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屈折領域・裏鏡


一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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英雄は彼方へ消える A5


「ご褒美」
「心錆は沈みゆく」

 二週間という時間を捻出する事は、別荘という魔法のアイテムがあればそれほど難しくない。
 現実の時間に換算して14時間。放課後から朝までフルに使えば捻出できなくもない時間だ。
 とは言え、実際は夜だけでも帰らなければ問題になる。
 ネギたちは割と好き勝手に出歩いているが、アキラには一般人のルームメイトがいるのだ。帰らなければならなかった。

 ただ、それでも週末を使えば日中だけでも一ヶ月近い時間は稼げる。
 それはアキラが力をつけ、イリヤに提示された条件をクリアするのに十分な時間であり。
 そして、彼女の雰囲気が変わるのにも、また。十分過ぎる時間になった。 






◇ ◆ ◇ ◆






「おはよう」

 なんてことのない挨拶だと言うのに、亜子がぎょっと振り返る。

「? どうしたの?」
「いや、どうしたって言うか……」

 声は、確かにアキラの声だった。久しぶりに喉を使ったかのような、少し嗄れた声だったのは気になったけれど、間違えようもない。
 普段通りとはいかなくても、それは確かにアキラの声で、ぎょっとするような要素なんてない。

 なのに。亜子は、振り返って顔を見ても、一瞬それがアキラだと気づけない。
 何も変わらない。見た目、少し髪が伸びたような気もするけれど、それだけで。
 いつも通り、どこか一歩離れたところから優しく見守ってくれているような柔らかな笑みの友達は、何も変わっていないはずなのに。
 なのに、どこか痛ましさを、亜子は感じた。

「大丈夫、なん?」
「何が?」

 あまりにあっけらかんと、本当に何も疑問に感じていないような返答に、亜子はやっと気を抜く。
 今感じた痛ましさなんて、冷や汗をかきそうな違和感なんて、勘違いに過ぎない。
 そうだそうだと納得して、ようやく亜子も普通に挨拶を返せるようになる。

『フフ……いい感じに仮面を使えるようになったわね』
『黙っててよイリヤ。他の人と話しながらイリヤと話すの、結構疲れるんだから』

 そんな会話を心の中でしながら、表面上はいつもと変わらず友達と話す。
 授業だって受けているし、ちゃんとノートも取れている。
 時間はまるで時計を早回しにしているように早く進んだ。他愛のない日常が、刺激のない穏やかな生活は、あっと言う間に終わる。

「ね、アキラ。これからカラオケでも行かない?」
「ごめん、部活があるから」

 夏も近い。水泳部としては、気合の入る季節だった。
 けれど、勿論アキラは部活に顔を出すつもりはなかった。そんな暇はない。今は少しでも、力を蓄えたかった。
 ようやく魔法に関わり始める事が出来たアキラは、現実世界の、ほんの数日前ならばそれを喜んでいただろうに、今は焦燥感しかない。
 足りない。何もかもが足りないと感じていた。間に合わないと確信していた。
 中途半端でも、力を得て初めて分かる事がある。

 絶望的なまでの差というものは、心を折る。それが生まれのような境遇、どうあっても変えられないものであれば尚更に。
 しかしそれでも諦め切れないものがある時、人間は死に物狂いで挑むしかない。
 より多くの代価を払い、より多くの対価を得る為に。一分一秒とて、無駄にはできなかった。

「あ、じゃあ仕方ない……ね」
「うん、ゴメン」

 さっと鞄片手にアキラは教室を飛び出す。その方向がプールでない事に気づかれる可能性すら、アキラは考える余裕を失っていた。
 友人と過ごす時間を無駄と切り捨てる程に。
 心は、錆び付いていた。





◇ ◆ ◇ ◆






 それから、現実世界で一週間が過ぎる。
 今のところ、アキラはネギ達一行にバレる事なく修行を続けていた。
 何故見つからないようにこそこそとしているかと言うのは、刹那と顔を合わせたくなかったという事と、エヴァンジェリンの考えによるものだ。
 曰く、今の状態のアキラをネギその他に晒したくはないのだと。

 分かる気はした。自分が随分と変わってしまったらしい事を、アキラは何度もイリヤに告げられていたからだ。
 そして変わってしまったからこそ、士郎が何故変わらないでいて欲しいと言ったのかも理解出来る。
 この変化に、後悔しているのかと問えば、アキラはしていないと答えるだろう。
 この結果が予め分かっていたとしても、アキラは何度でもこの道を選ぶ。

 ただ、その選択が周りの目からどう映るのか、という点に関しては盲目だったと言えよう。
 確実に、アキラはクラスで浮くようになっていた。日増しどんんどん追い詰められたような表情へ、隠し切れない雰囲気へ変わっていくのだから分からないはずがない。
 それも含めて、アキラにとっては選択の結果であり、必要な事だと豪語しただろう。
 しかし周りの判断は違う。アキラの状態を明らかに異常だとして、改善しようと試みる。
 お節介が多いクラスだ。それは当然の流れだったろうし、そしてその相談がネギに持ちかけられるのも、最近のネギの人望を考えると不思議ではなかった。

「アキラさんの様子がおかしい、ですか?」

 はて、とネギは首を傾げる。
 ここのところ、ネギ自身が忙しい事もあり生徒全員を細かく見てやる事はできていない。
 いや、そもそもネギは出来ているつもりであっても、やはり子供であり先生としても新米であるネギでは完全とは言い難かったろう。
 どうしても、親しい生徒に目が向いている。

「具体的には、どういう風におかしいんですか?」
「元気がないって言うか……張り詰めた感じで。部活に行くって教室飛び出して行くのに、部活には顔出してないみたいなんだよね」
「部活……アキラさんは水泳部でしたよね?」
「そ。水泳部期待のホープ……って、もう三年だから中等部の主力かな」
「部活に行っていないというのは確認しに行ったんですよね」
「うん。でも何かおかしくて。アキラが来ない事を疑問に感じてないみたいだったのよ」
「疑問に感じていない……?」

 そういった魔法に、ネギも思い当たるフシがないわけではない。
 認識阻害系の魔法は大抵そういうものだ。目に映るものを別のものとして認識させる。
 今の話で言えば、部活に来ていない状態を普通だと感じさせている可能性がある。

 が、しかし、だ。
 アキラは魔法使いじゃない。勿論、ネギが気づいていないだけで魔法使いだった、という可能性はあるだろう。
 何しろエヴァンジェリン然り、元より裏に関わっていた人間に、ネギは誰一人として気づく事が出来なかったのだから。
 だが、その事実を忘れてネギはアキラが魔法使いである、という可能性について考慮する事はなかった。
 まぁ、仕方のない事ではあるのかもしれない。
 魔法使いは普通の病気にかからないものだ。以前病欠しているアキラが魔法使いである可能性を除外するのも当然と言えた。

 しかし、アキラが魔法使いでないならば、一体何が原因なのか。
 ネギは事件の匂いを嗅ぎとった。直感のようなものである。
 文化祭前の幽霊騒動のように結果が微笑ましいものになるならいい。
 けれど実際、アキラが部活を休んで何をやっているのかという問題がある。
 生徒に相談されたという以上に、教師として放っておくわけにはいかなかった。

「分かりました。僕に任せて下さい」

 胸を張るネギに裕奈はほっと息をつく。
 けれど亜子だけは、未だに不安が拭えなかった。
 




◇ ◆ ◇ ◆






 一方。そんな会話は筒抜けだった。
 裕奈や亜子の動きぐらいは、一般人から離れつつあるアキラなら察知できる。
 とは言え、そんな相談がネギに持ち込まれている頃、アキラは既に別荘についていた。
 この情報を持ち帰ったのは茶々丸である。


「どうしたらいいと思う?」
『練習代わりに記憶でも消してみる? この前もやったでしょ?』
「いや、待て。いくら貴様らといえども坊やの魔法抵抗力ではそう簡単にはいくまい」
『ふぅん? 随分彼を評価しているのね、エヴァンジェリン』
「血というものは恐ろしいからな」
「だいたい、失敗したら致命的なんだから、ネギ先生を手にかけるのは無理だよ。リスクが大きすぎる」

 アキラは既に、水泳部の部員たちをその手にかけている。

 というのは物騒過ぎる表現だが、聖杯剣を使ったのは事実だった。
 認識の歪曲。理由もなく、「大河内アキラが水泳部に顔を出さないのは当たり前である」という認識を植えつけた。
 どれだけ休んでも心配されないし、誰かに聞かれたとしてもそれを当たり前のように扱うようになる。
 何か事情があって来れないらしい、と彼らは質問に答えるが、そこに心配などないのだ。
 それはアキラが日常生活を送る上で、イリヤからのアドバイスに従った結果だったが、それでもクラスメイトの目は誤魔化せなかったようだ。

『ならどうするの? エヴァンジェリン、貴女が協力してくれるのかしら』
「馬鹿を言え。坊やの事はそれなりに気に入っているんだ。お前たちの悪巧みなぞ、契約外の話だよ」

 シャキシャキと。エヴァンジェリンがハサミを鳴らす。
 アキラの伸びてしまった髪を、エヴァンジェリンが切っているところだった。

「ならアキラが答えを出すしかないわね。現在環境における最適解は何なの?」

 言われ、アキラは溜息をつく。
 イリヤから説明は受けていたが、未だにそんな特性が自分にあるとは思えなかった。

「うーん」

 サラサラと髪が落ちていった。心地良い刺激の中で、アキラはぼーと考える。
 この辺り、エヴァンジェリンは人形を自作するだけあって器用だ。ただの年の功かもしれないが。

「最適化。属性、起源とはな。分からない話ではないが、私たちには確かめようのない話だ」
『魔術と魔法は在り方が違いすぎるからね。仕方のない事だと思うけど』
「だからこそ面白いというものだがな。これだけ生きて、まだ未知に出会えるとは私もついている」

 二人の会話に割り込むように、考えこんでいたアキラが答えを出した。

「……私のやり方じゃリスクが大きすぎるって言うなら、別の誰かに頼めばいいよね」
『そうね。なければ他所から持ってくる。アキラも魔術師らしくなってきたというところかしら?』
「だと、いいんだけど」

 エヴァンジェリンによる調髪も終わったらしく、アンティークっぽい櫛やらハサミやらをこれまた年代物の箱に納めていった。

「ありがと、エヴァ」
「ふん、茶々丸の髪は私では弄れないからな」

 エヴァンジェリンも楽しかったという事だろう。
 相変わらず素直じゃない、とイリヤが笑い、エヴァンジェリンがじゃれるように怒る。
 ここ数日の別荘では見慣れた景色だった。仲が良いのとはまた違うが、過ごす時間が長いせいか距離は近くなっていた。

「そうそう。誰かを使うと言うのなら、タカミチ辺りを使うといい。タカミチならお前たちにも切り札があるだろう?」

 照れ隠しなのか背を向け歩きながらエヴァンジェリンは言う。
 残されたアキラはイリヤを拾い上げて、髪の状態を鏡で確認した。

『等価交換。高畑先生に渡すものは何がいいかな?』
『そんなモノは何とでもなるわよ。今、タカミチには魔術の師がいない状態なんだし。アキラの通訳で、タカミチに魔術を教えてあげればいい』
『それだと対価としては大きすぎない?』
『今後の便宜と、いざという時の戦力だと考えれば十分過ぎるでしょう。彼の性格なら十分返してくれるわ』

 方針は決まった。動くのは早い方がいい。今日は鍛錬を早めに切り上げて、夜はタカミチにネギへの対応その他を頼む必要がある。

『それにしても。アキラの性質は本物よ』

 イリヤが言っているのは、先程アキラが方針を決めた時の話だ。
 イリヤが名付けた最適化というスキルについて。

『でもさ。これぐらいじゃ、単に思いついただけでしょ? イリヤが言うような特性って、やっぱり嘘っぽいよ』
『それでいいの。むしろアキラは意識しない方がいいわ。意識すればする程迷いが生まれる。水は流転するから意味があるの。
 止まった水なんて濁るだけよ。見るに耐えない。だから、アキラは迷っちゃいけないの。水が行き着く先は決まっているんだから』

 イリヤの言うことは精神論なんだか哲学なんだか、アキラにはただ難しいという事が分かるだけだった。
 別に、自分の起源だとか属性だとか、そういうものに興味はない。あんまり。
 ただ、水に近しいというのは素直に嬉しい事ではあった。それがどんな意味であれ。泳ぐ事は好きだったから。

『性質って言えばさ。イリヤの属性ってなんなの?』
『聖杯よ』
『え。それが属性なの?』
『そ。そういう風に作られたホムンクルスだから』

 その意味を、今のアキラはある程度イメージ出来る。
 それがどれだけ惨たらしい事実であるのか。人の形をしていた頃のイリヤを知ってしまったからこそ、その思いは強くなる。
 そしてそんな感傷は、克明にイリヤに伝わっているのだ。
 けれど彼女は何も言わない。少しも、そんな事は気に留めない。
 その強さが、逆に痛々しかった。

『なら、士郎さんは?』
『士郎は剣よ。納得でしょ?』
『うん……だから、無限の剣製、なんだね』
『尤も、士郎の属性も後天的に得たものだけどね』
『そんな事ってあり得るの?』
『あるわよ。極稀にだけど。生まれ変わるぐらいの経験をすれば、きっとね』

 また、アキラの心が動く。何を考えたのか、アキラ自身にも分からない。
 いや、分からないまま動けるようになった、というのが正しかった。
 イリヤには考えた事、思った事、感情の全てが伝わってしまう。
 常に繋がっているというのは、例えどんなに仲が良い相手だったとしても多大なストレスになる。
 その対処法として、アキラは考えない事を選んだ。
 何かを思う事はある。けれど、それが明確な感情として形を成す前に、アキラは忘れる術を手に入れていた。
 良く言えば気にしない。悪く言えば鈍くなった。決定的に。
 それが前進なのか後退なのか。まだ結果は出ていない。





◇ ◆ ◇ ◆






 最適化。
 その性質、性能、特性をスキルとして名前をつけたのは当然のようにイリヤである。
 精神的、肉体的な変質。変化。流動。自然であるという事。或いは悟りの境地。
 水は、上から下に流れる。
 それは当たり前の事で、今更語るまでもない事だ。だが、重要な水の特性でもあった。

 水は万能だ。しかしその影で、無力な属性でもある。
 水の万能性とは液体という状態であまりに多くの要素を含有できる点にあり、そして水そのものは必須ではあっても強大ではない。
 水系統の魔法、魔術は使い方次第で恐ろしいものになるが、逆に言えば使い方を考えなければ効果はないという事だ。
 そういう意味では、水そのものは無能と言える。
 水の価値は、混じっている不純物によって決まってくるのだ。
 自分以外の特質を受け入れ、“染まる”事が出来る。それはメリットでもありデメリットでもあった。
 
 アキラは、水に“近すぎた”。
 その性質、性能は水そのものと言ってもいい。
 心の有り様、肉体の有り様があまりに周辺環境の影響を受けるのである。
 あらゆる意味で影響を受けやすい。だからこそイリヤ、聖杯に適合する事が出来たのだし、更に遡ればアキラが士郎の地下工房を発見し、結界を抜ける事が出来たのもこの性質に因るものだ。

 水が上から下に流れるように。
 アキラは、当然のように自己を変革する。そこにアキラ自身の意志など関係ない。
 どんなに意識したところで抗えず、無意識が周囲に適応してしまう。
 人間の感覚器官では見落としてしまうような情報を拾い出し、その情報を当たり前に信じてしまう。

 或いは誰しもが持っているものかもしれない。そんなものは、第六感と大して変わりがないものだ。
 過去視による情報分析、その果てにある未来視のように。
 蓄積された情報が答えを導くのと、それは似ている。

 が、決定的に違うものもあった。
 未来視が、あくまでヴィジョンとして情報を整理してしまうだけなのに対し、アキラはその心が変容する。変革される。
 その知識、情報が自然体としてアキラの中にあるだけで、別に映像として何かを感じ取れるわけでもなければ、アキラ自身は変わったという認識もない。

 そう、アキラにとって変化とは常にそこに在るものだった。留まるという事が出来ないのだ。
 常に変化を続けている。環境の変化に合わせて、適応していた。
 今まで大きな変化を得られなかった事は、単純にアキラを取り巻く環境が理由だろう。
 3-Aという環境は特異に過ぎた。加えて、幼い頃からクラスが変わらず、大きな人間関係の変化もない。
 周囲の変動に対応して変化するアキラの心は、周囲の成長と同じように変化していく。

 それに、如何にアキラの属性が水に特化しており、起源的にも水と相性がいいものであったとしても、起源覚醒していない状態では限度がある。
 しかも、アキラの起源“流動”では、まともな人間性は喪失してしまうかもしれなかった。
 周囲の環境に流され続けるという事は、自己の喪失を意味する。
 それではただの狂人に成り果てるだろう。一度沈めば浮かび上がる事もなく。待つのは悲劇しかない。

 今のアキラは起源が覚醒したわけではなく、一度に大きすぎる出来事を経験した事で変わっただけに過ぎない。
 普通に、正常に、思春期の少女には当たり前の変化。
 だから、まだ取り返しはつく。今のアキラは一人じゃなかった。
 少なくともイリヤにとって利用価値がある内は、アキラが起源の深みに落ちる事はないだろう。

 だが、学園祭以降アキラの周囲は激変していた。
 イリヤスフィールによる、強制的な魔術回路の移植、肉体改造もその一つ。
 あまりに、大きな事が一度に有り過ぎた。
 起源に覚醒していないにしても、バランスは崩れている。

「約束通り、士郎さんの話を聞かせてよ、イリヤ」

 そして、環境の変化よりも、肉体の変化よりもアキラにとってショックだったこと。
 たった一日で価値観が変わってしまった出来事は。

『約束だものね。でもアキラ。アナタはどこまで知りたいのかしら?』
『どこまでって……ほら、その、……分かるでしょ?』

 繋がっているのだから、イリヤには当然アキラが望む範囲もわかっている。
 だが、だからこそ迷った。
 教えてくれる事ならなんでも、なんて。恋する少女としては当然の事かもしれないけれど、その選択はあまりにリスキーだ。

『アキラ。どうしても知りたいというのなら教えてあげる。でも、一つだけ約束しなさい。
 士郎の過去を知って、後悔しないで。アナタがもう見たくないと感じた瞬間に、私は見せるのを止めるわよ』
『うん……分かった』

 アキラも神妙に頷いた。
 そして。

『そうね……まずは。私たちの世界の成り立ちと、“衛宮”士郎という人間が生まれた事件。士郎の半生に深く関わった、聖杯戦争の事から教えましょう』





 大河内アキラは、変わりゆく。
 







イリヤ「本当は。後悔くらいしたっていい。後悔さえ許さない心の強さなんて……悲しいだけなんだから」
(拍手)
 
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あとがき

ほとんど二ヶ月ぶりで申し訳ない。
冬は仕事が忙しいので月一更新も難しいやもしれませぬ。なんとか春までに共通ルートに入りたいものだけど……。

さて、次回からは刹那編です。
アキラが決定的な変化を迎えていた頃、刹那は何と向き合っていたのか。
乞うご期待!

2011.09.25 | URL | 夢前黒人 #qiIB0A1Q [ 編集 ]

更新久しぶりに乙
アキラに過去を教えるみたいだけど
過去編をいつかはやるのかな
他のクロスSSはそれやると消滅する傾向にあるから少し心配

2011.09.25 | URL | とろみ #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

やっても一話。過去内容ではなく反応を描写するくらいですかね。書いてる内にノって来たらわかりませんが。
まぁ次からはしばらく刹那編なので過去話やるかどうかも未知数ですけど。

2011.09.25 | URL | 夢前黒人 #- [ 編集 ]

やっと追い付きました
更新お疲れ様です
色々クロスを読んでいますが,この作品が一番面白い
次話に期待します

2011.09.29 | URL | むらさき #dMtXu4sA [ 編集 ]


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