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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第15話


「京都神鳴流(後)」



 舞台は既に道場を離れ、関西の結界をも越えて神鳴流の鍛練場に近づきつつあった。
 激戦に終わりは見えない。
 詠春の神鳴流、その奥義の悉くを、士郎は干将・莫耶による剣技と身体能力のみで防ぎきる。
 互いに有効な攻め手を見つけられないまま、その疲労は極致に達しつつある。
 それも当然、二人は既に半刻以上全力での戦闘を続けている。
 近年全力戦闘どころかこれほどの長時間の鍛練さえしていなかった詠春はともかく、士郎も連続強化によって魔術回路・肉体共に悲鳴を上げていた。
 刹那との鍛練により、士郎の神鳴流に対する心眼はほぼ完成の域にあったが、それでも剣だけで戦う以上、詠春の基本性能は士郎とは比べものにならない。
 現状はただ、膠着状態を作り出せているだけ。だが、詠春は作り出されたその状況に気づくことができていなかった。
 故に、これ以上自分の領地を荒らすわけにもいかない詠春は、決着の提案を投げかける。
「次の技で、終わりです」
「ならば、私もまた相応の技を披露しよう」
 二人の距離は約20メートル程。既に周囲は詠春の技によって平地になっており、遮蔽物もない。
 詠春が構える。士郎の眼にも、大量の気が渦巻いているのが分かる。
 それを邪魔するように、士郎が干将と莫耶を投擲し、逆に詠春はそれを待っていたと言わんばかりに縮地により一瞬で距離を詰める。
 士郎の手には新たな干将・莫耶。その存在を全く意識もしないで、詠春はため込んだ力を解き放った。
「神鳴流決戦奥義!」
 振りかぶる詠春を意に介さず、士郎は二度目の投擲。そして、マルティーンの聖骸布を投影し纏う。
「真・雷光剣!!」
 詠春の叫びと共に、轟音と閃光が空間を埋め尽くした。
 遠視を用いて二人の戦いを覗いていた詠春の部下たちは、皆これで決着がついたと思っただろう。
 だが、詠春にとっての本当の悪夢は、これから始まる。
「白刃、取り!?」
 そう、マルティーンの聖骸布越しとは言え、何たる無謀、何たる理不尽。
 広範囲殲滅の決戦奥義は、ある意味飛び道具に近いものだ。
 それに敢えて踏み込み、剣を止める。
 その両手を剣化させていなければ消し炭になっていたであろうエネルギーを、しかし士郎は人外の能力によって耐えきった。
「これで、終わりだ!」
 驚愕に硬直する詠春に、三対の夫婦剣が迫る。
「鶴翼三連――!」
 三方向からの同時攻撃。それも、一刀でさえ致命傷となりうる規格外の業物。
 避ける手段を持ち得なかった詠春が取り得る行動は、技は、一つだけしか残されていなかった。
「百烈ッ桜花斬!」
 円を描くように振るわれた剣は、一種剣戟の結界を形作る、はずだった。
 だが、全てにおいて手遅れだった。発動のタイミングも、気の練りも不十分。
 右後方と左後方から迫りくる二対までは叩き落とせても、正面、士郎が直に支える一対までもは届かない。
 そして、無理な発動の後に待っているのは技後硬直だ。
 その隙を、士郎は最大強化の干将によって討つ。
 結果、気の練りが絶対的に足りていなかった五月雨は、かつての夕凪のように折れ散った。




「私の、負けですね」
 いっそ清々しささえ感じながら、詠春は認めた。
 この男は、どこまでも堅く、その力の本質は、決して剣によるものではないのだと。
 極限状態で死合った者のみが理解できる共感が、士郎と詠春双方にある。
 互いが互いの強さを理解し、その人間性までもを理解できたかのような錯覚。
 だがしかし、確かに二人は剣を打ち合わせる事で会話していたのだ。
 だから、士郎も詠春も、その本来の目的を忘れて笑う。
「いいや、引き分けだ」
 それだけ言って、力尽きるように士郎は膝をつく。
 魔術回路の疲弊もさることながら、最後の最後でやった所業は無茶が過ぎた。
 固有結界を暴走させ全身を剣化させていたとしても、下手をすれば滅んでいた一撃だ。
 この結果がそもそも、異常という他ない。
 やがて詠春もため息をつくと、士郎と同じように仰向けに空を見上げた。

「時に、詠春」
「何ですか、士郎」
「君の部下たちの観戦に気づいたか?」
「まあ、流石に。派手にやり過ぎましたから」
「君は、もう少し部下を信用するべきだぞ。今日のような場なら、形だけでも護衛を伴わないのは長失格だ」
「はは、確かに浅慮でしたね。これからは気をつけます。でも、その価値はあったでしょう?」
「やれやれ。売り込みがこんなに大変だとは思わなかったよ」
 士郎にとって、この世界に来て以来最大級のダメージと疲労度だ。
 これがただの一戦、一人の人間との戦いによって齎されたものだと考えると、逆に爽快感がある。
 この世界には、まだまだ士郎よりも強い、だが決して届かないわけではない者たちが大勢いる。
 元いた世界ならば、士郎よりも強い存在なんて掃いて捨てるほどいたし、何より死徒やら魔法使いやら真祖やら死神やら、真正の化け物たちばかりだ。
 だが、この世界ならば。男なら誰でも一度は憧れる、『最強』という称号に、もしかしたら。
「ああ、その件ですが。貴方の刀、関西呪術協会の長として、正式に発注しましょう」
「それは有り難い。ただ、所有には規則を作った方がいいぞ」
「勿論そのつもりです。貴方の刀は、色んな意味で特殊過ぎる。過ぎたる力は己の身を滅ぼします。神鳴流の上位剣士、格闘戦もこなす呪術士の中の最上位くらいですよ」
 確かに、力に溺れない程度の鍛練は最低限必要だ。
 誰にでも扱えるからと言って、下位の者までがエミヤ謹製の物を手にしようものならば、己の力を過信してしまうだろう。
 何故なら、士郎の剣をこちらの魔法使いやら神鳴流剣士が魔力や気で強化すると、中級までの魔法障壁までもを切り裂けてしまうからだ。
 士郎自身はこちらの方式での強化ができないので、そこまで使い勝手はよくないが、それでも十分に魔法使いたちにとって脅威だと言える。
 その噂は日本だけでなく魔法世界においても徐々に広まりつつあるのだ。
 よって、ここで衛宮士郎との専属契約を結べた関西は、かなりの幸運だと言えるだろう。
「あと一つ、聞きたいことがあるのだがな」
「はい、何でしょう?」
「何故、神鳴流の頭目ではなく関西の長であるお前が交渉に出てきた?」
「単純に、他の方々で貴方の相手が務まりそうな者は、既に引退しているか別件の仕事に出ているからです。呪符使いではいくら上位でも相手にならないでしょうし、まあ、私もそれなりの自信がありましたから」
 呆気なく崩されましたが、と詠春は苦笑する。
「気の技も使わず、神鳴流に対抗できるなんて純粋な驚きですよ。それに貴方は魔力さえ纏っていない」
「ああ。タカミチと似たような特異体質でな。外に魔力を纏えないんだ」
「なら、どうやってあれだけの身体能力を?」
「君たちとは系統の違う魔法と、あとは純粋な鍛練のみだ。人間、素の肉体でも時速50キロぐらいなら出せるからな」
 流石に詠春も空いた口が塞がらない。
 それはもう非常識などを通り越して理不尽だ。
 だって、素の肉体、全くの魔力も気も帯びず、それだけの身体能力を発揮できるとなれば、それは既に人間ではない。
 いや、確かに詠春とて士郎が人間でない可能性というものは考慮していた。だが彼の物言いは、人が人のまま人間を超えるという事を意味している。
 しかも、特別な術法を使うでもなく、だ。その異常性に、詠春は思わず身震いした。
「しかし…、何故、この時期にこんな商談を?」
「できるだけ早急に金が必要になったから、だよ。本来なら、私の剣を麻帆良から出すつもりはなかった」
「用立ての理由を聞いてもよろしいですか?」
「以前少しばかり学園長を平和的に説得したら、今度はやり返されただけだよ。さっさと借金を返してしまわないといつまでも自由の身になれない」
「お義父さんですか…」
「まあ、借金事体は正当なものだからな。学園長はむしろ、返して欲しくはないんだろうが」
 あのお調子者が士郎のどこを気に入ったのかは定かではないが、信用し信頼しているのは事実だろう。
 だからこそ、士郎も敵対しづらく、正攻法という名の水面下攻防戦で納得させるしかないわけだ。
「さて、そろそろ戻りましょう。立てますか?」
「少なくとも、君よりは回復しているよ」
 士郎の回復速度、いや蘇生速度は魔力がある限り人間とは比べモノにならない。
 真祖の再生程ではないが、人間においては致死の怪我でも普通に回復する化け物であることに変わりはないのだ。
 それを詠春は、問い質すのでもなく見なかった事にした。
 それは士郎の人柄を信じての事というよりも、彼の心を案じての事だ。
 体が化け物なのならば、いっそ心まで化け物ならば楽になれる。
 それが決して尊い生き方に見えずとも、その先に滅びしか待っていなかったとしても、それでも人の中で生きていく苦しみからは無縁でいられる。
 でも彼は人間で、こうして人の手段を用いて詠春に会いに来ていた。
 ならば、既に自分の中で折り合いは付けているだろうし、掛けてやれる言葉もない。
 詠春は、自分が破壊した焼け野原を眺めながら、そっと息を吐いた。
 











 


 神鳴流の門下、月詠はその戦いを、悦に入った表情で眺めていた。
 幼少より神童と呼ばれ、しかしその精神性において危険視された事から表には出されなかった彼女だが、その力は既に門下生のレベルではない。
 月詠は、最強と誉れ高い神鳴流でなら、自分の飢えを癒す事ができると考えていた。
 だというのに、現実的には裏のお山で一人鍛練を繰り返す毎日。
 彼女の求める圧倒的強者との殺し合いは、やがて回され始めた裏の裏の仕事でも叶う事はなかった。
 だが今日、眼前で繰り広げられた戦いには修練の退屈さなど吹き飛ばすような衝撃があったのだ。
 月詠は自分がいかに人間という境界を越えた存在かを、客観的に理解している。
 その上で人外らしい快楽に身を任せているが、「人」の技のまま、自分を遥かに越えた力には憧憬の念さえ浮かぶ。
 特に、神鳴流ではないあの無名の剣士。
 彼の剣は地味で凡庸で、特筆すべき点など何もない。
 だというのに、神鳴流の最強クラスと互角以上に戦えている。
 理解できない。理不尽だ。あんな力があっていいはずがない。
 そんな思いが生まれる一方で、あの無名の剣士がとてつもなく魅力的に思えた。
 あれを、あの男を、あの剣を、自分が壊すことができたなら。
 それは、今までで一番気持ちいいのではないだろうか、と。
 神鳴流に来てからもう数年。かつてない興奮が月詠に根付いた。

「うふふ、あんさん強いなぁ。壊したくなってきました♪」
 遠く倒れる二人の剣士を眺め、月詠の狂気の笑みはより深くなった。














 結局、思いの外長居してしまったようだ。
 体の回復は優秀な治癒術者のおかげもあってそんなに時間はかからなかったのだが、近衛や桜咲について話していたら詠春が異様に食いついてきて、帰してもらえなかったのだ。
「すみません、長く引き止めてしまって」
「気にしないでくれ。私も有意義な時間を過ごせた。無事教職から解放されたら、また顔を出す。それ以外で用がある時、剣に不具合が出た時は教えた通りの連絡方法で」
「分かりました。木乃香と刹那君をよろしくお願いします」
「この身に懸けて」
 胸に手を当て宣誓した。
 近衛もそうだが、俺としても桜咲の危うさは気にかかるものだ。
 その支えとなってやれるのならば、なってやりたいと思うし、その協力も辞さない。
 いずれ麻帆良も去る事になるだろうが、それでも彼女たちの卒業ぐらいは見てから行きたいと思うくらいには親愛の情もあった。
「ではな」
「ええ。では、また」
 別れは簡単に、どうせまた近いうちに来ることになるだろう。
 そうそう店の方も休むわけにはいかないが、こっちに来るのに曜日を考える必要もない。
 教職を退いて、気が向いた平日にまた来よう。
 詠春とは結構気が合うし、京都の落ち着いた雰囲気は俺も好むところだ。
 今度は仕事ではなく観光で来たいものだ、と考えながら、関西の本山、呪術協会を後にした。












「待っておくれやす~」
 士郎を呼び止めたのは、フリフリのゴスロリドレスというか、まあアレ系な服を着た少女だった。
 背も体格も少女らしく、一見するとお嬢様のようにも見える。
 だが、士郎はその少女に、得体の知れぬ感覚を得た。
 士郎に直観のスキルはないが、心眼による経験から考えると、こんな感じの少女に呼び止められて止まったら大抵――
 ズサッッ
 一刃の煌めきが、月光の中で映える。
 そう、こんな時。いつもの士郎ならば、懐に隠された刃物で不意打ち、というのが王道パターンだった。
 それを分かっていて避けられない士郎ではない。
 夕凪の縮小版である白結を瞬時に投影し、鍔迫り合いに持ち込む。
「ウフフ、やっぱりあんさん、お強いどすな~」
「そういう貴様は何者だ。人が纏うにはその気は少々、歪すぎるぞ」
「まあ、その辺は乙女の秘密ということで」
 月詠は小太刀だけでなく、二刀流に相応しい太刀を抜いた。
「にとーれんげき、」
「甘い」
 白結が左の小太刀を砕く。
 昼の詠春との決戦において、士郎は神鳴流のトップクラスに完全に適応していた。
 心眼による戦術最適解に必要な情報は、既に彼の中にあるのだ。
 その技の隙。考えられる派生要素。その限界点。
 既に士郎にとって神鳴流とはその他大勢の剣士と大した違いはなく、ただの厄介な技を使うだけの流派に成り下がっていた。
 対する月詠は、一刀を砕かれながらもその流れるような動作に感動すらしていた。
 才能がある者では決してたどり着けないある種の極み。
 地道に一歩ずつ進んでいった者だけが持ち得る絶対の安定感。
 もっと近くで、もっと長く、その技と舞っていたい。
 その感情は濁りきっていてもただ純粋で、だからこそ引き際を間違える。
 狙うは白結。砕かれた小太刀の代わりに、それが欲しいと思った。
 右の太刀で士郎の連撃を防ぎながら、空いた左手で紅蓮掌による手刀を打ち込む。
 だがそれは、士郎によって意図的に作り出された隙の一つにしか過ぎない。
 士郎は、剣戟の隙間を縫って迫るその左手を、何の躊躇いもなく切り裂いた。
「くぁっ!」
 高すぎて聞こえづらい悲鳴が響く。
 ぽとり、と月詠の小指が落ちた。
 小指とは、物を掴む・握るという動作に必要不可欠な部位である。
 親指と人差し指で掴むことはできても、それを指させる小指がなければ剣を握ることなど出来はしない。
「まだ抵抗するかね?」
 声に反応して、月詠は反転した瞳で睨みつけた。
 突きつけられた小太刀を睨みながらも、そっと息を吐く。
「今日は少しばかり急ぎ過ぎたようですなー。次は、必ずあんさんを壊させてもらいます」
 右の太刀を鞘に収め、左手で一枚の呪符を発動させた。
 光の後に、月詠の姿が消える。
「転移魔法符…ある程度は計画的な犯行か」
 士郎は敵の落し物、つまりは小指を回収しようとしたが、指は既にその場になかった。
「手くせの悪い。だが、あの年であれだけの手練か。神鳴流にも暗部があるようだな」
 携帯で軽く詠春に連絡を入れると、今度こそ士郎は帰路に就いた。






士郎「あ、これお土産の生八つ橋な」
エヴァ「ああ、意外と気が利くじゃないか」
士郎「茶々丸にはこっちのかんざしで」
エヴァ「なにー!?」
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