Twitter

FC2カウンター

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリ

最新記事

最新コメント

リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


検索フォーム

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
351位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
二次小説
180位
アクセスランキングを見る>>

屈折領域・裏鏡


一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

TOP > スポンサー広告 > 夢破れし英雄  第7話TOP > 夢破れし英雄 > 夢破れし英雄  第7話

スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夢破れし英雄  第7話


「後悔を打ち砕いて」


 咸卦法とは、気と魔力という、相克するエネルギーを融合させ身の内外に纏うことで絶大な戦闘力を獲得する技法である。
 あまりの高難易度の為、現代に使い手は少ない。
 究極技法アルテマアートと呼ばれるだけはあり、大半の防御術式・攻性補助と同等の効果がある。呪文なしで、だ。
 この咸卦法と居合い拳。
 そして使命や力の振るい方など、タカミチは師匠に様々なものを教わった。
 それは魔法の才能がなかったタカミチにとっての縁であり絆でもある。
 それが、失われた。失われたように感じた。
 タカミチが生きてきた証が。血を吐くような修練の成果が。
 あまりにも呆気なく、崩れ去ってしまった。
 力を求めたのが間違いだったのか?
 異世界の魔術などという、得体の知れないモノに手を出したのが間違いだったのか?
 その自問に、答える者はいない。
「士郎。原因は、分かるかい?」
「断言はできないが、魔術回路だろう。これは仮説だが、魔術回路は気を魔力に変換してしまうのかもしれない。訓練を積んでないから確かではないが、俺も気は使えないようだし」
「魔術回路を外すことはできない、のか?」
「無理だな。まあ、活動停止状態にしてある種の封印を施せば気も復活するかもしれないが……スイッチをオフにした状態でも回復しないのであれば望みは薄いし、何よりもう戦えなくなるぞ」
「そう、か。なら、僕はもう二度と、咸卦法を使う事は出来ないというわけか」
 自分で確認して、改めてタカミチはその喪失感を実感した。
 もう二度と、戻ってこない。失われた命のように。
「すまない、士郎。少し一人にしてくれるかな」
「分かった」
 一人残された広場にて、タカミチは空を見上げる。大きいはずのその背が、どうしても小さく見えて……士郎は、目を背けるようにその場を後にした。







 ◇






 士郎は、タカミチが如何にして今の力を手に入れたのか、全く知らない。
 今タカミチが味わっている喪失感も、せいぜい自分に当てはめて想像するのみだ。
 だが、士郎は何も心配していない。
 タカミチは失った技法に執着して歩みを止めるような程度ではないと信じているからだ。
 タカミチも士郎と同じ、いやこちらの世界の魔法使いは、その存在意義において魔術使いと変わらない。
 魔法を極めんが為至るのではなく、その手段なくして成せぬ事があるから至る。
 悪にしろ正義にしろそれは変わらない。
 魔術師のように、ただその発展の為に全てを犠牲にすることなんてない。
 タカミチは、より多くを守りたいから力が欲しいと言った。
 その言葉に偽りがないのなら、いつかは気づき、折り合いを付けるだろう。
 ただ、今は整理する時間が必要なだけ。
 だから、俺は少しでも早く彼が戦線に復帰できるように、準備だけは進めておこう。
 せめて、魔術を後悔しないように。





 ◇





 エヴァンジェリンは、衛宮士郎という正体不明の魔法使いの実力について、未だ判断がつかなかった。
 先の戦闘において、士郎が使ったのは手品ともつかない物体転移。カードを使っていなかったから、契約のアーティファクトではないのだろうとだけ推測はできる。
 取り出した武器は成る程、タカミチたちを倒したのも頷ける業物だった。
 だが、その使い方が不可解極まりない。
 あの爆発。エヴァンジェリンの魔法で言うのなら氷爆と同レベル。
 それだけならそこまで脅威という程でもない。不可解な使い方ではあるが、そのようなものであると理解することはできる。
 問題は爆発する点と、爆発した後にも同型の剣を持っていたことだ。
 爆発は別の要因によるもので、爆発を目眩ましに再び転移させたのか。
 それとも、奴は爆発する剣を量産できるのか、だ。或いは量産に等しい数を持っているのか。
 どちらにせよ、脅威度はそう変わらない。
 ただ、前者であるのなら魔法をほぼ並列に扱っていることになり中々の処理能力だと言えよう。
 だが、それらはそのような戦闘手段、アーティファクトのようなものの一つと考えれば納得はいく。
 問題は、士郎の身体能力だ。
 士郎は全く、外に魔力を纏っていない。気を使っているわけでもないようで、つまり見えないのだ。
 確かにその体内に魔力の迸りは感じる。
 だがそれでは何の防御力もない。エヴァンジェリンの蹴りを手でガードなんて真似をしたら骨折では済まず、そのまま頭まで貫通しているはずだ。
 にも関わらず、士郎は今も生きている。ダメージらしいダメージも見受けられないまま。
 そもそも手ごたえが不自然だった。当たった感触は鉄柱を蹴ったかのようだったのに、いとも容易く吹き飛んだ。
 いや、もしやわざとか。自分から後ろに跳んだようには見えなかったが、もしも本当に防御術式を持たないのなら吹き飛ばされた方がまだダメージが少ないだろう。
 だが、そうであるのなら単純に力不足である可能性も否めない。
 しかしもしそうだとするのなら、それは恐ろしい脅威だろう。
 魔力にも気にも頼らず、あれだけの運動性能を持っている者がいるとするならば、その発展性は脅威以外の何物でもない。
 これからどれだけ成長するか、予測もできないという事だ。
 妥当な推測をするのなら、その成長を危険視するには年齢が高すぎる。長い年月をかけて培われた戦闘力であるのなら、タカミチと同様に生まれながらに欠陥を抱えている可能性が高い。
 だがもしも、何かの切っ掛けでそれが解消されたなら。タカミチと違って、何もかもが未知であるからこそ警戒を解く事はできなかった。
 もちろん、身体能力だけでエヴァンジェリンを倒すことなどできないが、それが外なら話は別。
 現状でさえ、抵抗することさえできずに倒される可能性があるのだから。
 しかし、どちらにせよ攻撃手段と防御手段のバランスが悪すぎた。
 最強の矛を持っているだけでは倒される。最後に生き残るのは、絶対に最強の盾を持つ者だと決まっているのだ。
 確かに、あの身のこなしと剣があるのなら魔法先生たちを手玉に取ることもできるだろう。
 タカミチを倒したというのも、上手くやったということだ。
 先の戦闘で衛宮士郎がどの程度の実力を出したのかは定かではないが、少なくとも全力ではないだろう。
 そうでなければ、いくらかタカミチの方が強い。
「茶々丸」
「ハイ、マスター」
「ネギ・スプリングフィールドの情報と一緒に、衛宮士郎についても洗い出せ。優先度は第二位だが、こちらは手早くな」
「ハイ」
 どのような結果が出ようとも、エヴァンジェリンは衛宮士郎を取り込むつもりなどさらさらない。
 眼前に敵として立ち塞がるというのなら、全てをなぎ倒すのが彼女の逆道。
 邪魔をするというのなら、全てを氷砕する覚悟が、ある。







 ◇







 腹は決まった。うじうじ悩んでいたところで事態が好転するわけでもない。
 今、自分には退路は残されておらず、未開の草原だけが広がっている。
 そこに道を作る以外に、彼らに追いつく方法はないのだから。
 どんな逆境でも、どんな苦難でも。彼らなら、笑って進んでいただろうから。
「士郎」
「覚悟はできたか」
「うん」
 本当に、彼は何でも見通すようだ。時々、その瞳が怖い。
「でも、その前にさ、士郎。手合わせ願えないかな」
「その状態でか?」
「うん。魔力も気も、武器もなしの純粋な肉弾戦。その条件で、君に挑みたい」
 士郎の目が、値踏みするように僕を射抜く。そして、ゆったりと腰を上げた。
「分かった。だが魔力はアリでいこう。でないと、俺は戦闘中に魔力を抑えられるか分からない」
 了承する。魔力の使用アリ、というのは僕に断然有利な話だ。
 士郎は身の内にしか魔力を通せないが、僕は外に纏うことができる。これはつまり、防御力に絶大な差があることを示している。
 それに、経験としても肉弾戦を主体に戦ってきた僕は断然有利だ。
 士郎が強いのは剣が強いのであって、彼自身はそう大きな脅威ではない。
 もちろん、その剣を生み出しているのは彼であるからしてそれは彼の強さであるのは変わりがない。
 だが、こと体術においては士郎よりも勝っている自信がある。いや、あった。
「じゃ、始めようか。言っておくが、殺すつもりでやる。そちらも妙な手心は加えるんじゃないぞ」
「…分かった」
 思っていたよりも、重苦しい真剣勝負になるようだ。
 そう言えば、素手で戦う士郎は始めて見る――
 ザッッ。
 開始の合図はなかった。剣を持っている時よりは明らかに遅い士郎の速度。だがそれでも瞬動を使わずにこの速度とは、十分に脅威だ。
 だが、だからと言って何かが変わるわけではない。いくら速かろうとも、殴り合いの経験値は変わらない。
 僕は通常の居合い拳ならば魔力のみでも放てる。その有効射程は近接格闘の域を超え、中距離戦闘程度の間合いを持っているのだ。
 つまり、武器なしの近接戦闘ならばほとんどの要素で僕が勝っている。
 よって、これからの現実は当然の結果。衛宮士郎では居合い拳に対処できない。
 そう、確かに士郎は居合い拳を視覚することはできたようだけど体まではついていかなかったようだ。
 無言で連打。士郎はガードもできずに吹っ飛……ばない!?
 士郎は僕の居合い拳など無視して突っ込んでくる。ガードしていないのではない。
 ガードする必要がないのだ。僕の居合い拳は士郎の前進を阻むことができていない。
 そして直接殴り合える間合いに入られたら僕の有利は半ば消失する。
 瞬動以外の移動スピードにおいて大きく差がある僕ではインファイトでは勝ち目が薄い。
 すぐさま瞬動で距離を開けた。だが、士郎は追ってこない。
「タカミチ、お前が師匠から受け継いだというその居合い拳は、その程度のものか?」
「なん、だって?」
「気が使えなくなった、咸卦法が使えなくなった、と、その程度で鈍るようなナマクラだったのか?」
「知った風な口をきかないでくれ! 君に僕の何が分かる!」
「ああ、分からないな! そんな甘ったれの考えなど!」
 士郎の拳が迫る。怒りで頭が眩みそうで、僕は避けることもできなかった。
 士郎は分かってくれると思っていた。
 お互いに、生まれた時から才能に愛され、壁を知らずに育つ天才ではないが故に。
 自分の半生をかけて培った土台が崩れ去った自分のショックを、我が事のように理解してくれるだろう、と。
 それ程までに、僕は衛宮士郎という人間を信頼し、尊敬していたのだ。
 なの、に。なぜ、分かってくれないのか。
 吹き飛ばされ、頬の痛みが現状を伝える。でもそれは、僕の心の現状までは知らせない。
「俺は、タカミチとその師匠の間にどんな絆があって、どんな過去があったのかは知らない。その師匠ってのがどんな人間で、どんな風にタカミチに接してきたかも知りようがない。でもな、これだけは分かる」
 士郎は倒れた僕に歩み寄り、続ける。
「お前が、タカミチという人間がその師匠の事を心から尊敬し、信頼しているという事はな」
「ああ、そうだよ士郎。僕は師匠の事を尊敬しているし信頼している。彼の信念を引き継ぎたいと思っている。だからこそ! 彼の、彼が僕に教えてくれたこの技を! 侮辱するのは許せないんだっ」
「ならば証明してみせろ。その拳の価値をな!」
 拳が交差する。リーチに差はない。
 インファイトで優劣を決定付けるのはスピードでもテクニックでもなく純粋なパワーとタフネスだ。
 そして、それは僕にとっても努力で進むことができる領域だった。だからこそ、それなりに自身がある。
「ふっ」
 気合一閃、僕の直線的なパンチは、容易く士郎の顔面を捉える。
 だが、士郎に効いている様子はない。信じられないタフネスかと思ったが、違う。
 思えば、最初に戦った時から彼の体はおかしかった。
 まるで鉄を殴っているかのような堅さにどこか機械的な動き。これは…
「士郎、魔術を使うのは反則じゃないか」
「いいやタカミチ。俺は魔術なんて使っていない」
「なら!」
 またしてもタカミチの拳は、士郎にダメージを与えられない。
 スキルとしては殴り合いで上手なタカミチは、その経験によって何とか士郎の拳をかわしている。
「人間の肉体は、極限まで鍛え上げるだけで常識を突破する。俺のような命に関わる特異体質でも生きていける程にな!」
 体は剣で出来ている。
 それは、衛宮士郎にのみ許された呪文であると同時に、その起源から派生した特異体質を可能とする鍵でもある。
 彼の体内にある固有結界・無限の剣製によるフィードバック。文字通り肉体が剣へと変質するその暴走は、理論に則った術式などでは断じてなく、どちらかと言えば超能力に近い異能だ。
 彼の意思には関わらず、無限の剣製に近づく程に彼の肉体は変質していった。
 鉄の硬度の変わりに、関節はいくらか固くなったが、その物理防御力は飛躍的に向上している。
 そして、その斬られても死なない体を支えているのは、人間の常識を超えた鍛錬による強靭な肉体。
 またその肉体に付随する人の枠をはみ出した精神だ。
 所詮肉体の変質は暴走でしかなく、その暴走が行き過ぎれば己の中から突き破られて命を落とす。
 それを制御する精神に変質に耐え得る強靭な肉体がセットであってこそ、士郎の体は維持できているのだ。
 そんな、詳しい話は今の僕には理解できない。ただ、それが努力の果てに手に入れた代物であること、それだけは感覚で知っていた。
 それはとても単純明快。
 つまり、自分が士郎以上の努力を礎として、この拳を証明すればいいだけ。
「行くよ、士郎!」
「来い!」
 通常の居合い拳では軽いというのなら、豪殺を試すしかない。
 本来、豪殺・居合い拳は咸卦法の膨大なポテンシャルを頼りにした移動砲台だ。
 気と魔力、融合すれば二乗される力による単純な力押しを、一瞬に内に開放する様なもの。
 だが、それが単純に力押しを技術に当てはめているだけであり、気が、咸卦法が使えないからと言って必ずしも使えないわけではない。
 そう、ただ出力が絶対的に足りていないだけで、繰り出すことが不可能であるわけではないのだ。
 例えば、千の呪文の男・サウザンドマスターならば、仮に同じ技を習得すれば咸卦法なしでも技を繰り出すことができるだろう。
 単純に魔力だけの状態と比べて、10倍以上の能力差。
 それを、微かな一瞬の間だけでも埋めることができれば、あるいは士郎にも通じる可能性があった。
 咸卦法は発動すれば肉体強化・加速・物理防御・魔法防御・鼓舞、その他諸々の効果があるが、こと攻撃において重要なのは加速。
 魔法、裏の世界の技とは言え、精霊の力を借りているわけでもない咸卦法は物理法則の枠内で攻撃能力が決まる。
 故に、それが速ければ速いほど、その重みも増す。
 もちろん、肉体強化なくしてその加速に耐えることなど不可能ではあるが、魔力が通ってさえいれば砕けることはないだろう。
 ポケットに拳を収める。
 士郎は、こちらの攻撃を待ちカウンターを狙う腹のようだ。
 だから、僕も落ち着いて集中できる。
 鼓舞は自分の精神で。防御は一切考えない。
 速く。ただひたすらに速さのみをイメージする。その脳裏に浮かぶのは爆発。
 自分の力だけで足りないのであれば、外力が加わればいい。
 重く速い一撃の為には、咸卦法のような力強さが要る。豪殺と名づけられたその重みを乗せて。
 瞬動の際、足に魔力を集中するよりも更に大規模で、居合いを放つその右腕に、魔力を凝縮した。
 豪殺・居合い拳!
「うぐっ」
 まるで爆発したかのように魔力を噴出した一撃は、確実に士郎の鋼鉄の防御を突破しその体を吹き飛ばした。
 だが、こちらも無事ではない。
 右腕だけに魔力を集中してしまった為に、足の踏ん張りがきかなかった。
 反対側に吹き飛ばされることさえなかったものの、右肩が衝撃に耐え切れずに壊れたようだ。
 だが、それでも士郎よりはダメージが少ない。
 倒れたままの士郎は、近づいていく僕を待っている。
「証明できたかな?」
「ああ、十分だ。馬鹿にして悪かったな」
 士郎は、先ほどまでの表情が嘘のように清清しい笑みを見せている。これは、まさか――
「もしかして、演技かい?」
「はは、こちらから喧嘩を吹っかけるつもりだったのに、お前が手合わせして欲しいなんて言うから困った」
 つまり、そういう事か。
 僕が本気になれるように、失った力を取り戻す最も手っ取り早い方法を示唆する為に、わざと挑発してきたわけだ。
 口で言い聞かせても体感するのは難しい。ならば、自分で編み出させよう、などと。
 これも一応、信頼されている事になるのだろうか?
「まあ、いきなり解決策を見つけてしまうとは思ってなかったんだけどな」
 どうやら、まだまだ僕は軽く見られているらしい。まあ、だらしない所を見せたから仕方の無い事かもしれないけれど、さ。
「大丈夫?」
 僕は士郎に手を伸ばす。
「タカミチも知ってるだろう? 俺は鞘を持ってるからしばらくすれば回復する。お前こそその右腕を手当てしてこい。手当てが終わったら、早速修行に入るぞ」
 これはスパルタだな。でも、望むところだ。
「ああ、よろしく頼むよ」
 きっとこの時、ようやく僕は、魔術使いとしての一歩を踏み出せたんだ。






 ◇







 去っていくタカミチの後姿を眺めながら、士郎は考える。
 最後にタカミチが居合い拳のブーストに使ったのは、セイバーの魔力放出に似ていた。
 士郎には自分の体の外で魔力を扱う感覚がよく分からないのだが、この世界では外部に纏う形が基本のようだ。だからその発想、実現はそこまで難しいものではなかったのだろう。
 かつてのセイバーは、膨大すぎるその魔力炉から漏れ出す魔力をコントロールする事で肉体外での魔力放出のテクニックを感じ取っていたのかもしれない。
 日常生活においては普通の女の子と変わらなかったセイバーが、無類の英雄になれるほどのブーストが可能な技術だ。
 そのポテンシャル、極めれば咸卦法にも匹敵するだろう。
 もっとも、防御面では別の手段を講じなければならないだろうが、とりあえず失った力を取り戻す目処は立った。
 タカミチの休止していた魔術回路を起動させたのは士郎だ。最低でも、以前と同等の戦闘力を提供しなくてはこの麻帆良学園の戦力にも関わる。
 問題は山積みだが、これでタカミチは一つ自分の限界を崩した。
 同じ道を歩み、必死で追いつこうとしているだけでは届かない領域がある。
 例えそれが違う道でも、目指す存在がいるのなら、それを超えるつもりで手を伸ばさなくては掴み取れない結果がある。
 強制的に別の道に移されたタカミチは、きっといつか、追いつくことではなく追い抜く事を目的にするだろう。
 そうして、教わった力の上に自分の力を築いていけば、いつか必ず自分を誇れるようになる。
 彼がこの先弟子を取ることがあるのなら、きっといい師匠になれるだろうと。
 これからのタカミチを予感して、士郎は薄っすらと笑った。










タカミチ「直感スキルのない人の予感程虚しいものはないよね」
(拍手)
関連記事

管理者にだけ表示を許可する
« | ホーム |  »
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。