してくる事」
「…簡単に言ってくれる」
 現実的に考えて、そんな事は不可能だ。
 俺は物探しが得意とは言えないし、当代最強の英雄が脱出できない場所からの救出など流石に手に余る。
 勿論、洗脳や人質など、他者が介入する以外にどうしようもない事象はあるだろう。
 しかし、魔法界における表の組織が、いや裏も含めて調査されたであろう彼の行方を、単独で発見できるはずもないのだ。
「タカミチ君経由で貴方の話を聞きました。魔法世界に、貴方は違和感を感じたのでしょう?」
「お前だって知っているだろうが。私は異世界人。違和感など感じない方がおかしい」
「いいえ。貴方が一番よく理解しているでしょう。貴方が感じているのは、戦場の異変です」
 アルは、アルビレオ・イマは首を振って俺の言葉を否定する。
 よくもまあ、それほどまでに自信たっぷり断定できるものだ。
 しかし、それは事実だった。俺は、ここ最近『魔法世界』の情勢に違和感を感じている。
 何かが動きだしそうな前兆。嵐の前の静けさとでも言うのだろうか。
 主に戦場の中で、その感覚は色濃い。
 何か、自分が大きな見落としをしているのではないかという不安。それが、常に付きまとう。
「俺に出来るのは、別の仕事の中でそれとなく調べる程度だぞ」
「ふふ、貴方ならばそう言ってくれると思っていましたよ」
「ちっ、気に食わないな」
 とは言え、今更撤回する気もない。
「で?報酬は」
「それは後々考えましょう。仮に成功した場合は、私に用意できるものならば何でも言ってくれて構いませんから」
「やれやれ。また厄介なものを背負い込んだものだ」
「慣れているでしょうに」
 そう言って笑うアルに、軽く殺意が湧く。
 自分の過去を知られている、というのは思った以上に厄介だ。
 まあ、対価はそれなりに旨味があったのだから文句を垂れても仕方がない。
 どうせ言われずとも勝手に調べていたのだろうし、大人しく報酬を受け取った方がいくらかマシというものだ。
 約束してしまえば逃げ出す事もできなくなるが、そんな事は、それこそ今更な話だった。























 結果として、図書館島のトラップから脱出したバカレンジャーは、ネギの運命を決める学期末テストに間に合った。
 そこまで見届ければ、士郎としても仕事は終わりで、あまり寝ていない三日間の分睡眠を取るべく自宅に帰ってもよかったのだが。
 バカレンジャーに鼓舞の魔法を使っていたネギを発見した。
「ネギ」
「あ、衛宮さん」
「今、自分がしていた事を理解しているか?」
「え?」
「例えばだ、ネギ。他のクラスの子たちだって、昨夜勉強をしすぎて睡眠不足のままテストを受けている子が大勢いる。なのに、今自分のクラスにだけ魔法を使ってしまうのなら、この三日間の君の努力は、一体何の意味があった?」
「あの、衛宮さん、もしかして…」
「答えろ、ネギ」
 言葉に詰まったネギは、しかし純粋な瞳で言い返した。
「でも、僕は間違った事はしていないと思います」
 立派な魔法使いというのは、人々の為に魔法を使う。
 その信念から考えれば、ネギの行為はそう間違ったものでもないだろう。
 だが、『魔法を使わなければならない』状態ではないのに魔法を使うというのは、魔法社会から反することでもある。
 矛盾はしているが、やはり程度問題だ。
 ネギが自分の保身の為ではなく、純粋に彼女たちの事を想って行動したのならば、士郎が言うべき事はない。
「そうか。ならば今回は何も言わない。だがな、ネギ。今の言葉は、先生としては失格だ」
 教師とは、須らく平等でなければならないだろう。
 少なくとも、その時教師として生徒の前に立っているのならば。
 確かに、ネギは教師としてではなく友達として、小さな応援をしただけかもしれない。
 だが、それでは味方した者しか手助けする事はできないのだ。
 やるのならば、差別なく。
 思えば、士郎の自称姉はその辺りの線引きが上手かった。
 もう、自分の教師としての時間は終わったようなものだけれど。
(もう少し、この子には教えてやる必要がありそうだよ。藤ねえ)
 去っていく士郎の背中に、ネギは何も言い返せなかった。

















「合格じゃよネギ君!これからも精進じゃな」
 まあ結局、今回の結果がどうあれネギを今、この麻帆良から出すわけにはいかなかった。
 ここの守りは鉄壁だ。俺ならば破る事はできるが、おそらく一秒の後にはまた復旧してしまうだろう。
 故にこそ近衛木乃香のような生徒が無防備に在籍できるのであり、ネギのような存在を受け入れることができている。
 大戦の英雄、その息子、なんて但し書きがついた子供を、世間に放り出すわけにもいかないのだ。
 本国に移住させれば、未熟な魔法使いでもその秘匿なんかは容易に片が着く。
 だが、英雄の息子に期待している者たちからすれば、長い目で成長を見守っていきたいというのが本音。
 仮に、この最終課題をネギがクリアせずとも、変わらず教育実習生という形で試練は続行される手筈だった。
 ネギが早とちりして出て行こうとしたのは計算外だったが、確かにそう勘違いしてもおかしくはなかったかもしれない。
「ともあれこれで俺も教職から解放されて自由の身だ。タカミチ、奢ってやるから店に来ないか?」
「いいね。昼食もまだだったし、ご馳走になるよ。ちょっと相談したい事もあったし」
 遠くからネギたちの様子を窺っていた俺達は、もう必要もないだろうと判断し広場を引き返す。
 その途中で、同じくネギたち……というか、近衛を見守っている桜咲を発見する。
「おーい、桜咲!お前もウチで昼どうだ?」
「あ、衛宮先生。えっと、お昼ですか?」
「ああ。そうだな、俺の退任祝いという所か。その後エヴァンジェリンの別荘に修行に行くつもりだから、良かったらそっちもどうだ?」
「あ、いえ。お嬢様の警護もありますので、今日は遠慮しておきます」
「だが、桜咲とて常に警護しているわけにもいかないだろう。少しは息を抜いたらどうだ」
 どうせ学園内で危険などないし、あったとするなら桜咲に対処できる相手でもないだろう。それに、不良のような存在も長瀬と古菲がいるのなら問題なかろうし。
「いえ、別に用もありますので。それでは」
 足早に、しかも近衛たちとは反対方向に逃げていく。
「振られたね、士郎」
「そうだな。まあ、どちらかと言えば桜咲が来ない方が都合はいいんだが」
 そろそろタカミチの魔術も次の段階だ。必要以上に知られるのは桜咲の安全の為に良くない。
「で、修行つけてくれるんだろ?」
「ああ。どうせお前の相談も魔術関係なんだろうし、別荘でのんびりといこう」
「そうだね」
 男二人、仲良く歩きだした。













 






 本当は、用なんてなかった。
 何の事はない咄嗟の言い訳で、刹那自身苦しいとは思ったが、とりわけ追及もされずに逃げられたのは幸運だったのだろう。
 エヴァンジェリンの話を聞いてしまった以上、今更士郎との鍛練を続けるわけにもいかない。
 正直、士郎との鍛練は充実していて、それを失うのはとても惜しい。
 だが、刹那は誰かに迷惑をかけてまで強くなりたいとは思っていなかった。
 それに、エヴァンジェリンを敵に回すわけにもいかない。
 現状を維持できるのなら、刹那の使命を考えるにそれが最良の選択。
 しばらくは自主鍛練のみになってしまうが…そもそも、今まではそうやって強くなってきた。
 春休みになれば、少し遠出して彼女に習いに行ってもいいのだし。
 そう自分を納得させて、刹那は木乃香を確認できる地点に戻って行った。









士郎「ほう…?桜咲、私の授業で居眠りとはいい度胸だ」
刹那「はっ。す、スミマセンッ!」

アル「あ、報酬は私の秘蔵コレクションとかどうですか?」
士郎「いらん」
 
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