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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第9話


「修行+1」



「うーん」
「ダメ、でしょうか」
「いや、そういう訳ではないんだがな…」
 エヴァンジェリンの別荘にて、士郎とタカミチが魔術の修練をしていると、突然刹那が訪ねてきた。
 そこでタカミチが忘れていた約束を思い出し、士郎に修行に付き合って欲しい旨を説明したのだが。
 刹那には前から詫びとしてもっと何かをしてやりたいと思っていたから、別に稽古をつけるのは構わない。
 ただ、士郎の剣は、人に教えられるような綺麗なものでは断じてなく、刹那に悪影響を与えないかが心配なのだ。
「実戦形式に限るのなら、相手をしてやってもいい。俺の剣は教えられるようなものではないからな」
「はい! よろしくお願いします」
 刹那は勢いよく頷いた。若干の緊張が見て取れる。
「だが、少し待っていてくれないか。タカミチにまだ用がある」
「でしたら、私はあちらで体を温めておきます。準備ができたら来て下さい」
「分かった」
 体を温めるまでもなくここは常夏の島なのだが、何事にも準備運動は大切だ。
 最初に戦った時の刹那の技量を考えるに、全力で戦わなければならないという事もないだろう。
 準備なんて、刃引きした模擬刀を投影で用意しておく程度だ。
「いやあ、済まないね、士郎。僕の感覚だと相談を受けたのはもう一月ぐらい前の事だったからさ」
「あんまりこの別荘に入り浸るなよ。人間、老いには勝てないんだ」
「不老の人間が言う事じゃないと思うけど。それより、刹那君も待っていることだし手早く済ませようか」
「ああ」
 タカミチは、士郎がいない間の1週間、別荘を用いた体感時間で言うのなら一月強で士郎の指示していた魔力放出の第一段階をクリアした。
 既に昨日(外界では1時間前)士郎のお墨付きは貰って、第二段階に以降している。
 先ほどは、実戦での運用レベルの第三段階の鍛錬内容について話し合っていた。
「防御に関しては強化の魔術と対魔力の護符石タリスマンで補う。その為の魔術と魔力放出の並列処理。それに、魔力放出の様式設定か」
「そうだ。魔術に関してはこれからゆっくりと教えていく。問題は様式設定だな」
「固有技法か……夢みたいだよ」
「まあ、ここまでくればそう名乗っても問題はないだろう。ただ、様式設定というのはただ名づけるだけじゃない。自分自身で最適解を見つけ出さなければならないんだぞ」
 士郎の言う様式設定とは、咸卦法で例えるのなら『左手に魔力、右手に気』というアレである。
 術ではないため様式という言葉になっているが、これは実際の所新呪文開発とやっている事は変わらない。
 タカミチの中にある魔力放出のイメージを、最もスムーズに行う為の儀式。ただしそれは理に適ったものである必要がある。
 士郎は知らない事だが、エヴァンジェリンの固有技法『闇の魔法マギア・エレベア』においては、鍵となるイメージは闇・負であり、その儀式は呪文による術式固定・魔力充填・術式兵装である。
 鍵となるイメージはタカミチにしか持ち得ない、タカミチ固有のものであるべきなので、士郎に口出しできることはない。
 問題は儀式としての設定で、タカミチが呪文を媒介にして精霊にアクセスするこちらの世界の魔法が使えない以上、魔術による術式構成か咸卦法のような簡易儀式になる。
 現状、タカミチは魔力回路の運用と肉体内部からの魔力運用による身体能力水増ししかできない。
 故に、後者の簡易儀式しか選択のしようがないのだが、その場合の問題はよりイメージや直感に頼る部分があるという事だ。
 士郎やタカミチと言った努力タイプの人間は、そういう類の構築作業が苦手だ。
 エヴァンジェリンでさえ闇の魔法の完成には10年の歳月を費やしたというのだからその難易度は推して知るべきだろう。
 限界を超えた努力の果てに、悟りのように開発する時間は二人にはなかった。
 ならば、かつて士郎が聖杯戦争にてソレを導き出したように、きっかけと命さえ天秤にかけた上での限界突破が必要だ。
 そこまでしてようやく、その深奥に手を伸ばす準備が整うのだ。
 戦闘においては十分だろうが、それだけでは極めたとは言えない。
 固有技法とは、完全にその全てを理解しているからこそ固有技法足りえる。
 それを秘伝の奥義として後世に継がせるレベルにするには生涯をかける必要があるだろうが、少なくとも咸卦法と同等のポテンシャリティを発揮するだけならあと一年分も修行すれば可能だと士郎は判断している。
 その持続時間は咸卦法に劣ることになるだろうが、能力の底上げはそれこそ別荘の外でのんびりやった方がいい。
 きっかけさえあればその領域に辿り着く条件はもうすぐ揃う。その為の第二段階だ。
「でも、きっかけというのは難しいな」
 そうなのだ。タカミチが以前咸卦法を習得した際は、何年もの時間をかけて少しずつ積み上げていったものだ。
 それを縮めるという行為に対するリスクに、タカミチは慣れていない。
 命を懸けるのは容易いが、そこから帰ってくるのは難しいのだ。
 それに、単純に生死の境を彷徨えばいいという話でもない。方向性を違えれば、待っているのは無意味な苦痛でしかないだろう。
 士郎は、むしろ生死の境でのみ鍛錬してきたような男なので、死の淵から帰ってくる感覚も、それにより限界を突破する感覚も知っている。
 でもそれは、言葉で伝えられるようなものではなく、いつでも掛け値なしに死んでもおかしくなかった戦いの最中での出来事だ。
「今は鍛錬を積むしかないな。俺も一応文献などを探してみるが」
 効果は薄いだろう。固有技法の作り方、なんて便利な本があるはずもない。
 過去存在したと言われる固有技法からヒントを得られれば、というところだ。
「では、俺は桜咲に付き合ってくるから“瞬動中の進路変更”をしておいてくれ」
「何本?」
「できるまでだ」
 容赦なく士郎は宣言した。
























 刹那が抱いていた不安は、結局のところ杞憂だった。
 それは、士郎が手にしていたのがあの時の双剣ではなく、刹那に合わせた黒塗りの日本刀であった事も一因だっただろう。
 そして一番大きな要素は、士郎の実力が、あの時の恐怖は勘違いであったのではないかと思う程低かったことだ。
 技を使わぬ純粋な剣の技量ならば刹那と士郎はそう変わらない。少なくとも、刹那はそう感じる。
 実際に、気を使った技で士郎は簡単に倒されてしまった。
「大丈夫ですか?」
「ああ。だが済まないな、これでは相手が務まりそうにない」
「しかし、初めて戦った時はもっと…」
「まあ、アレは魔術師としての戦いだったからな。俺自身の剣の腕など、そう高いものではないんだ」
 とは言うものの、士郎自身の剣の腕も相当なものだ。ただ、神鳴流が反則なだけである。
 だがもし、士郎が剣で神鳴流を下そうとすれば、このような結果には終わるまい。
 刹那が士郎の腕を過剰評価していたように、士郎も刹那の技量、正確には気を用いた技の威力を見誤っていた。
 まさかこれほど強力で、一種魔術のような現象を起こせるような類のものだとは思っていなかったのだ。
 それに、剣から経験を引き出していない士郎など凡百の剣士とそう変わらない。強化も施さないのなら尚更に。
 双剣ならばまた話は別だったが、今回は刹那に合わせて長物の日本刀だった。流石に刹那を舐めすぎていたということだろう。
っ」
 起き上がろうとした士郎は、肋骨が折れているのに気がついた。
「すみません、少し強く打ちすぎたようですね」
「まあ、仕方ないさ。俺は特に魔術的防御を敷いてるわけでもないからな」
「ええっ!? では、気や魔力による障壁も?」
「そうなるな。というか、一応やり方は習ってみたんだが上手く体の外で魔力を操作できない。だから、体の内に魔力を流すだけの能力水増しぐらいしか俺は使えないんだよ」
 だが、それではおかしい事がある。刹那は神鳴流の技を使った。手にしているのが刃引きされた模造刀であろうとも、気で強化された一撃というのは木刀でも岩を砕く。
 それを受けて、肋骨が一本折れただけ、というのはあまりに非常識が過ぎた。
 とても、人間技ではない。
「それでは衛宮さんは……どうして今の攻撃に耐えられたのです?」
「まあ、少しばかり特殊な体質、ということにしておいてくれないか。知られて困ることでもないが、あまり見て気持ちがいいものでもない」
 遠まわしな言い方だったが、己も似たような『血』を持っている刹那は理解できた。
 彼は吸血鬼や鵜族のような魔的なニオイを持ち合わせてはいないが、十分に人間という枠から逸脱している。
 それが先天的なものでも、後天的なものであったとしても、人外というのは一般社会には受け入れられないものなのだ。
「すみません」
「何故謝る?」
「聞いてはいけない事を聞いてしまったのでは、と」
「そんな事はないさ。どうしようもなくその身に宿るものならば、せめて受け入れて有効利用した方がいくらかマシだ。今更余分な感傷なんて持ち合わせていない」
 その言葉は、刹那にとっては重過ぎる。刹那は、そこまで割り切ることができない。
 士郎は人外の蔑みなど塵芥に感じるような仕打ちを何度も受けてきている。だからこその言葉ではあったのだが。
「そろそろ回復してきた。続きをしようか」
「もういいんですか?」
 刹那は驚くが、士郎の体内には世界最高の治癒・防御宝具があるのだ。骨折程度、数分かからず治癒できる。
「ああ。それと、次からは魔術を使って技量を上げるから、先ほどのようにはならないぞ」
「望むところです」
 士郎は剣を持ち替えて、刹那との鍛錬に望んだ。












「これ、は、ちょっと、反則じゃ、ないでしょうか」
 息も切れ切れに、刹那は抗議の声をあげる。
 士郎がやったのは、ある意味大人気ない行為だった。
 何せ、過去の英雄たちの剣を持ち出してそれを模倣してくるのだ。いかに刹那と言えども英雄の剣に太刀打ちできるわけがない。
 むしろ、ここまで抵抗を続けられただけでも十分驚嘆に値するだろう。
「確かに反則だ。とは言え、コレぐらいしてやらないと、桜咲の鍛錬になりそうもなかったからな」
 実際のところは、英雄の剣技、その再現度は二割というところだろう。
 肉体が士郎のものであるという事もあるし、士郎自身完全再現しようなんて思っていなかった。
 そもそも不完全な刃引きした剣での経験憑依ではこれが限界ということもある。
「確かに、勉強には、なりました。世界は、広いです、ね」
「そうだな」
 刹那の場合、西洋風の建築様式である麻帆良の生徒ではあるが、やはり本質は和風であるようで、海の向こうの剣は馴染み辛いものがあるのだろう。
 逆に新撰組の沖田総司を再現した時などは感激していたようである。
「だが、桜咲も十分才能がある。正直羨ましいぐらいだよ」
「そんな、衛宮さんの方が何倍も強いではないですか」
「アレは、桜咲が言うように反則行為だ。自分自身の力じゃない。借り受けているだけさ」
 それでも、と刹那は憧れを取り消したりはしなかった。英雄の力、それを借り受けるだけでも十分凄いことなのだと。
 戦場で発揮されるものならば、それは等しく実力だ。借りものだろうと何だろうと、そこに上下はない。
「そういえば、俺の剣の師匠も桜咲に似ていた。背格好とか、性格とかな」
「私に、ですか?」
 ようやく呼吸が落ち着いてきた刹那が問う。
 刹那が疑問に思うのも無理はない。刹那は女性としても背が高い方ではないし、まだまだ成長途中だ。
 その刹那に似ているというのならそれは、同年代の少年少女ということになる。
「そう。まあ、師匠と言っても高校時代に十日程度リンチされてただけだったんだがな」
 士郎はしみじみと思い出す。あの時、一体自分は何回気絶させられていただろうか。
「女性だったんですか?」
「ああ。多分、女性の剣士としては歴史上最強だっただろうな」
「歴史上、ですか」
 スケールが大きすぎて刹那もさすがにピンとこない。それ程の人物ならば自分が知っていないということもないのだろう、とは思うが。
「お名前を聞いてもよろしいでしょうか」
「俺はセイバーと呼んでいたけど……本名はアルトリア、かな」
 すぐに刹那も、士郎の経営する店の名前だと気づく。
「まあ、もっとポピュラーな名前もあるんだが、有名過ぎるから今のところは秘密だ」
 本当に懐かしそうに、そして嬉しそうに士郎は笑う。だから、刹那としてはふと思いついてた事を口にしてみた。
「恋人だったんですか?」
「さあ、な……今では、本当に出会えていたのかも信じられないくらいさ」
 刹那には士郎の言いたい事は分からなかったが、遠い目をしている士郎にこれ以上の詮索はしまいと心に誓った。








 ◇








 別荘におけるエヴァンジェリンの私室の一つで、茶々丸はエヴァンジェリンに調査経過を報告していた。
「以上が、ネギ・スプリングフィールドの調査結果です」
「多少地獄を見ていても所詮はガキか。これなら仕事は楽になりそうだな」
 仕事と言ってももちろん学園の、ではない。
 そもそも、封印状態であり、別荘以外では触媒なしに魔法が使えないとはいえ、その程度のハンデは有り余る経験の前では無に等しい。
 戦闘になれば、本来見習い魔法使い程度が相手になるはずがないのだ。
「それと、衛宮さんがメルディアナ魔法学院に足を運んだ際、ネカネ・スプリングフィールドと接触しています」
「ヤツがか」
「ハイ。それ程長い時間ではなかったようですが、それなりに親しくなったようです」
「肝心の息子とはどうなんだ?」
「接触は確認されていませんが、姉から何らかの情報は受けている可能性があります」
「ふむ。タカミチの件もあるし、用心しておいた方がいいやもしれんな」
 エヴァが士郎を危険視するのは何もその戦闘力を恐れているからではない。
 策によっては、その戦闘力を封じるか足止めする事ぐらいは容易だろうし、士郎がどのような立場を取るかも未知数だからだ。
 問題は、衛宮士郎という人間の経歴その他全てが分からないという事にある。
 茶々丸に調査を命じてから既に1週間。少なくとも電子的な情報の中に該当人物は存在しないという回答が得られたのだ。
 近代、電子精霊群の発達により、大抵の情報は電子的に管理されている。
 例えば、茶々丸が本気になって調べれば、ネカネ・スプリングフィールドの学院時代の成績なんてものも見つけることができるだろう。
 にも関わらず、衛宮士郎という魔法使いは、その存在を魔法の世界で認知されていないのだ。
 最初の確認情報は、世界樹で瀕死状態で発見されたというもの。
 つまり麻帆良学園に来る前に、彼は存在していない事になっている。
 それがどういう事か、600年を生き抜いたエヴァンジェリンならば理解できる。
「ヤツの過去が相当周到に消されているか、私にも理解できないイレギュラーか、だな」
 前者にしても後者にしても問題がある。
 前者ならば、エヴァンジェリンでさえ知らない今代の闇に関わっているという事。
 後者ならば、エヴァンジェリンでは手が出せない領域の存在である可能性がある、という事だ。
 エヴァンジェリンは一度の戦闘で衛宮士郎の戦力評価を下したが、タカミチとの修行を盗み見る限り、どうやらそれは改めなければならないという事も認識している。
 そもそも、魔法の加護なしにオリンピック選手真っ青の身体能力を発揮できるという点が恐ろしい。
 それが、純粋に修練によってのみ成されたものであるという事も。
「一番の問題はじじぃがどう動くかではあるが、ヤツの存在も未知数だ。どんな些細な事でも情報は集めておけ」
「了解しました、マスター」
 丁度その頃始まった、士郎と刹那の実戦修行を、エヴァンジェリンは注意深く監視した。








 ◇






 ある夜、士郎は出張で出ている時に、タカミチはエヴァンジェリンと夕食を共にしていた。
「茶々丸も料理が上手になったね」
「ありがとうございます」
「当然だろう。誰の従者だと思っている」
「チャチャゼロは出来ないじゃないか」
「ンナモン必要ネエダロウガヨ」
 茶々丸もチャチャゼロも食事は必要ないのだが、話し相手として同席している。
 士郎との修行ももう二ヶ月。体感時間で言えば半年程度か。
 とは言え、その中で士郎と共に修行できたのはごく僅かだが。
「で?修行は上手くいっているのか」
「まあ、それなりにね。咸卦法の時ほど苦労はしてないよ」
「それはそうだろう。衛宮士郎が考えたようだが、アレは既存の技術をひたすら応用しているだけだ。効率が悪いし難易度が高いから、誰もやろうなんて考えなかっただけだろうさ」
「手厳しいな」
「フン、ま、お前向きではあるのだろう。衛宮士郎の術法がどんなものかまでは知らないが、それ以外に選択肢などないだろうしな」
 呪文を扱えないタカミチには、咸卦法を除けば全て体術の延長線上にあるものしか利用できない。
「しかしアレでは魔法の防御が成り立たんだろう。どうするつもりだ?」
「士郎が魔法防御用の護符石を用意してくれるそうだよ」
「至れり尽くせり、だな。私には衛宮士郎の行動原理が読めん」
「まあ、彼は特殊だろうね。根っこは似てるのかもしれないけど、選んだ道は対極だし」
 どちらも種類の違うお人よしだと、タカミチは笑う。
 エヴァンジェリンは否定するのも面倒になって、話を先に進めた。
「悪に対するは正義、という事か?」
「そうだよ。やってきた事はエヴァよりずっと非道いだろうけど」
「私より、だと?」
 エヴァンジェリンが見せるのは驚きではなく疑念だ。先の発言と矛盾するタカミチの物言いに思考を巡らせる。
「僕だって君の人生全てを知ってるわけじゃない。でも、彼の過去を見た経験から言わせてもらうと、彼をただの人間だと思わない方がいいと思うよ」
「しかし衛宮士郎は人外ではないだろう」
「そうだな。でも、人間という領域は超えてる。色々代償は払ったようだけど」
「私の知らないナニカ。そういう事か?」
「一番近い表現をするなら、英雄という単語になるんだろうね。彼は、そんなものを目指したわけじゃなかったようだけど」
「そんな存在ならば、私が知らないはずがないだろう」
「その辺は、彼に信頼されれば教えてくれるさ」
 エヴァンジェリンが嫌そうに顔を歪める。
「衛宮士郎は『正義』なのだろう。馴れ合えると思っているのか?」
「さあ。でも、彼は正義の味方を廃業したようだからね。エヴァが怒らせない限り大丈夫だと思うよ」
「まあいい。自分で確認する事にする」
 納得はしてないのだろう。彼女は彼女なりに情報を集めているはずだが、流石に今の話は理解しにくいものだった。
「それより、お前がやっている修行の事だ。儀式様式だとか言っていたな」
「……何で知ってるんだ?」
「この別荘は私のものだ」
 障子に目あり襖に耳あり、という事なのだろう。プライバシーも何もあったもんじゃなない。
「で、それならば咸卦法をそのまま流用すればいいだろう」
「咸卦法を? でも、あれは気と魔力を融合させる為の――」
「要は、右手と左手という局部的かつ指向的な部位に対極する意味を持たせればいい。それだけで、随分とお前の技法は楽になるはずだ」
「なるほど。流石は『闇の福音』。『闇の魔法』を構築しただけはあるね」
「お前に褒められても嬉しくも何ともない。それより、情報提供の謝礼を頂こう」
「ええっ!? それは酷いんじゃないか」
「つべこべ抜かすな。少し血を貰うだけだ。安いものだろう」
「まあ、それくらいなら…」


 かくして、エヴァンジェリンの協力の下、この一月後に魔力放出(名称未設定)が完成した。







エヴァ「やはり男の血はマズイな」
タカミチ「あれだけ飲んどいてそれはないだろ……(真っ青)」
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