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屈折領域・裏鏡


一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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没案1


懐かしの没案1.
本格的な捨て分岐としても一つ目だったりする。
学園祭編ショートカットコース。個人的命名はエヴァ√。まぁ最後は……なんだが。

分岐地点は修学旅行の決戦です。まぁ没は没なんで期待しないように。
嘘予告(1)からの派生なんで、参考までに嘘予告(1)も載せています。

追記:続きの続き、1-3を追加しました。
・嘘予告(1)



 守れない。そう、悟った。
 今創り出そうとしている偽・螺旋剣ならば、あの巨体の胴体に大穴を空けることもできるだろう。
 そのまま完全消滅させることは不可能だとしても、数を撃てば問題はない。
 だが、それでは足りない。
 俺の後ろには白髪の少年と戦うネギと神楽坂。
 今、あの咆哮を放たれたら自分はともかく二人は死ぬ。
 神楽坂の魔法無効化なら――いや、ダメだ。不確定要素が多すぎる上に、それではネギが助からない。
 今この距離で、二人を守りきる盾は、俺の中に存在しない。
 瞬動では投影が間に合わず、魔槍が通じるかどうかも不確定。

 そこまでを、悟りきった一瞬で理解して、士郎は決断を下した。
 防げないのならば、蹴散らすのみ。
 溜めに溜めているその力ごと、吹き飛ばしてやる。

 ならば、使える剣は一振りだけ。
 神造兵装であり、人の扱い得る最高の幻想。
 かつての相棒が携えたその聖剣でもって、神の息吹をなぎ払う。

「I am the bone of my sword」

 衛宮士郎に許されているのは創り出すことまでだ。
 存在の鍵となること。そこまでしか許容されておらず、そこから先は越権行為。
 故にこそ、担い手にしか許されぬ『真名』。
 それを破るのならば、相応の代償が必要となる。

「約束されし<エクス>――

 だが、彼はそんなもの気にも留めない。
 彼の背に守るべき者があり、その胸に譲れぬ想いがあるのなら。
 この命を懸けるのに、何の躊躇いがあろうか。

 ――勝利の剣<カリバー>!」

 収束した光は、背後の山さえ削り神を滅ぼした。
 湖を割り、山を削り、空を貫き消えていく。

 その光を眺め、やがて倒れた彼は、その視界の端に走り寄る少年と少女をを入れて。
 ゆっくりと意識を手放した。






・没案1


 エヴァンジェリンが本山に転移したのは、士郎が聖剣を発動させる一瞬前。
 一撃を以ってフェイトを吹き飛ばしたエヴァは、今にも一帯を焼き払わんとするスクナを結界弾で足止めさせるよう、茶々丸に指示を出そうとして、

 その、黄金の輝きを網膜に焼き付けた。

 目を開けていられないほど眩いのに、目を逸らす事などできない。
 ソレに対して、感想など抱けなかった。その燐光はエヴァの理解を遥か超え、ただ忘れ去ってしまったはずのユメを思い起こさせる。
 放心していた。600年を生きた彼女でさえそうだったのだから、その場の全てが似たような状況だ。
 光がおさまり夜の闇が戻っていく中で、ようやくその威力を感じ取る事が出来た。
 そう。
 その一撃は、スクナの後方にあった山をも吹き飛ばし、神であるリョウメンスクナノカミを再生が追いつかない程の傷を負わせている。

 今まで、神を滅ぼす事は不可能だとされてきた。
 どれだけ甚大なダメージを与えても、跡形もなく吹き飛ばそうとも“神”であるのなら例外なく復活する。
 だが、今。その神の存在など感じられないし、再生の兆候も見られない。
 破壊して封印するのとはわけが違う、“殲滅”だった。今後も再生される事がなければ、滅ぼす事に成功したということ。

 エヴァンジェリンとて最強種。スクナぐらい軽く倒す力はあるが、滅ぼす事は物理的に不可能だ。
 だからこそ、その一撃に恐怖する。
 あんなモノを使われたら、己でさえ抗う事は不可能だ、と。
 しかし、そんな放心状態は長く続ける事ができなかった。

「衛宮士郎っ!?」

 エヴァが驚きの声を上げる。圧倒的な光を放った剣もいつの間にか消え失せ、士郎が血を吐いて倒れたからだ。
 ネギと明日菜もその声で正気を取り戻し、倒れた士郎へ駆けよった。
 見た目、士郎に傷はない。意識はまだあるようだが、虚ろな瞳は世界を映していないようだった。

「チッ、今の光の反動か……!?」

 それしか、エヴァに思いつく事はなかった。
 あれだけの大規模破壊を引き起こす荒技だ。代償の一つや二つあってもおかしくはない。
 最上位呪文であってもそんな事は普通有り得ないが、あの光の前には全てを納得させる威光があった。

 加えて、エヴァンジェリンは自分の別荘の中で士郎とタカミチが魔術の修練を積んでいる様子を見ていたから、ある程度の予測はできる。
 だが、根本的に魔術というものを知らないエヴァンジェリンに解決策など分かるはずもない。
 本来、邪魔なだけの衛宮士郎などここで死んでくれた方がエヴァンジェリンにとってはありがたい。
 しかし、それでは彼女のプライドが許さなかった。エヴァは士郎に借りがある。
 屈辱的な情けの借りを、まだ士郎に返していない。
 こんな所で死なせるわけにはいかなかった。

「小動物。ここに仮契約の陣を描け」
「な、なんでそんなモンを……」
「いいから急げ! 食われたいか!」
「へ、へいっ」

 エヴァンジェリンは、現在魔法使いの中で最も衛宮士郎について理解している存在と言える。
 既に『魔術使い』であるタカミチを除けば、魔術についても、明石教授から知りえた様々な情報についても、総合的に考えれば一番士郎に近い。
 故に、士郎の不死性を知っていた。大抵の傷は、魔力さえあれば修復できるのではないか、という明石教授の予想と、現状の士郎の魔力量を見て、その推測にかける価値はあると考えた。
 基本的に、魔力の受け渡しだけならば、仮契約は必要ない。
 ドールマスターとしての技能を使い、多少強引に術式を組めば不可能ではないはずだ。
 だがどうせなら、この場で士郎を縛り付けてしまおう、とエヴァは考える。
 借りを返すだけで終わらせるつもりはなかったのだ。

「出来やした!」
「よし」

 エヴァは士郎を抱え起こし、生気のない瞳を手で閉じて、そっと口づけた。
 見守るネギと明日菜が顔を赤らめるぐらいに、子供ではないキス。
 唇を離す。これで容体も落ち着くかと思われたが、士郎の呼吸はむしろ荒くなり、そして。

「がっ、はふっぅ」

 エヴァンジェリンの口から、苦悶の声が漏れた。

 剣が、生えている。

 正しく、生えていると表現する他なかった。
 胸を貫いた幾つもの剣は、てらてらと血液に濡れている。ぽたり、と落ちた血の滴に、ネギたちはようやく状況を理解した。
 士郎の体から生まれた剣が、エヴァンジェリンを刺し貫いているのだと。
 右腕、左肺、左腿、極めつけは喉。
 まるでピン差しの標本のように、エヴァンジェリンの体は剣で支えられている。

「い、いやぁぁああああああああっっ!!」

 明日菜の叫びだけが、虚しく響いた。




・続き 1-2



 ――だが。状況は、驚く暇も叫んでいる暇も与えてくれなかった。

「おお 地の底に眠る死者の宮殿よ<オー・タルタローイ・ケイメノン・バシレイオン・ネクローン>」

 士郎が倒れ伏し、エヴァンジェリンが剣の山に縫い止められている現状を勝機と見たのか。
 ネギが気づいた時にはフェイトが頭上にて詠唱を始めていた。

「我らの下に姿を現せ<ファインサストー・ヘーミン>」

 ネギは止めよう、と考えて、もうその手段が残されていない事に気がついた。
 魔力は底をつき満身創痍。もう魔法の矢一本だって放てない。
 そもそも、二人がかりで闘って、なお押される相手にどう対抗しろと言うのか。
 
「冥府の石柱<ホ・モノリートス・キオーン・トゥ・ハイドゥ>」

 大質量の石柱が、六本。頭上に浮かぶフェイトの周囲に出現し、そのまま落下を始める。
 その瞬間、もう終わりだとネギは感じた。
 あれだけの大質量だと弾くだけでも相応の魔力、中位程度の呪文は必要になる。
 自分一人だけならば逃げる事も可能かもしれないが、ここには未だ動かない士郎とエヴァンジェリンがいる。
 見捨てる事など出来なかった。
 しかし結局、最後のその瞬間まで対抗策など思い浮かばないまま、ネギに絶望の色が浮かんだ時。

 明日菜が、いつかの大剣を携えて跳んだ。
 一振り。特別なものなど何もなく、少なくともネギの眼には大剣を大袈裟なモーションで振り下ろしたようにしか見えなかった。
 だと、言うのに石柱は全て霞の如く消えてしまう。
 その結果を見届けて気が抜けたのか、それとも肉体的に限界が近かったのか。明日菜もそのまま倒れこんでしまう。

 ネギは迷った。ネギに出来る事は限りなく小さかったが、それでも何を優先するべきか。
 倒れ伏す士郎を復活させる事ができれば全ては解決するだろうし、明日菜も心配。エヴァンジェリンが復活してもフェイトを倒す事はできるはずだ、と考えた時、ようやくネギは気づいた。
 エヴァンジェリンの姿が、ない。
 在るのは士郎から生えている剣だけで、まるでさっきまでの光景が幻だったかのように血さえついていなかった。

「調子に乗るなよ、若造」

 フェイトの更に頭上。たった一撃のパンチで、フェイトの体は大砲の弾のように水面に激突した。
 呻き声は衝撃音に隠れ、その姿が浮き上がる事も無い。

「茶々丸!」
「周囲300メートル内にそれらしき魔力反応はありません」

 今度こそ完全に、フェイトも逃げたようだ。
 その返答に気が抜けたのか、エヴァンジェリンは空中で姿勢を崩し、落下を始めた。

「マスター!」

 茶々丸がしっかりとエヴァを抱き抱える。だが、もしも彼女が人間だったのなら青ざめていただろう。
 士郎の剣が貫いた傷は、まだ消えていなかった。
 再生できているのは喉と左足だけで、左肺と右腕は穴が空いたまま。
 この状況に、茶々丸は一つだけ思い当たりがある。そう、4月15日の夜、士郎が加えた攻撃による傷も、こうして癒える事がなかった。
 だとすれば、これを癒せるのは士郎だけだ。茶々丸は、急ぎ士郎の元へ着地する。


 士郎の状態は、川が氾濫してしまったようなものだ。
 必死で魔術回路の暴走を、固有結界・無限の剣製を制御しようとしていた所に、馬鹿みたいな量の魔力を注ぎ込まれた。
 結果、制御する事ができずに無限の剣製が漏れだした。ただ、それだけ。
 しかし、その漏れだした剣が問題だった。

 不死殺しハルペーと黒鍵が付けた傷は、エヴァンジェリンでは癒す事ができない。
 士郎は起き上がった。既に一時の暴走は治まり、鞘も起動させる事ができた。暴走状態で大半は持っていかれたが、エヴァンジェリンから供給された魔力は回復に十分なものだ。
 聖剣投影で、頭はまだ霞んでいる。意識ははっきりとせず、視界は狭い。
 ただ、必至な声で呼びかける茶々丸の声と、目の前の傷ついたエヴァンジェリンの姿だけが認識できる。
 自分のせいだ、という事は理解していた。というより、もうそれぐらいしか理解できる余裕がなかった。

 被傷の剣、オルテンシアを投影しようとする。
 魔術回路が軋み、悲鳴を上げた。もうこれ以上の負荷には耐えられない。鞘による修復にも時間がかかる。
 ――そこで、地面に落ちた仮契約のカードを見つけた。
 聖骸布を纏ったいつもの自分の前に描かれている、それは。

「は、はは。こんな異世界だっていうのに、君はまだ助けてくれるのか」

 乾いた笑いだったが、士郎の胸中に広がったのは歓喜。
 だって、そうだろう。ソレはあの夜、初めて愛した彼女のもの。
 幾千の夜を越え、家族の顔さえ記憶に薄れてもなお忘れられなかった黄金の輝き。
 そう――――『全て遠き理想郷』。
 士郎が投影した、世界が与えた偽物ではない。本物の輝きが、そこには描かれていた。

「来たれ」

 まるで、彼女がそこに居てくれるような錯覚に、士郎は安心感を覚えてほほ笑んだ。
 そして、ゆっくりとエヴァンジェリンの肉体に鞘を押しこみ。

 今度こそ、意識が途切れた。






刹那「士郎さんは私とも仮契約しているので、ちゃんと私ルートの可能性も残ってます」
(拍手)
 















・続きの続き 1-3





 あれから、衛宮士郎はずっと眠り続けていた。
 その傷は癒えているはずなのに、ずっと。
 この状態は、士郎が麻帆良に出現して以降と全く同じだった。
 だから、いつかまた元気に目を覚ますだろうと、エヴァンジェリンはそんな事を言っていた、が。

「士郎さん。また来てしまいました」

 それで、心配するなという言葉に納得できるわけもなく。
 ひとまず士郎の身柄を引き取ったエヴァンジェリンの別荘に、刹那はほぼ毎日見舞いに来ていた。
 明日菜も木乃香も、毎日ではないにしろ見舞いに訪れていたが、それはどちらかと言うと修行のついでであって。
 むしろ見舞いを主目的としている刹那とは違う。

「早く起きて下さい。でないと、私は先に進めません」

 謝って、謝って、泣いて謝り通した後でありがとうと、そう言いたくて。
 もうずっと、士郎が目覚めたら何を言ってやるかを考えている。
 死んでいるのではないかと錯覚するような寝顔をずっと見つめながら。
 ここまで待たされると、沸々とした怒りも湧いてくるし。

「まったくお前も飽きないな」
「エヴァンジェリンさん」
「まぁ、惚れた腫れたは理屈ではないが、」
「ち、違いますよ!」
「どこが違う。認められないのなら決めつけてやろうか。お前はこの男に恋しちゃってるんだよ。
 一人前に女の顔をしていて、違うなどと誰も信じんぞ」

 まぁ……確かに。
 明日菜も木乃香も、魔法の事を知ってしまったクラスメイトのほぼ全員が、刹那のコレを暗黙の了解としているのだから、今更何を言ったところで遅い。
 刹那がこの部屋にいるとき、邪魔してくるのと言ったらエヴァンジェリンと木乃香くらいだ。
 別に木乃香が刹那の気持ちに気づいていないわけではなく、士郎が目覚めるにしても目覚めないにしても、刹那の現状が心配なだけだった。

「士郎さんは……目覚めるのでしょうか」
「……毎日のように通っているお前の想いに免じて教えてやるが。もう二度と目覚めない可能性は高い」
「え?」

 刹那がその言葉の意味を理解できず、固まる。

「こんな状況だからな。衛宮士郎の弟子であるタカミチも素直に吐いてくれたよ。
 奴らが使う魔術は、私たちの西洋魔術、東洋呪術とは根本的に異なっている。
 それらを体質的に扱えない人間の、更に一部の人間のみが扱える秘術だ。
 その秘術は、どんなに簡単なモノでも命を失うリスクがある。
 そしてリスクの代わりに限界以上の力も容易に引き出せるわけだ。
 それがあの光であり……その代償に、奴は命を失うはずだった」
「はず……だった?」
「そうだ。奴は擬似的な不老不死だそうだが、それを支えているのは強力なアーティファクトらしくてな。
 そのアーティファクトが半仮死のような現状を維持している。逆に言えば、それがなければ死んでいるという事だ。
 タカミチが言うには、そのアーティファクトは元々不完全なものであり、本物は紛失した……と、思われていた」

 刹那は黙って先を促す。

「実はな。その本物が、私の体内にあるらしい」
「本当ですか!? じゃあ、それがあれば士郎さんも目を覚ます可能性があると?」
「ああ。ほぼ間違いなくな。タカミチはそう言っていた。だが……」

 取り出す方法が分からない、とエヴァンジェリンは語る。

 彼女としても、この状況は本意ではないし、それなりに責任も感じているのだ。
 安易な考えが結果的に士郎を廃人状態に追いやってしまった。
 それだけではなく、士郎が自分を助かるチャンスを捨ててまで、そうして面倒を引き起こした自分を助けた事。
 それが、どうしようもなくエヴァンジェリンをイラつかせる。
 借りを返したと思ったのに。逆に、返しきれない程の借りを、また作ってしまった。

「私との仮契約によって出現したこのアーティファクトは、奴自身にしか操作出来ん。
 しかも幾億のパーツに分かれてしまっていて、外科的に取り出す事も不可能だ。
 一応、タカミチと共に取り出す方法を考えてはいるがな……正直、先が見えん」
「なら、結局……」
「そう。このままなら、奴は死ぬ事もなく起きる事もない。永遠にこのままという事だ」

 時間が解決してくれる可能性もある。
 現に麻帆良に現れた時は数ヶ月後には意識を取り戻したのだ。可能性がないというわけではないだろう。
 その為に、士郎の肉体は常に別荘に安置されていた。
 時間の流れが違う別荘ならば、長く目を覚まさなくとも多少は問題ない。
 浦島太郎のような状況は回避できる。

 だが。

「もう一ヶ月……別荘内部の時間で言えば、二年近いからな。それだけの時間、変化がないのならば……」

 絶望的では、ある。
 前例は数ヶ月。今度は二年。
 希望的観測など抱けない。
 元々は、タカミチにしてもエヴァンジェリンにしても楽観視していた。
 だからこそ、刹那にも誰にも語る事はなかったのだ。

 しかし、二年。
 このまま刹那に無為な時間を過ごさせる事も、エヴァンジェリンとしては忍びなかった。
 今回の事は、自分の責任だと感じているから、尚更に。

「なら……なら、そのアーティファクトのレプリカとか、そういうものはないんですか?」

 アーティファクトは、必ずしも唯一無二であるわけではない。
 むしろ、基本的には量産型が常だ。
 明日菜や木乃香のような、破格かつ伝説級のアーティファクトが出現するなど珍しいどころの話ではない。
 もちろん、刹那だって不老不死などという効果をもたらすアーティファクトに複製がある可能性など皆無に等しいとは思っている。
 けれど縋るものなど、もはやそれくらいしかない。

「そんなものあるわけが……いや、待てよ?」

 士郎のアーティファクトはアヴァロン、アーサー王伝説に登場する理想郷を象ったもの。
 ならば、その理想郷までたどり着く事が出来れば、或いは。
 アーティファクトの複製でないにしても、何かしらの方法はあるかもしれない。

「妖精郷、ですか?」
「そうだ。聖剣の鞘なんて、見つかれば表の世界でも歴史的発見になる程の伝説級アーティファクトだ。
 そんなものが、たかが仮契約で得られるはずがない。
 得られるとしたら、衛宮士郎本人が余程アーサー王伝説に縁がある場合だ。
 つまり、衛宮士郎を妖精郷に連れて行く、或いは妖精郷の住人の協力が得られれば、事態が改善する可能性はある」
「なら……!」
「だが、肝心の妖精郷の場所など誰にも分からん。閉じた異界は、異界側からしかアクセスできないからな。
 ただ、もしも可能性があるとしたら……」
「あるとしたら?」
「魔界だ」
「魔界、というと、あの……」
「悪魔やらなにやら、東洋でも召喚する事はあるだろうが。あの連中が住んでいる異界だ。
 この世界にも魔法世界にも情報が残されていない。となれば、我々が観測できる最後の異界は魔界しかない」
「手がかりがあるとは限らない、というわけですか」
「というよりも、あれば幸運というところか。だが、あの異界はこちらに比べれば不安定だ。
 外の世界に開き易くなっているからな。魔法世界よりは可能性があるだろう」

 それだけ分かれば刹那には十分だ。
 魔法世界だろうが魔界だろうが、どこでもいい。それで恩が返せるならば、また会えるなら。

「なら、私が探して来ます。エヴァンジェリンさんは麻帆良の外に出れないですし……」
「やめておけ」
「何故ですか! それしかないというのなら、今すぐにでも、」
「そんな事を、あの男は望まんだろうという事だ。貴様は今学生で、まだ子供だ。
 魔界に行くとなればすぐには帰って来れない。協会の法も犯す事になる。
 どちらにせよ、今の貴様程度の強さでは行ったところで何も出来ん」

 それは、事実。
 あの修学旅行で、鬼の大群に囲まれた時。
 結局一人ではどうにもならなかった。
 あの程度、軽く吹き飛ばせるようにならなければ、到底敵うまい。

「なら、私を鍛えて下さい、エヴァンジェリンさん。どんな訓練でも、私は耐えてみせます!」
「フン。まぁ、貴様が望むのならばいいだろう。私もここを動けん以上、出来る事は少ない。
 精精貴様を手駒に使わせてもらおう」


 そうして、二人の契約は成った。
 衛宮士郎は、まだ目覚めない。

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続き追加

と、いうわけで檻さんからのリクエストでした。
1-3は今一時間ぐらい使って書き下ろした部分です。
ちなみにこの√だとセイバーとかも出てきたり。
魔法世界編、というか魔法世界はちょっとしたイベントの後すぐ帰ってきて、中学卒業後に魔界編の予定でした。
まぁこの時点じゃ魔法世界編があんなに原作で長くなるとは思ってなかったし。
何より、それだけオリジナルで進める自信もなかったのでこの分岐は捨ててしまいましたが。
まぁ、士郎もずいぶんと登場しなくなっちゃうしね。
主人公が刹那になって、(士郎の)ヒロインはエヴァンジェリンという俺得展開になるはずだったわけで。
まぁ没は没です。気がむいたら気分転換に続き書く事もあるかもしれませんが、とりあえずはこんな話もあったということで。
ちなみに現在、捨て分岐はあと二つあったりします。そっちの分岐話も、まぁ気が向いたときに。

2011.02.05 | URL | 作者 #qiIB0A1Q [ 編集 ]

この話もおもしろいと思いました
私的にはこの話の続きを読みたいです
余裕があったら続きお願いします

2011.03.25 | URL | NoName #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ううむ、余裕、余裕か……気がつけば拍手も入れ替え時だしそっちで書ければ……しかし本編も……

2011.03.25 | URL | 作者 #- [ 編集 ]


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