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一次・二次創作を扱っています。現在ネギま!×Fate「夢破れし英雄」連載中。

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夢破れし英雄  第4.5話


「垣間見た半生」




 タカミチが士郎の記憶に入って、最初に見たのは地獄だった。



 結局、タカミチはこの最初の地獄の時点で一度意識を覚醒させている。耐えられなかったからだ。
 助けを叫ぶ人の声も、生きようと必死に体を動かす少年も、あまりに禍々しい黒い太陽も。
 それはアルも大して変わらない。そもそも意識を戻したのはアルの仕業だった。

「はぁっ、はっ、はぁっ。これ、が、士郎の、過去?」
「おかしいですね。今のは誕生の瞬間だったはずですが」

 涼しそうなアルの声とは裏腹に、彼も冷や汗で髪が肌に張り付いている。

「何だ、もうギブアップか? そんな事では魔術を教えることはできないぞ、タカミチ」
「教えてくれ、士郎。アレが、君が言っていた魔術の危険という奴なのかい?」
「そうだな。そこに黒い太陽があったのなら、それは間違いなく衛宮士郎が生まれた瞬間だし……失敗した大魔術の果てというのなら、アレは最悪一歩手前の人為的災害だよ」

 士郎はタカミチとアルの両方の疑問に答える。だからこそ、両者は沈黙した。

「まあ安心しろ。別にずっとあんな光景が続くわけじゃない。少なくとも高校ぐらいまでは平凡な生活だった」

 高校までは、ということは、それ以降にはまたあのような地獄が待っていることになる。
 どれだけの隔たりがあるのだろう、とタカミチは恐怖した。
 自分たちの世界と、彼の世界はあまりに違う。少なくても、裏における脅威、正義を名乗る意味が。
 たった数分間の映像だけで、タカミチはそれを悟った。

 それに。
 あれ程の“災害”でさえ、最悪と言われる状況ではない、という事。
 確かに、この世界においても、大戦の終末においては世界が滅びかけた。
 しかしそれは、『世界を滅ぼす為の魔法』であり、決して失敗の結末ではないのだ。
 規模が違う。或いは闇が。

「とりあえず聖杯戦争までは見ておけ。もう魔術を諦めるというのなら、それでも構わないがな」
「いや、見るよ。見させてくれ」

 ここまできて今更引けるものかと、タカミチは気炎を吐いた。
 そしてまた、衛宮士郎の記憶へと潜っていく。








 タカミチが知っている、いや、知っていた衛宮士郎などあくまで表層的なものだったのだと、悟らざるを得なかった。
 というのも、彼がタカミチを友達と認めた時に語ってくれた事は幾重にもオブラードに包まれていて、プライベートな部分には触れていなかったからだ。

 孤独を孤独とも感じていなかった幼少期。
 姉代わりの人がいたとは言え、父親と過ごした時間は、それほど長くはない。
 毎夜死の淵を経験する魔術の鍛練。
 それだけでもう、タカミチは彼が壊れている事には気がついた。それはもう、人間の精神力ではないからだ。
 やがて訪れた最初の戦い、聖杯戦争。
 その苛酷さ、圧倒的なまでの強敵、あまりに軽すぎる命、知ってしまった真実、互いに愛しながらも決まっていた別れ。

 別にタカミチは魔術というものを勘違いしていたわけではない。
 ただ、そのレベルを軽視してしまっていただけだ。
 それに、衛宮士郎の生き様がいかに過酷であったからと言って、それが魔術の危険性に直結するわけでもない。
 世界が違う。その社会性が違う。
 ならば、扱う者が正しいのであれば、リスクはともかくその違いは西洋魔術と陰陽道程度の違いでしかない。

 ただ、ソレがどんなモノに基づいて編み出されたモノなのかを、正しく理解しておく必要があるだけ。
 魔術の全てが非道ではなく、魔術師の全てが悪でもなく、世界の全てが闇ではない。
 だが、それは確実に命を奪うことができるもので、そうすることでしか正義を成せない世界のモノなのだと。
 それを胸に刻みこんだ上で。

「士郎。僕は、君と同じ魔術使いになるよ」

 そう、ある一つの決断を下した。
 その力に憧れたわけではない。憧れたのは、衛宮士郎という正義の味方に対してだ。
 どこまでも強く、強くあり続けて、強すぎたせいで誰にも理解されずに。
 それでも、そのやり方が納得できないものであったとしても、自分の信念を貫き通したその姿は、タカミチの胸を打った。

 憧れというよりは、尊敬に近い。
 自分も、自分のやり方を貫き通し、この信念に、士郎のような誇りを持ちたかったから。
 魔術師ではなく、魔術使いになろうと、そう決意した。



 ここに、この世界において二人目の異端者が誕生する。







士郎「よし、なら毎月の授業料は――――な」
タカミチ「え?」
(拍手)






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